先日、一方通行を走行中、逆走してくる自転車が左右に2台ずついて、一時停止はおろか、信号無視する始末。そのうちの1台は左から来たクルマにぶつかりそうになった。そういえば、たしか、自転車にも青切符が導入されたというニュースを耳にしたはずだがどうなってるのか、改めて自転車の横暴運転について考えてみたい。

文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トップ画像=beeboys@Adobe Stock)

■都内はまさに自転車の無法地帯! 危なくてしょうがない! 

警察庁によると「赤切符」の検挙は、2022年の1年間で2万4549件にのぼり、この10年間で3倍以上になっている。しかも全国の事故が減っているにも関わらず、自転車の事故は2年連続で増加、歩行者との事故も増えている(Haru Works@Adobe Stock)

 都内、世田谷区の住宅街をクルマで走行中、一方通行路(こちら側の進行方向)に入る。すると、前方から左側から2台、右側から2台、逆走の状態でこちらに走ってきた。

 手前の信号(進行方向)が赤になり、こちらは当然、停車したが、4台のうちの自転車2台(おばちゃん)が信号無視で突っ込んできた。

 青信号で左側から来た普通車が、一瞬、その自転車2台にたじろぎながら走っていったが、思わずそれを見ていた筆者は「マジか、危ないなあ、いい加減にしろ!」と叫んだほど。

 日頃、自転車通行帯を走る電動キックボードを横目に、もし接触させて転倒させてしまったら、ヘルメットなしじゃヤバい事故になるとヒヤヒヤしている筆者にとって、頭の痛い問題だ。

 たしか2024年3月に自転車も青切符制度が閣議設定されたはずと記憶しているので、改めて調べて見ると、2024年3月5日に自転車の交通違反への反則金制度「青切符」の導入を盛り込んだ、道路交通法の改正案が閣議決定された。

 なぜ「青切符」が自転車にも適用されることになったのか?

 警察庁によると「赤切符」の検挙は、2022年の1年間で2万4549件にのぼり、この10年間で3倍以上になっている。しかも全国の事故が減っているにも関わらず、自転車の事故は2年連続で増加、歩行者との事故も増えている。

 死亡重傷事故の法令違反状況をみると、第一当事者(過失が重い者)の場合、安全運転義務違反が過半数を占めており、次いで一時停止、信号無視の順に多くなっている。

■青切符の違反行為一覧
・一時不停止
・信号無視
・通行区分違反(右側通行、歩道通行など)
・自転車通行が禁止されている場所を通ること
・遮断踏切立ち入り
・飲酒運転
・スマートフォンなどの使用、ながら運転
・イヤホンの着用
・傘さし運転
・二人乗り
・逆走
・酒気帯び運転
・無灯火
・歩行者妨害
・駐停車違反
・歩行者や他の自転車の安全を脅かす行為

■青切符制度はいつから始まるのか? 意味あるの?

 では「青切符」制度はいつから始まるのか? 改正案は2024年1月26日から6月23日までの通常国会に提出され、成立すれば2026年までに施行されることになる。一刻も早く施行してほしいものだ。

 この「青切符」は比較的軽微な違反者に対する行政手続きで、違反した場合、警察官が現場で青切符を交付し、反則金を納めれば刑事罰を科されない。これまで自転車は対象外で、刑事手続きになる赤切符で対応していた。

 反則金は5000~1万2000円で、反則金の額は原付きバイクと同等にする方針という。青切符の対象は16歳以上。比較的軽微な112種類の違反が対象で、酒酔い運転や妨害運転など24種類は対象外。ただし、14歳以上であれば赤切符の対象となり、14歳以下でも児童相談所への通告が行われる可能性がある。

 では「青切符」ではなく、「赤切符」で切られる違反はどうか。まずはスマホや携帯電話を操作しながらの「ながら運転」で事故につながるような危険な運転は、酒酔い運転や酒気帯び運転と同じ「赤切符」が適用される。危険なながら運転は6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金となる。

 また現在、ながら運転は都道府県公安委員会規則で禁止しているが、今回から道交法上の違反とし、反則制度の対象となった。

 居酒屋でビール飲んだ後、自転車に乗って家に帰る、というおじさんたちも要注意。クルマや原付と同様、これはれっきとした酒気帯び運転になるのを忘れなきよう。罰則はクルマと同じで、酒気帯び運転が3年以下の懲役または50万円以下の罰金となる。

 またイヤホンで音楽を聴きながら運転で、片耳ならOKなのか? 都道府県の多くは、自転車でのイヤホン使用を禁止する「公安委員会遵守事項」などと呼ばれる交通規則や条例があり、片耳でのイヤホン使用、骨伝導イヤホンの使用、自転車へのスピーカー設置のいずれの場合も、安全な運転に必要な交通に関する音や声が聞こえる状態を確保できない使用について、使用形態にかかわらず、イヤホンを使用しないよう定めている。

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■いい加減、自転車にも免許制度を創設しては?

自転車の罰則金は、信号無視6000円、一時不停止5000円、歩道走行6000円、傘さし運転(公安委員会順守事項違反)5000円などである(Kumi@Adobe Stock)

 自転車通行帯を走る自転車に気を使っているクルマがいると前述したが、それに関しても明記された。車道を走る自転車を保護する目的で、自動車が追い抜く際に十分な間隔がない場合には、自動車には安全な速度で走行すること、自転車にはできる限り左端に寄ることを義務づける自転車との間隔に思いやり規制も盛り込まれたのだ。

 法令では「十分な間隔」や「安全な速度」がどのくらいなのかは明示しないが、おおむね1~1.5m、速度は「自転車のスピード+5~10km/h」が目安のようだ。

 この規定は、自転車側の「できる限り道路の左側に寄って通行する義務」とセットとなるものだが、違反すると、自動車側は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、自転車側は5万円以下の罰金となるようだ。

 筆者の実感だが、自転車通行帯をできる限り左側を走っている自転車は少なく、あまり意識していない人が多いように思う。よく遭遇するのは、自転車通行帯を入る自転車が自転車通行帯の右側ギリギリを走っているため、すぐ横の左側車線を走るクルマが、右の車線にはみ出して、右側の走行帯を走っているクルマにぶつかりそうになるケース。

 また、道路幅が狭いため、自転車通行帯を走る自転車を追い越しできず、そのすぐ後を仕方なく低速で走り続けるケースも見かける。

 自転車、自動車側ともに思いやり運転をしないと違反となるのがポイント。ドライバーにとって自転車は頭の痛い問題……、とはせずに自転車、自動車の相方が、譲り合い精神で思いやり運転をしたいものだ。

 ひと言、言わせてもらいたいのは、電動キックボードにノーヘルで乗れるのは甚だ疑問である。2023年7月の法改正によって、16歳以上なら運転免許不要・ヘルメットの着用が努力義務で電動キックボードに乗れるようになっている。

 だが、筆者が見る限り、クルマと接触して転倒したら、重症を負ってしまうケースもありえるので、電動キックボードのヘルメット着用義務化を切に願っている。電動キックボードに乗っているあの女の子、もし追突されたら……と思うと、心配でたまらない。

 それにしても自転車に乗っている人は、軽々しく思っている人があまりにも多い。いまだに歩道を堂々と走っている自転車が多いこと多いこと。

 道路交通法上、自転車は「車両」と位置付けられていて、歩道と車道の区別があるところでは車道を通行するのが原則。違反した場合、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金となるのだ。

 こんなんだったら、自転車を買ったら道交法の講習を義務化すべきと思うのだがさすがに無理か。現状、一定の危険な反則行為をして3年以内に2回以上摘発された自転車運転者は、公安員会の命令を受けてから3カ月以内の指定された期間内に3時間の講習を受けなければならないことになっている。

 最後に。改めて自転車に乗る人は注意喚起してほしい。信号無視6000円、一時不停止5000円、歩道走行6000円、傘さし運転(公安委員会順守事項違反)5000円……、これらは違反した反則金である。よーく、頭に入れてほしい。

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