荘内銀行本店(4月、山形県鶴岡市)

フィデアホールディングス傘下の荘内銀行(山形県鶴岡市)はバスや旅行、ホテルなどの事業を展開する庄交コーポレーション(同)の第三者割当増資に応じ、約1億5000万円の普通株を引き受けると発表した。28日付で出資する。

REVICキャピタル(東京・千代田)などが共同で運営するファンドも同日付で庄交コーポの優先株を引き受けるが、金額は非公表としている。

荘内銀で執行役員などを務めた近藤司氏が25日付で庄交コーポの社長に就いた。近藤氏の前の社長の国井英夫氏も同行頭取経験者だった。同社はインバウンド(訪日外国人客)も含めて鶴岡市など県北西部の庄内地域への誘客を一層進めたり、ホテルやショッピングモールの設備を更新したりすることを視野に入れている。荘内銀はそうした経営を後押しする。

新型コロナウイルス禍の影響で、庄交コーポの単独決算は最終損益が2021年3月期から3期連続で3.2億円から3.8億円の赤字となった。24年3月期は4期ぶりに670万円の税引き利益を確保できた。21年3月期で39億円に落ち込んだ売上高も24年3月期に56億円まで戻ったが、20年3月期(65億円)には届かなかった。

庄内交通は鶴岡市内循環バスを1日に48便走らせ、新たな需要を掘り起こしている(5月、山形県鶴岡市)

今後発展しそうな事業も出始めている。その一つが傘下の庄内交通が運行する鶴岡市内循環バスだ。22年10月から従来の4倍にあたる1日48便に増便。買い物や病院通いのために乗る高齢者らの生活の足としてだけでなく、観光客が中心市街地のまちあるきを楽しむ際に重宝するといった新たな需要も掘り起こしつつある。

この結果、23年10月から24年5月までの市内循環バスの輸送人員は5万6830人と前年同期より35%増えた。さらなる利用を促すために循環バスのルートやバス停と、鶴岡市出身の作家・藤沢周平氏の作品ならびにそのゆかりの地との相関がわかるパンフレットをこのほど発行した。

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