(ブルームバーグ): インドのモディ首相は来週、ロシアのプーチン大統領との会談のためモスクワに向かう。ロシアが2022年にウクライナでの戦争を始めて以後、モディ氏にとって初のロシア訪問となる。

  プーチン氏は3月のロシア大統領選を経て通算5期目入りを果たした後、初の外遊先として中国を選んだ。これは、ロシアが対中依存を強めていることを裏付けており、インドはこうした状況に警戒感を抱いている。

  マノハール・パリカル国防研究所(ニューデリー)のアソシエートフェロー、スワスティ・ラオ氏は「ロシアと中国の戦略的連携が深まることはインドにとって不愉快なことだ。親友が敵と寝ているようなものだからだ」と指摘。「こうした懸念がある以上、首相自ら赴き、最高レベルでプーチン氏と話をすることは理にかなっている」と述べた。

モディ首相とプーチン大統領(2017年)Photographer: Andrey Rudakov/Bloomberg


  モディ氏にとって、首相3期目入り後で初の外遊先がロシアとなる。これまで総選挙での勝利後に選んだ訪問先はブータンやモルディブ、スリランカといった近隣諸国だったが、慣例を破りロシアに行く。

  事情に詳しい関係者によれば、このことはインドがロシアとの結び付きを重視していることを強調するものだという。

  世界3位の原油消費国であるインドは、ロシア産石油の主要な買い手で、軍用装備品の供給もロシアに依存。一方、中国とインドの関係は、2020年の国境での衝突以来、改善が進んでいない。

  この件に詳しい複数のインド当局者によると、モディ、プーチン両氏はさまざまな問題を協議する見込みだが、大きな合意に至る公算は小さい。

  議題には両国軍の協力を強化するための兵たん供給協定や第5世代戦闘機の共同開発に関する議論の再開、原子力協力などが含まれる。非公開情報だとして当局者が匿名を条件に語った。

  インド外務省からのコメントは得られていない。

  モディ氏は8、9両日、モスクワを訪問する見通し。ワシントンで開催される北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議と日程が一部重なるが、事情に詳しい関係者によれば、同氏のロシア訪問はかなり前から予定されていたもので、このタイミングはNATOの会議とは無関係。

  モスクワ訪問後、モディ氏は2日間の日程でウィーンを訪れると見込まれている。

原題:Modi Is Shoring Up Russia Ties as Putin Deepens China Embrace (抜粋)

--取材協力:Rakesh Sharma、Dan Strumpf.

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