2023年11月6日の「フルロードWeb」でお伝えしたボルボの「FH」大型トラック2024年モデルが、UDトラックスより国内で正式に発売された。

 各種先進装備に加え、6×4トラクタにボルボのフラッグシップキャブとなる「グローブトロッター」が追加されるなど、ラインナップも充実。ボルボFH2024年モデルはUDトラックスの強力な新戦力となりそうだ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/UDトラックス・フルロード編集部

2024年モデルの目玉、6×4にグローブトロッター追加

グローブトロッターキャブは身長183cmの人間が室内で立ってもまだ余裕がある

 ご存知のように、UDトラックスはボルボ・グループからいすゞグループに移り今やその一員となっているが、ボルボ・トラックについてはUDの一部門であるボルボ・トラックセールスが輸入総代理店を務めており、引き続きUD販社およびボルボ・トラックス正規ディーラーで販売ならびにアフターサービスを行なっている。

 今回のボルボFH2024年モデルの発売に際して、ボルボ・トラックセールスの関原紀男バイスプレジデントは、次のように述べている。

 「ボルボFH2024年モデルは、特に安全装備とドライバーサポート機能を拡充させました。最上級の居住性を誇るキャブとボルボのテクノロジーで、環境にも運送会社の経営者にもサステナブルなソリューションとなります。

 さらに、これまで要望の多かった6×4トラクタにグローブトロッターキャブをラインナップに追加し、重量物輸送のドライバーにもさらなる快適性を提供します。

 フルエアサスペンションのため、荷物への負担も最小限に抑えた仕様となっています。今日、ドライバーの労働環境が話題となっていますが、ゆとりあるグローブトロッターキャブなら、疲労低減、ひいては安全運転に寄与します」。

 ちなみにスーパーハイループキャブのグローブトロッターは、室内高が最大2.03m、エンジンルーム上の部分でも1.96m(注:欧州仕様の数値)を確保。しかもフロアの平坦部も広いので、室内での移動や着替えなども容易にでき、ドライバーから好評のキャブになっている。

 ただ、これまでグローブトロッターは4×2トラクタには設定はあったが、国内では車両全高が車限令の上限を超過してしまうため、6×4トラクタには設定がなかった。

 そこで総輪エアサスペンション(フルエアサス)車に、後輪エアサス車/総輪リーフサス車と共通のシャシーフレームを有しながらも、地上高が低い「ミディアムハイト・シャシー」を採用。その上でフロントサスの設定を変更し、車両全高を3.8m以下(3720mm)に収め、グローブトロッターを成立させた。

ボルボFH2024年モデルの安全機能

ボルボFHの側方衝突警報装置(BSIS)のセンサー。交差点進入時や車線変更時、左右後方から接近してくる車両を検知する

 では、6×4トラクタ・グローブトロッター以外のボルボFH2024年モデルの特徴を項目別に見ていこう。

■安全機能

【ドア開放時警報装置】
車両の両側に取り付けられたセンサーで、車両の左右の接近物を検知。ドア開放時警報装置は、ドアを開ける際に歩行者や自転車などを車両の後方に検知すると、サイドミラー内のLEDライトの点灯と警告音でドライバーに注意を喚起し、ドア開放時の事故を未然に防ぐ。

【フロントショートレンジアシスト】
市街地や倉庫敷地内など、歩行者や自転車など他の道路利用者がいる状況では、フロントショートレンジアシストがトラック周囲の安全確認をサポート。停止時または時速10km以下で走行中に、車両前方の周辺にいる歩行者や自転車などを検知すると、ドライバーに警告を発する。

【アダプティブクルーズコントロール】
低速でも設定可能で、渋滞など低速走行が続くシチュエーションで、ドライバーへの負担を軽減。また、幅広い速度域での燃費向上にも寄与する。停止後も2秒以内なら自動で前方車両の追従を再開するストップ&ゴー機能を追加し、渋滞や一般道路でのドライバーの負担を軽減する。

【側方衝突警報装置】
交差点進入時や車線変更時、左右後方から接近してくる車両を検知すると、サイドミラー内蔵のLEDライトの点灯でドライバーに知らせる。この状態で、方向指示器を作動させると、警告音とステアリングの振動で更なる注意喚起を行なう。

ドライブトレーンとその他の特徴

FH4x2トラクタ。ブレーキからの排出削減のためブレーキ構造なども見直した

■エンジン

 エネルギー効率を最大化したボルボD13 eSCRエンジンを搭載(470/551PS。一部仕様では470PSのみ)し、力強い走りと特許取得のフィルター類でよりクリーン且つ高い燃費効率を可能にした。

 特許取得の新形状ピストンや改良したエンジンコントロールユニットで、エンジンの内部損失を低減し、さらなる低燃費を可能にした。

 D13 eSCRエンジン専用の燃料フィルターおよびオイルフィルター、エアフィルターは、濾過能力と高い耐久性を兼ね揃えている。この高品質フィルターにより本来のエンジン性能が確保でき、エンジンの寿命を最大化する。

■電子制御式トランスミッションの「I-シフト」

 高機能のギアボックス電子制御システムが、よりスムーズなギアチェンジを実現するI-シフトは、優れた静音性と操作性でドライバーの疲労軽減や安全運転に寄与する。

 4つのI-シフト・ドライブモードは、エコノミー、スタンダード、パフォーマンス、オフロードモードから、好みの走行モードや走行条件に合わせたモードをドライバーが選ぶことができる。レスポンスに優れたI-シフト・デュアルクラッチ(一部車種にオプション設定)や高い駆動力を発揮するクローラーギアが装備され、路面状況に応じて選択が可能。

■環境への配慮

 排出ガス以外の有害物質が規制の対象になることに先行して(注:欧州の次期排出規制「ユーロ7」でブレーキダストなどが規制対象となる)、ボルボ・トラックは環境への負荷を低減するブレーキパッドを開発し、特許を取得した。

 低粉塵のブレーキパッドとブレーキ構造の見直しにより、さらに環境に配慮したトラックとなった。

■サービス契約により顧客のキャッシュフローを改善

 ボルボ・トラックは、保証付きメンテナンスパッケージ商品として、毎月定額のボルボ・ブルー・プレミア契約を提供している。メンテナンスコストの変動がないため、物流会社の事業の安定と保障の延長に貢献する。

■国内の充実したネットワーク

 全国に約180拠点あるサービスネットワークを通じ、ユーザーの稼働率の向上を支える。ボルボFHは、全国のUDトラックス株式会社販売拠点、UDトラックス地元販売店、およびボルボ・トラック正規ディーラーで取り扱いを行なっている。

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