中東アブダビの先進モビリティ企業のCYVNホールディングスは、英国マクラーレンの自動車部門を買収することで合意したと発表した。

10月に発表された両社の提携構想が具体化したもので、CYVNはマクラーレンのレース部門の少数株式も取得する予定だ。

この買収合意は、アブダビのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子とバーレーンのサルマン・ビン・ハマド・アール・ハリーファ皇太子の立ち会いのもと、CYVNとバーレーン政府系ファンドのムムタラカット・ホールディング・カンパニーの間で交わされた。

CYVNは、マクラーレンに対して自社の持つエンジニアリングや設計能力、最先端技術、経験豊富な経営陣を提供し、同社の潜在能力を最大限に引き出すことを目指している。この買収は、CYVNが掲げる「グローバル産業リーダーとのパートナーシップを通じて、スマートモビリティプラットフォームを創造する」というビジョンの一環だ。

一方、ムムタラカットにとっても、この取引は自社のポートフォリオ最適化と長期的な財務リターンの確保を目指す戦略に合致している。

マクラーレンは1963年に設立された英国の自動車メーカーで、F1レースでの活躍でも知られる。しかし近年は財務面で苦戦しており、今回の買収によって経営再建を図る。

中東諸国は石油依存からの脱却を目指し、先進技術産業の育成に力を入れている。今回の買収は、アブダビとバーレーンが協力して自動車産業を含む先進モビリティ分野での存在感を高めようとする動きの一環とみられる。

取引完了には通常の手続きと規制当局の承認が必要だが、承認されれば、マクラーレンにとって新たな成長の機会となる可能性がある。

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