記者会見で握手するSOMPOHDの奥村社長(左)とRIZAPグループの瀬戸社長(1日、東京都新宿区)

RIZAPグループは1日、SOMPOホールディングス(HD)との資本業務提携について、今後の戦略を発表した。運動や保険、健康診断、介護など、両社の持つ1000万人規模のデータを連携させて、病気の予防などの新たなサービスの開発を目指す。RIZAPグループは低価格ジム「chocoZAP(チョコザップ)」を「健康の社会インフラ」へと脱皮させる考えだ。

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チョコザップは会員数が120万人でジムでは日本一だ。SOMPOHDは生命保険や損害保険、介護といった事業を手掛ける。それぞれの顧客の同意に基づき1000万人規模のヘルスケアのデータプラットフォームをつくる。

まずはSOMPOHDの保険契約者にチョコザップへの入会を勧める。健康診断の結果と運動履歴のデータを連携させて健康状態の改善を促す。運動と疾病リスクの関係性についての知見も蓄積する。2024年度前半にも認知症の予防などで共同研究を始める。

介護施設の利用者にチョコザップを運動の場として提供し、要介護度の進行抑制につなげることも検討する。両社は18年に業務提携し、高齢者の認知機能の低下を防ぐプログラムの開発などに取り組んできた。

「トライアンドエラーを重ねながら、新サービスをどんどん進化させていきたい」。SOMPOHDの奥村幹夫社長兼グループ最高経営責任者(CEO)は、同日の記者会見でこう話した。

チョコザップはセルフネイルやランドリーなど従来のジムにはないサービスを矢継ぎ早に打ち出した。こうしたスピード感がRIZAPグループの強みだ。瀬戸健社長は「SOMPOと一緒にサービス開発に取り組むことで介護やヘルスケアのあり方を再定義して、トータルでソリューションを提供していく」と話す。

高齢化が進むなか、健康寿命を延ばすことが欠かせない。奥村社長は「寿命と健康寿命にギャップがあり、介護やお金の心配で、高齢化への不安が大きくなっている」と話した。両社が思い描く健康ビジネスを「ハブとしてつなぐ」(瀬戸社長)役割を担うのがチョコザップだ。

今回の提携はRIZAPグループにとっては課題だった財務面の立て直しにつながる。チョコザップは22年7月のサービス開始以降、積極出店を続けている。店舗数は5月時点で1500店を超え、23年3月末に比べ3倍以上になった。出店時の初期投資などがかさみ、24年3月期まで2期連続で最終赤字となった。24年3月期末の自己資本比率は12.4%まで低下した。

資本業務提携ではSOMPOHDがRIZAPグループと事業会社RIZAPに合計300億円を出資する。RIZAPグループの自己資本比率は26%台に改善する見通しだ。

チョコザップは既存会員に継続的に利用してもらえるかが課題だ。SOMPOとの提携を通じて継続率の高い保険商品との連携を進めることなどで、退会率の抑制にもつながると期待する。

瀬戸社長はかねて「チョコザップを健康の社会インフラにしたい」と話している。名前の由来になっている「ちょこっと」運動したいニーズを、健康寿命の延伸につなげられるかが資本業務提携の成否を左右する。

(桜井貴文)

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