カーオーディオシステムを本格化させたいと思ったときには、何らかの「DSP」の使用がマストとなる。当連載ではその理由から、製品の選び方、そして使い方までを解説している。今回は前回に引き続いて、「イコライザー」の操作方法を紹介していく。
◆プロは聴感にて周波数特性の乱れを見極められるが、一般ユーザーはそうもいかない…
さて、イコライザーとはサウンドに味付けを加えるための機能でもあるが、本格的なシステムにおいては「元の音と同じにする」機能として使われることが多い。というのも車室内環境は狭いがゆえに反射音の影響が色濃く表れ、周波数特性が乱れがちとなる。結果、元々の音と音色が変化しやすい。しかしイコライザーを用いれば、周波数特性の乱れを正せる。
ちなみにプロがイコライザー調整を行う際には、各車にてチューニング用の楽曲を再生し体に覚え込ませてある正しい音との差異点を見つけ、それを正す。しかし一般ユーザーはなかなかそうもいかない。正しい音との差異点を見つけ出すのが難しい。
なので前回の記事では、それとは異なるイコライザーの操作方法を紹介した。今回はそれに引き続き、別のやり方を公開する。
「単体DSP」が搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:マリノサウンド<福井県>)。◆テスト信号を使って、1バンドごと音量の大小をチェック!
今回はこちらの方法から紹介しよう。それは「テスト信号を利用して1バンドごと点検していく」というものだ。ネット等で探して「31バンドイコライザー」の各バンドごとのテスト信号を入手して、その1つ1つを再生してみる。そうすると他のバンドと比べて音量が大きく感じられるバンドや、音量が小さく感じられるバンドが見つかるはずだ。
つまり、増幅(ピーク)が起きているバンドと減衰(ディップ)が起きているバンドを個別に見つけ出そうとするわけだ。そうして音量が大きく感じられるバンドはイコライザーで音量を下げ、小さく感じられるバンドはイコライザーにて持ち上げる。地道な調整法ではあるが、客観的に調整できる。
そしてもう1つ紹介しよう。それは「測定器を使う」というやり方だ。ちなみにこの方法はプロにも実践されることがあるが、プロは高度な機器を使用する。しかし一般ユーザーはそのような機器の入手は困難だ。でも、スマホアプリにも使えるものがある。それを用いると比較的に簡単にイコライザー調整を行える。
「単体DSP」が搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:マリノサウンド<福井県>)。◆「ピンクノイズ」を再生し、測定器アプリにてピークとディップを見つけ出すベシ!
なお、測定器アプリは「RTA」とか「リアル・タイム・アナライザー」で検索すると出てくるはずだ。
そしてこの方法においては「ピンクノイズ」と呼ばれる信号が必要となる。これをネット等で入手し愛車のカーオーディオシステムにて再生し、それを測定器アプリにてチェックしてみよう。
そうすると、どの周波数帯でピークやディップが起きているのかを確認できる。なのでピークとなっているバンドはイコライザーで下げ、ディップとなっているバンドは上げればOKだ。
ただしこれはあくまでも簡易的な方法なので、参考程度に使うにとどめよう。なぜならスマホのマイクの性能にも影響を受けて、厳密な測定を行うのが難しいからだ。
なお、測定は静かな環境下で行いたい。騒音がある中で実行すると、正しい結果を得られない。
今回は以上だ。次回はどのようなケースで「DSP」が力を発揮するか、そこのところを総括する。乞うご期待。
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