(ブルームバーグ): 東京海上ホールディングスなど損害保険会社3社のそれぞれのトップの株主総会での取締役選任の賛成比率が軒並み6割台に落ち込んだ。企業向け保険料の事前調整問題で傘下損保が金融庁から行政処分を受けており、トップに対する株主の信任が大きく低下した。

各社が28日までに提出した臨時報告書で明らかになった。3社とも昨年の総会では全取締役が8割以上の賛成比率を得ていた。業績や株価は好調だが、不祥事に対する株主の厳しい姿勢が示された形だ。

東京海上HDの小宮暁社長の賛成比率は66.91%と取締役15人の中で唯一の6割台。MS&ADインシュアランスグループホールディングスで27日の総会まで社長を務めていた原典之会長の賛成比率も65.1%と同じく1人のみ6割台だった。4月に就任したSOMPOホールディングスの奥村幹夫社長は61.52%だった。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は「一連の不祥事が影響しているということは間違いないだろう。驚きはない」と指摘。「個人投資家や機関投資家を含めて、不祥事に相当敏感になっているということの表れだ」とし、各社の株価が最高値圏にあるため「6割にとどまった可能性もある」との見方を示した。

東京海上HDの広報担当者は、さまざまな意見があることは承知しているが、東京海上日動火災は業務改善計画に沿って再発防止を徹底し、ホールディングスとしてもしっかり指導していくとコメント。MS&ADの広報担当者は、真摯(しんし)に受け止めて今後の経営に生かしていくと述べた。SOMPOの広報担当者は、株主の声として真摯に受け止めているとして、一層の信頼回復、株主との丁寧な対話に努めていくとした。

企業向け共同保険料を事前に調整していた問題を巡っては、昨年12月に東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険、損害保険ジャパンの4社が金融庁から業務改善命令を受けた。損保ジャパンとSOMPOは今年1月、中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正請求問題で改善命令を受けた。

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