MS&ADインシュアランスグループホールディングスは27日、政策保有株式の売却で得た資金の約6割をM&A(合併・買収)などの成長投資に充てる方針を明かした。2割程度は配当や自社株買いなどの株主還元に使う。売却の前倒しで単年度の売却益が想定を上回る場合は特別配当を出す。
MS&ADは今年3月末時点で約3兆6000億円(時価ベース)の政策株を保有する。2030年3月末までに残高をゼロとする目標を掲げるなか、具体的な資金使途の内訳を公表するのは初めてだ。
政策株の売却について傘下の三井住友海上火災保険の船曳真一郎社長は日本経済新聞のインタビューで「早ければ2年での解消をめざす」と話していた。
成長投資は、米国やアジアにおける事業投資やイノベーションの創出につながる分野に投じる。市場拡大が見込める海外や新たな収益源の構築につながる領域に資金を使い、企業価値の向上をめざす。
政策株の売却を進めても、資産運用におけるポートフォリオの必要性から一定の株式を純投資に振り向ける場合がある。MS&ADは30年の時点で約8000億円分が純投資として残ると想定している。
保険契約の取引とは切り離し、資産運用の部門が所管することで営業部門の影響が及ばないようにする。
同日の説明会では、これまで出資してきた米インシュアテックのHippo(ヒッポ)や英自動車保険ボックス・イノベーション・グループ(BIG)からの撤退も発表した。
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