(ブルームバーグ): ENEOSホールディングス(エネオスHD)は8日、海運事業の一部を日本郵船に譲渡することで合意したと発表した。
エネオスHDの発表によると、傘下のエネオスオーシャンの原油タンカー事業以外の液化石油ガス(LPG)船やケミカルタンカーなどを中心とする海運事業を、エネオスオーシャンが設立する完全子会社に承継させたうえで、新会社の株式の8割を日本郵船に譲渡する。
両社の広報担当者は、守秘義務があるとして譲渡額を明らかにしなかった。公正取引委員会などの承認を条件として実施し、来年4月1日に完了する見込み。
東京証券取引所が資本効率を改善するよう求めていることを受け、上場各社は株主還元拡大などの取り組みを加速している。エネオスHDも4月に新社長に就任した宮田知秀氏が株主還元の原資となりうる資産売却は「聖域なく」進めていく方針を掲げており、売却が進めば株主還元拡大への期待が高まりそうだ。
郵船も株主還元の拡大を進める一方、中期経営計画では「マネジメント・アロケーション」として合併・買収(M&A)を含め経営側が裁量を持つ1400億円の枠を設けた。エネオスHDからの事業取得により、中核事業と位置づけるエネルギーやドライバルク事業はさらに拡大する見通しだ。
郵船の発表によると、エネオスオーシャンの一部事業を承継する新会社はLPG船18隻、ケミカルタンカー・プロダクトタンカー19隻、ドライバルク船12隻を運航する。郵船は3月末時点で、エネルギー事業で196隻、ドライバルク事業で441隻を運航していた。
(背景などを追加して更新します)
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