ウイングボディのウイング開閉装置は油圧式が主流だが、パブコが開発した電動チェーンユニット搭載ウイング開閉装置は100%電動式。一体どんなメリットがあるのか? 納車直前の初号車をレポートした!!

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部

油圧を使わない世界初のウイング開閉装置

パブコが開発した電動チェーンユニット搭載ウイング開閉装置を搭載したウイングボディ。ウイング開閉装置以外の見た目は通常のウイングボディと同じだ

 ウイングボディは荷台側面にスポーツカーのガルウイングのような大きなドアを持つトラックボディ。ドアの開閉装置は油圧式が主流だが、このほど100%電動式の開閉装置が大手架装メーカーのパブコから登場した。

 それが同社が昨年9月に発表した「電動チェーンユニット搭載ウイング開閉装置」だ。

 同装置は大手産業用チェーンメーカーの持つ「かみ合いチェーン」の技術をベースに開発されたもので、同技術のトラックボディへの採用は世界初になるという。

 かみ合いチェーンは、2本のチェーンをジッパーのようにかみ合わせることで1本の強固な柱状とし、それをモーター駆動のスプロケットで動かすことでモノの「押し/引き」を行なうもの。

 今までは垂直方向に動くタイプのみのラインナップだったが、新たにアーチ状に動くタイプが開発されたことから、ウイング開閉装置としての開発が進められたという。

電動ウイング開閉装置のメリットとは?

前壁頂部に搭載されるウイング開閉装置。2本のチェーンは左右の白いケースにジャラジャラとした状態で収納されており、中央のスプロケット内臓の駆動用モーター部からかみ合った状態で伸びてくる

 同装置の特徴は何と言っても「油圧を一切使わない」という点。従来の開閉装置は、電動オイルポンプを回して油圧を発生させ、油圧シリンダーを駆動させてドアを開閉していたが、新機種は100%電動のため、オイルポンプや作動油が不要となる。

 その結果、作動油やホース類の定期交換が必要なくなり、メンテナンスの手間/コストが大幅に低減。万一の故障時に作動油が荷台内に漏れて荷物を汚してしまう……、といったリスクもなくなるから、運送会社や荷主にとっては大きなメリットがある。

 また、従来の油圧式は荷室内寸を確保するため油圧シリンダーを窮屈な姿勢で搭載しており、ドアを持ち上げる際に大きな負荷がかかっていたが、新機種はチェーンをドアが開く方向に動かすので負荷が小さく、装置の長寿命化も期待できる。

 さらに、負荷が小さくなるので作動音も従来のウイングと比べて小さく、静音性も向上。装置がコンパクトで、オイルポンプも不要になることから、架装性も向上する。

 なお、電動ウイング開閉装置はFRPサンドイッチパネルを採用した次世代型ウイング「エクシオウイング・プロエディション」にオプション設定される。今後のさらなる展開に注目だ。

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