6月13日、米電気自動車(EV)大手テスラの株主は、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の560億ドル規模の報酬案を承認した。米首都ワシントンで2023年1月撮影(2024年 ロイター/Jonathan Ernst)
米電気自動車(EV)大手テスラの株主は13日、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の560億ドル規模の報酬案を承認した。米企業としては史上最高額となる。
マスク氏のリーダーシップに支持を示すと同時に、テスラ経営に引き続き集中するよう求めた格好だ。
テキサス州オースティンで年次株主総会を開いた。テスラの法人登記をデラウェア州からテキサス州に移転する案や、マスク氏の弟キンバル氏とジェームズ・マードック氏の取締役再任案なども承認された。
報酬案は2018年の株主総会で承認されたが、その後に一部の株主が高額すぎるとして取り消しを求めて提訴。デラウェア州衡平法裁判所は今年1月、原告側の主張を認めて取り消しを命じていた。
マスク氏は株主総会で「私は最終的に結果を出す。それが重要だ」と述べた。
投票の集計結果は数日内に公表される見通し。株主総会は少なくとも50万人がXのライブ配信で視聴し、ユーチューブでも約4万人が視聴した。
報酬案が一部の機関投資家や議決権行使助言会社の反対にもかかわらず承認されたことは、マスク氏に対する個人投資家の支持を浮き彫りにしている。
ただ、1月に報酬案を無効としたデラウェア州裁判所に投票結果を認めさせるために法廷闘争が続く可能性があるほか、新たな訴訟に直面する可能性もある。
株主総会では、取締役会の任期を1年に短縮し、議案の投票要件を単純過半数に引き下げる議案が可決され、株主の影響力が増した。取締役会はどちらの案にも反対していた。
このほか、マスク氏は総会で、テスラのサイバートラック出荷状況や大型トラック「セミ」の量産計画について言及。発売時期は明言しなかったが、自律走行車の計画についても長々と語った。
テスラの株価はEVの売れ行きが鈍化し、マスク氏の関心がXや人工知能(AI)企業xAIなど自身が率いる他企業にも向けられる中、21年のピークから約60%下落した。
CFRAリサーチのアナリスト、ギャレット・ネルソン氏は報酬案承認について「株価に重くのしかかっていた不透明感が取り除かれた」と指摘。ただ、ここ2日間の値上がりを受けて14日は「ニュースで売る」動きが出ても意外ではないとした。
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