三菱は技術開発に関して難度の高さやコスト高などにくじけず、理論的な正しさを追求する姿勢が素晴らしい。鈴木直也氏が選ぶ三菱の技術トップ5をご紹介。

※本稿は2024年10月のものです
文:鈴木直也/写真:三菱
初出:『ベストカー』2024年11月26日号

■最先端技術の「さらにその先」にいた三菱

GDIエンジン(1996年登場)どこよりも早く、一般的なポート噴射に比べて10倍以上の噴射圧を高精度で制御できたのは三菱の技術力の高さの証

 1位はGDI。三菱がGDIを市販化した1996年頃は「ガソリン直噴の実用化はだいぶ先」が共通認識のなか、世界初で市販した実績はもっと高く評価されていい。

 商売的には「早すぎた商品」となったが、内外のメーカーが三菱のGDI特許ライセンスを導入し、後にダウンサイズターボに不可欠の技術となったのは忘れられない。

 2位は4WD技術。1980年代の初代パジェロ時代のオール・ホイール・コントロール(AWC)コンセプトが登場したのがスタート地点。ランエボで加速し、アクティブ・ヨー・コントロール(AYC)などが次々と登場し、走りが超絶に進化。そして現在はS-AWCとして進化中。

EV技術(2009年登場)世界初の量産EV。その技術はアウトランダ―PHEVにも生かされている

 3位はi-MiEV。典型的な「早すぎた商品」で、インフラや電池性能/コストなど、すべてにわたって市場が熟していなかった。ただ、2024年に日本で最も売れたEVは、日産サクラ/三菱eKクロスEVで、登場から15年経って、ようやく時代がi-MiEVのコンセプトに追いついてきた。

 4位はPHEV。i-MiEVで培った技術を生かしてアウトランダーPHEVを開発。三菱の読みは鋭く未来を予見していたが、またしてもフライング気味。性能は絶賛されるもHEVより割高な価格が祟って販売は低迷。現行モデルがブレイクするまで、約10年の雌伏を余儀なくされた。

 5位はサイレントシャフト。スムーズなエンジンを造るには6気筒以上が必須。この常識に挑んだのが、三菱のサイレントシャフトだ。三菱は2本のバランサーシャフトを上下にずらして配置して6気筒に匹敵する振動特性を実現。ポルシェが944用として特許ライセンスを購入したのは有名だ。

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■技術進歩の一助となる三菱のモータースポーツ

2024年のAXCRでは田口勝彦選手が総合5位。来シーズンのリベンジを誓った

 三菱と言えばラリー。三菱重工時代の1967年に海外ラリー初参戦。その後パリ・ダカ、WRCでチャンピオンを獲得し、世界的な名声を手に入れた。

 三菱のラリー活動の根底にあるのは、『市販車で闘うこと』。これを実践すべく、2022年からはアジア最大規模のラリークロスであるアジア・クロスカントリーラリーに参戦中。2024年はトライトンで参戦し、総合5位入賞を果たした。

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