北陸新幹線の県内開業に伴い、JR北陸線の県内区間を引き継いだ「ハピラインふくい」。利用者は目標数を上回るなど好調を維持していますが、通勤通学時の混雑や敦賀駅での乗り換えなど、課題も残されています。開業から3カ月を迎えた現状と課題を取材しました。
 
3月に北陸線の福井県内区間を引き継いだハピラインふくいは、5月末までの1日の平均利用者数が約2.3万人となり目標の2万人を上回る好調ぶりを見せています。6月5日に福井市内で行われた協議会で、同社の小川社長は利用者数が好調に推移していることを報告しました。
 
協議会には、ハピラインの会長を務める杉本知事や沿線市町の首長が集まり、今後の利用促進に向け話し合いが行われました。この中で敦賀市の米澤光治市長は「ハピラインから特急への乗り換えが分かりにくいという声がある」と指摘すると、JR西日本金沢支社の漆原支社長は「大阪から帰ってきた時に、前の客が新幹線の改札でつまって、切符を見せてもらったら、敦賀からハピラインに乗り換えて武生へ行く人だった。新幹線の改札に間違ってハピラインの切符を通してしまうほどわかにくいことは実感している」と答えました。

実際に、岐阜県からの利用者に話を聞くと「岐阜から鯖江まで行くのに、しらさぎからの乗り換えで一度改札を出て切符を買いなおした」と話していました。
 
敦賀駅の構内図を見てみると、3階は新幹線のホーム、2階はコンコース、1階は特急のホームとなっています。特急からハピラインに乗り換える場合、2階の連絡通路を通って1階の改札口を出てからハピラインのチケットを買い、ハピラインのホームに戻る必要があります。JR、新幹線、ハピラインと、別々の事業者が一つにまとまった巨大な敦賀駅ならではの課題です。
 
また、交通系ICカード「ICOCA」の利用範囲が限定され、乗り換えの不便さを指摘する声も聞かれます。協議会で敦賀市長が「そもそも範囲でなはく、どこでも利用可にして欲しい」と要望すると、ハピラインふくいの小川社長は、費用面やシステム面に課題があるとしました。そのうえで、乗り換えをスムーズに行うための対策として、在来線ICカード用の乗り換え改札機の設置を、敦賀駅を管理するJR西日本へ要望しました。JR西日本は、開業後に分かった課題もあるとして今後、ハピラインと協議していきたいとしています。
 
問題は敦賀駅以外にもあります。越前市にあるハピラインの新駅「しきぶ駅」が、当初の2025年春の完成予定から1年遅れることになったのです。
 
ハピラインふくいは、越前市の王子保ー武生間に設置する新駅「しきぶ駅」について、当初の予定から1年遅れの2026年3月ごろとすると発表しました。受注業者が決まるのに時間がかかったためだということです。
 
しきぶ駅の建設予定地から徒歩5分のところあるのが武生商工高校です。2025年4月のキャンパス統合に向け、現在工事が進んでいます。キャンパス統合に間に合わなくなったことで、住民からは「通う予定の生徒が困っちゃうよね。僕も駅ができたら乗って福井まで遊びに行こうと楽しみにしてたのに」と残念そうに話します。

県民や観光客の移動手段として定着し始めたハピライン。利用客に寄り添った地域の鉄道会社として、走り始めたばかりです。

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