(ブルームバーグ): 米政府の過剰な支出と地政学的な不確実性が、膨らみ続ける公的債務のリスクに対するヘッジとして金を購入するようシュローダー・インベストメント・マネジメントとUBSグローバル・ウェルス・マネジメントを促している。
ロードショー(機関投資家向け説明会)でアジアをこのところ訪れている両社それぞれの投資責任者はインタビューで、今年後半のボラティリティーに備える好ましい取引として金が浮上していると明らかにした。
シュローダーのグループ最高投資責任者(CIO)ヨハナ・カークランド氏は香港で、「財政リスクや地政学的リスク、インフレリスクといった類いのリスクは、金でよりうまくカバーできる。仮に判断が誤った場合でも、かなり良いパフォーマンスという利点がある」と指摘。かつてほど分散投資のメリットを得られない「米国債より、私は金を選好する」と述べた。
米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待に加え、各中央銀行による金買い入れや地政学的緊張の中での安全資産としての需要増から、金は今年、最高値を更新。一方、FRBの利下げ時期を巡る不透明感から、米国債相場は乱高下し、米国債の指数は昨年の上昇から下落に転じている。
米財政赤字に対する懸念も、米国債に対する弱気を強めている。高金利で国債の利払い費が増える中、トランプ大統領時代の減税に続き、バイデン政権下でも支出が急増し、財政赤字が拡大している。
UBSグローバルのマーク・ヘーフェルCIOによれば、米国債とドルに対する懸念があれば、金は恩恵を受ける。ヘーフェル氏は香港で、「ウクライナを巡り、ドルや米国の金融システムがある程度武器化されており、各中銀は代替手段を持つべきだと認識している。多くの中銀が金を購入しており、この傾向は続くだろう」と語った。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が最近出したリポートによると、金準備高調査を2018年に開始して以来最も多い約20の中銀が金の保有量を増やすと見込んでいる。
ヘーフェル氏は、金値上がりが続き来年は1オンス=2700ドルまで上昇すると予想。1日のアジア市場では2325ドル前後で小動きだった。
カークランド氏にとって、国債は依然としてポートフォリオの一角を占めるものの、それは利回りという「昔ながら」の理由によるものだ。厳しいインフレと財政状況を懸念する同氏は「これほどの財政支出において、本当に恐ろしいリスクは公的債務の問題だ」と話した。
原題:Schroders, UBS Global Wealth Push Gold as Key Haven This Year(抜粋)
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