日本生命保険は移行金融の実践要領を策定した

日本生命保険は11日、中長期的な脱炭素化を企業に促すトランジション・ファイナンス(移行金融)の実践要領を策定したと発表した。企業の脱炭素に向けた計画を評価し、移行金融の適格性を判断する。投融資先の評価基準を定め、企業の脱炭素を後押しする。

実践要領では、企業の脱炭素計画が、産業革命前と比べた気温上昇を1.5度以内に抑えるパリ協定の数値に整合するかを評価する。基準を満たさない場合は、個別資産の温暖化ガス排出量がパリ協定の数値に適合しているかをみる。どちらかの基準を満たせば、移行金融の枠組みで投融資を実行する。

温暖化ガスの排出量が多い電力と鉄鋼を対象に基準を適用する。排出量が多い産業を中心に、今後も適用範囲の拡大を検討するという。日本生命の宮本泰俊責任投融資推進室長は「実践要領は他国や他の業種でも展開できる」と話す。要領を公開し、移行金融の拡大につなげる考えだ。

政府は2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする目標を掲げる。カーボンニュートラルに向け、脱炭素への移行途上の企業を金融面で後押しする移行金融の重要性は高まっている。基準の策定で移行金融の枠組みを広げられるかが注目される。

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