本誌『ベストカー』にて、クルマにまつわる変わったもの、見慣れないものを取材する連載企画『これは珍なり(略して『これ珍』)』。数ある企画の中から、大阪オートメッセで発見した、「超超ジュラルミン」を使った鍛造ホイールの記事をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2013年4月10日号に掲載した記事の再録版となります)

■ことの始まりは2月の「大阪オートメッセ」

Z34の純正アルミに比べ1本あたり6kgも軽いそうだ。すごい!

 ことの始まりは2月9~11日にかけて開催された「大阪オートメッセ」。そこに出展されていた一台のクルマが履いていたホイールが、今回のネタでございます。

 で、そのクルマとは「Zの柳田」こと柳田春人氏率いるセントラル20が出展していた、Z34型フェアレディZロードスターベースの「370ZG」。で、履いていた問題のホイールはBBS製。

 担当編集が話を聞いたところ、アルミはアルミでも「超超ジュラルミン」を使った鍛造ホイールだという。

 超超ジュラルミン? なんだそれ? なんか「超」が2つもついてるから、凄そうなのはわかるけど。というわけで調べてみましたー。

■教えてBBS! 超超ジュラルミンの長所

RI-Dの19×9.0Jサイズの重量は7.2~7.5kg(塗料差)。これはドイツのFRで有名なメーカーが純正採用する同一サイズの鋳造品に比べ、4kg弱も軽いという話だ

 さてその「超超ジュラルミン」。先ほども書いたように、アルミの一種で、アルミニウムに亜鉛、マグネシウム、銅を混ぜたアルミニウム合金のことをいう。日本工業規格では7000系合金と呼ばれ、すべてのアルミニウム合金のなかで最高の強度を持っているとか。

 実際、その超超ジュラルミンで作ったホイールは、メーカーが純正採用しているような鋳造ホイールに比べると、引っ張り強度、耐力で2倍以上の強度を持っているともいわれ、主に航空機に用いられているというのも納得の、すごい素材なのだ。

 しかしそんな凄いアルミ合金、ホイールにするのも大変そうなのだが、そのあたりを日本BBSに聞いてみた。

*      *       *

「私どもが超超ジュラルミンを素材に採用したのは、軽さと強度、高靱性を併せもった素材を追求すると、カーボンか超超ジュラルミンしかなかったからなんですが、確かに通常の鍛造アルミホイールに比べると、製造に時間はかかります」

──具体的にはどれだけ違うんでしょうか?

「同サイズ、同デザインで比較すると、アルミ鍛造に比べ約6倍の時間がかかりますね。これは超超ジュラルミンがアルミに比べ特に硬度が高いという金属特性に起因しておりまして、鍛造前のピレットの熱管理からはじまり、鍛造工程、スピニング工程、仕上げ工程などなど、あらゆる製造工程に影響してくるんです」

──硬度が高いということは、デザインに制限が出るとかそういうことはあるんですか?

「別にデザインに制限というのは出ません。ただ『繊細なデザイン=製造時間がなくなる=製造原価アップ』となりますので、ユーザーの方に購入していただける現実的な価格とするために低コストでデザイン性の高いホイールを日々研究しております」

──なるほど。これからも高性能&ナイスデザインのホイールを作り続けてください。

■発覚! セントラル20のこの夏の新製品

 さて、お次はこのホイールを採用したデモカーを製作した、セントラル20代表の柳田春人氏に話を聞いてみましょう。お元気ですかー?

セントラル20のデモカー用に作られた完全ワンオフ品。柳田氏も大満足だ

──柳田さん、オートメッセに出展したZ、BBSの超超ジュラルミンホイール履いてましたよね。

「アレ、BBSが『RI-D』っていうホイールをベースに、ウチのZ用に特別に作ってくれたヤツなんだよ。値段付けるとしたら、1本=100万円とかしちゃうんじゃないの?」

──100万円ですか!? すげーッスね。ちなみにBBSを選んだ理由は?

「そりゃ世界のBBSだもん。軽さと強度を両立したホイールが欲しいなら、BBSに行くよ」

──ショー用のドレスアップじゃなくて、実際に走ってもいるわけですよね? やっぱり差が出ますか?

「Z34の純正ホイールより1本あたり約6kg軽いからね、バネ下で6kg軽くなったら、そりゃ違うよ。街中でもハンドリングの違いがわかるし、乗り心地がよくなったのがわかるよ」

──スポーツ走行でもやっぱり違うもんですか?

「別に私はBBSの宣伝マンじゃないけど(笑)、ぜんぜん変わる。剛性感が出るし、実際、富士を走ると同じクルマでもラップタイムが変わるよね」

──特注ってことでしたけど、そんなにいいんなら、お客さんも欲しがるんじゃないですか?

「実はZ34用に発売したいとは思ってるんだよ。デモカーが装着してたのは、本当にデモカーの足回りにも合わせた特注品だけど、ノーマルのZ34でも履けるヤツをね。夏頃に出せるといいなあと思ってる」

──でも、1本=100万円超じゃ、そうとう希望者は限定されるんじゃ?

「一般に販売するヤツは、現在BBSで販売しているものと同じくらいの価格にするよ。だからZ34ユーザーは期待しててほしいな」

──ありがとうございましたー!

*   *   *

 というわけで、超超ジュラルミンホイールについて調べていたら、いつのまにかセントラル20の新製品情報に辿り着くという、不思議な展開となった今回の「これ珍」でした。

■手の届きやすい価格でBBSの性能を味わうなら……

 BBSのホイールというと鋳造に比べ強度に優れる鍛造品で、価格も高めというイメージがあったが、最近は手の届きやすい価格帯のホイールも出している。写真の「RE-L2」などは15×5.0Jというサイズだと、なんと3万9900円! 鋳造ホイールと変わらないような値段で憧れのBBS製鍛造ホイールが手に入るのだ。サイズは15×5.0J~17×7.0J。プリウスやレクサスのCT200hなんかにも似合うから、オーナーの方はゼヒ!

色はダイヤモンドシルバークリアとダイヤモンドブラッククリアの2色

(内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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