3メガバンクが保有する政策保有株は2024年3月期末時点で3兆3000億円弱(簿価ベース)となり、前年比で12%減少した。減少額は約4300億円と、20年3月期以来4年ぶりの高水準となった。これまで継続保有してきた企業の株式も売却する例もあり、大手損害保険会社が政策株の保有解消を掲げる中で銀行も解消を加速できるかが焦点だ。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGの3メガバンクが25日までに関東財務局へ提出した有価証券報告書で、政策保有株の売却額や主要な企業の保有高を明らかにした。政策株を含む株式売却額は非上場企業でない企業の株式の合算で約1兆2500億円と、前年比で74%増加した。
取引先との関係強化が目的の政策保有株式への批判は根強く、メガバンク各社は売却計画を加速する。各社の中で保有額が大きい個別企業ではトヨタ自動車などの株式数は前年比で横ばいだった。一方、三菱UFJはオリンパス、みずほは味の素、三井住友FGはアサヒグループホールディングスで保有がゼロになった。
市場では損保各社が政策株の保有解消を進めているのを背景に、銀行の政策株売却への期待が大きくなっている。メガバンクはこれまで合計で年間数千億円規模で政策保有株の削減を進めており、残る銘柄は「岩盤」と呼ばれ交渉が難しい先が多いとする見方も強かった。損保の政策株売却による需給悪化の影響も見極めて交渉を進める。
政策保有株は少数株主の意見が反映されにくくなるとされ、海外投資家などの目線が厳しくなっている。米議決権行使助言会社や国内の運用会社は純資産に占める政策保有株の割合が多い場合、取締役の選任議案に反対する方針を掲げる。資本効率も悪くなりやすいとされ、一般事業会社でも売却に乗り出す事例が目立ちつつある。
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