(ブルームバーグ): 1日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=161円ちょうど付近で推移。対ユーロでの円安進行が重しとなり、先週末に付けた約38年ぶり対ドル安値が意識される一方、政府・日本銀行による円買い介入への懸念がくすぶっている。日銀が発表した企業短期経済観測調査(短観、6月調査)に対する反応は限定的となっている。

  週末に行われたフランスの国民議会(下院)選挙の第1回投票では、極右政党「国民連合(RN)」が事前の世論調査より小幅な差での勝利となる可能性が浮上。早朝からユーロ買いが先行し、投資家心理の改善により円とドルは対他通貨で軟調となっている。

  大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、仏下院選で極右政党が思ったほど勝てていないということで安心感からユーロが上昇し、円やドル、スイスフランの下落につながっていると説明。決選投票を1週間後に控えて「一本調子でリスクオンというわけにもいかないが、短期的には円安・ユーロ高が一段進むことで円が幅広く押し下げられる可能性はある」と予想した。

  円は週明け早朝の取引で対ユーロで最安値を更新した他、対オーストラリアドルで一時2007年11月以来の107円台半ば、対ニュージーランドドルでは98円台前半と86年6月以来の安値を付けている。

  先週末の米国では個人消費支出(PCE)価格指数の鈍化を受けて、9月の利下げ観測が一時強まった。米長期金利の低下やドル安により円相場は一時160円台前半まで上昇したが、米国市場終盤にかけて米金利が上昇すると押し戻された。円は主要通貨に対してほぼ全面安となり、対ポンドでは08年8月以来の203円台半ば、対カナダドルでは117円台後半と07年11月以来の安値を付けた。

  米商品先物取引委員会(CFTC)によると、アセットマネジャーとレバレッジファンドの6月25日時点の円の対ドルポジションは計21万枚規模の売り越しと、円先安観が強まっている。同時に一段の円安進行に対して、政府・日銀による円買い介入への警戒が強まっている。

More stories like this are available on bloomberg.com

©2024 Bloomberg L.P.

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。