自動車メーカーのモデルは自国内での売り上げが多いのが一般的だが、なかには国内よりも海外での人気のほうが高いクルマも存在する。今回はそうした海外で成功した国産5モデルを紹介していこう。

文/長谷川 敦、写真/スバル、トヨタ、ホンダ、日産

■日本では苦戦のセダンも海外では花形

●ホンダ アコード

日本国内では2024年から販売が開始されている現行型の11代目ホンダ アコード。先代よりも全長が長くなり、リアトレッドが広いのは海外志向の強さゆえか?

 現在は4ドアセダンで知られるホンダ アコードは1976年に初代モデルが登場したが、この初代は3ドアハッチバックであり、4ドアセダンが追加されたのは翌年からになる。

 そしてアコードは、初期のミドルクラスからアッパーミドルクラスへと、モデルチェンジごとに車格を上げ、現在ではホンダのフラッグシップモデルの地位を獲得している。

 このように上級セダンになったアコードだが、日本国内ではセダンの人気がSUVやミニバンに押される状況になり、10代目モデルに至っては国内よりも海外での発表&発売が先行するようになった。

 実際北米をはじめとする海外では、比較的安価で購入できる上級セダンとして高い人気を維持している。

 2024年に国内販売が開始された11代目は先代よりも大型化されていて、これも海外志向が強いことの現れといえる。

 日本市場でのアコード復権はあるのか、今後の動向に注目したい。

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■海外で愛されている日本産SUV

●スバル フォレスター

 日本国内での人気も十分にあるが、海外、特に北米で大人気になっているクルマがスバルのフォレスターだ。

 ワゴンモデルのレガシィをベースに開発されたフォレスターは1997年に初代モデルが発売され、2003年デビューの3代目モデルから現在のようなクロスオーバーSUVになった。

 そんなフォレスター人気に火がついたのがアメリカ市場だった。

 多くのアメリカンSUVに比べるとやや小さめなボディサイズでありながら、走破性の高いAWD(4WD)とハイレベルな足回りを備え、都会の舗装路と郊外の悪路でもしっかり走れるフォレスターの特徴は、現代のアメリカ人のライフスタイルにもフィットした。

 そして他メーカーの競合モデルよりも低く設定された車両価格も武器になり、北米でのフォレスター人気は確実なものとなった。

 現在日本で販売されているフォレスターは2018年登場の5代目だが、アメリカではすでに2023年のロサンゼルスオートショーで6代目の姿が公表されている。

●ホンダCR-V

 ホンダ製クロスオーバーSUVのCR-Vは、2024年時点で完全に海外での販売をメインにした車種として展開されている。

 初代モデルの誕生は1995年で、この時はシビックベースのクルマだったが、2006年発売の3代目からは車格が上がり、ボディも大型化されている。

 その後は順次モデルチェンジが実施されているが、2016年にはいったん日本国内での販売が休止になり、同じホンダ製SUVのヴェゼルにその座を譲っている。

 そして2018年には国内販売を再開するものの、2022年の6代目登場を機に再び国内市場から姿を消すことになる。

 その間も海外での販売は継続され、好調な販売成績を記録している。

 海外人気の理由はフォレスター同様に価格と内容のバランスが優れていることで、日本では少々大きく感じられるボディサイズも北米などでは問題にならない。

 6代目CR-Vの国内販売は2024年に開始されているが、ラインナップは燃料電池仕様のe:FCEVのみであり、アメリカからの輸入車扱いになっている。

 もちろん海外ではガソリンエンジンモデルやハイブリッドも展開されていて、国内のCR-Vファンにとってはうらやましいかぎりだ。

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■国内販売は終わっても海外人気は継続

●トヨタ カムリ

2024年から海外での販売がスタートした11代目トヨタ カムリは近年のトヨタ車のアイコンになるハンマーヘッドグリルを採用。日本未発売のモデルだ

 初代はスポーティモデルのトヨタ セリカをベースにした4ドアセダンで、1980年に登場したのがセリカ・カムリ。

 1982年発売の2代目からは単独名のカムリになり、初代のFRからFFモデルへと変更、以降はミドルクラスセダンとして独自のポジションを確立していった。

 国内でも手堅い人気を保っていたカムリだが、やがて国内でのセダン人気に陰りが見え始め、販売成績を思うように伸ばすことができなくなった。

 これに反して海外では好調であり、2000年登場の6代目は4年連続で全米ベストセラーモデルに輝いている。

 海外での人気が衰えることはなかったが、日本国内での苦戦は続き、ついに2023年にカムリの日本国内販売終了が決定された。

 対する海外では、2024年には前年に北米で発表された11代目モデルの販売がスタートし、中国でのリリースも始まっている。

 上質でありながら比較的手の届きやすい価格帯のカムリは、今後も人気の4ドアセダンであり続けるだろう。

●日産 シルフィ

 2000年に日産がパルサーの事実上の後継車種としてリリースしたセダンがブルーバードシルフィ。

 ブルーバードの名を冠するものの、5ナンバーサイズで作られ型番も異なる別系統のクルマであり、発売後しばらくは従来のブルーバードと並行販売されていた。

 2005年には2代目ブルーバードシルフィにバトンタッチし、2012年には3代目が登場、この3代目からブルーバードの名称が外されてシルフィのみのシンプルな車名になった。

 手堅い作りと使い勝手の良さから評価も高かったシルフィだが、日本国内でのセダン人気が下降したこともあり、2021年に国内販売が終了している。

 だが、実は日本での販売終了に先行する2019年には4月の上海モーターショーで4代目モデルが発表され、その年のうちに販売開始となっている。

 つまり中国では依然として人気モデルであり、実際に好調な販売実績を残している。

 中国でのシルフィ快進撃は続き、2021年にはe-POWERモデルが市場に投入され、2023年にはマイナーチェンジを実施。

 車名は変えられているが、4代目シルフィは北米やその他の国でも販売が続けられる人気の1台になっている。

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