交通取締りを専門に活動する、いわゆる「交パ」。最近ではほとんどがクラウンになったが、過去には2ドアスポーツクーペなどのスポーツモデルも数多く配備されていた。そんな異色の交パの歴史を振り返ってみよう。

※本稿は2024年10月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部、有村拓真、大塚正論
初出:『ベストカー』2024年11月10日号

■交パの世界に登場する異端車たち

埼玉県警のR34スカイラインGT-R。前期型、後期型など合計5台の白黒仕様を県費導入。写真は2001年導入の後期型VスペックII

 昭和の時代から平成期にかけて、交通取締り用パトカー(交パ)には思いもかけないスポーツモデルが導入されていた。

 もちろん交パと言えど主流はクラウンやセドリックだったのだが、高速道路を管轄する高速隊には、その存在感で速度違反を抑止する目的が大きかったのだろう、ハイパワーで走りのよさが際立つスポーツモデルのパトカーが配備されていた。

 特に衝撃的だったのは1990年代初頭に全国的に配備されたR32型スカイラインGT-Rだった。それ以前のスポーツパトは寄贈によるものがほとんどだったのだが、GT-Rは警察庁が導入したいわゆる国費モノ。その後1990年代中盤にかけてのスポーツパト時代の先駆けとなったのだ。

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■1960年代~1970年代……高速道路網の充実でスーパーパトカー配備

東名・名神高速に配備されたポルシェ 912。名神高速、東名高速の開通に合わせ、1967~1968年に愛知、京都、神奈川、静岡の各県警に4台が配備され、存在感を放った

 1963年から1968年にかけて名神高速、東名高速が開通すると、いよいよ日本にも高速道路の時代がやってきた。

 高速道路網が整備されるにつれ、高速道路の交通安全を担う専門の部門が警察に組織された。現在の高速隊だ。

 速度違反を取り締まるパトカーには、あえてスポーツモデルを導入することで、実際の取り締まり時の動力性能面での優位性はもちろんのこと、その存在感で速度違反の抑止効果を狙ったという側面もある。

 その象徴的存在だったのが1967年から1968年にかけて愛知県警、京都府警、神奈川県警、静岡県警に導入されたポルシェ912だ。当時の輸入元だった三和自動車が寄贈したのだが、東名・名神高速を走るポルシェ912は存在感絶大だったことだろう。

 1970年代には神奈川県警にフェアレディZ、広島県警にはコスモスポーツが導入された。そんななか、ひときわ異彩を放ったのが栃木県警のマスタングマッハ1だった。1973年、前年に部分開通した東北自動車道に配備された。1984年まで活躍したので見覚えあるという方もいるだろう。

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■1990年代……ハイパワー化の時代に合わせスポーツ化

神奈川県警に配備されたR32スカイラインGT-R。1990年頃、東名高速厚木インターチェンジ付近で神奈川県警のR32スカイラインGT-Rの白黒パトを目撃した時は我が目を疑った。国費導入で警視庁、愛知県警、静岡県警など各地に配備

 1990年代はスポーツタイプのパトカーが大量導入され一気に花開いた時代だった。

 1989年のZ32フェアレディZ、R32型スカイラインGT-Rが口火を切った280ps時代に対応するように、国産車のハイパワー化が進み、速度違反の抑制を狙いスポーツタイプのパトカーが国費モノとして全国配備されるようになったのだ。

 その第1弾がR32GT-R。GT-Rが配備されなかった県にはGTOツインターボが配備された。FD3S型RX-7もパトカーに採用されるなど、次々とスポーツパトが登場したのだ。

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