現在進行形で目覚ましい発達を見せる生成AI。2024年の3月に、「バス」をお題にイラストを描かせてみたところ、人知の及ばない前衛的な作品をお見舞いしてくれた。あれから8カ月、何か変わったところでもあるか気になったので、また描かせてみた。

文:中山修一
生成イラスト:Adobe Firefly
(AIさんが頑張って描いてくれたバスのイラスト付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBをご覧ください)

■Adobe社の生成AIで2度目のバスお絵描き

2024年3月時点のラインナップ

 今回使用するのは、前回に引き続きAdobe社が提供している「Firefly」と呼ばれる生成AIさん。出力した画像を商用利用できるのが最大の特徴だ。

 前回投げたお題は「バス」、「路線バス」、「バス 自動車」、「渋谷の交差点を走る路線バス」、「都営バスの車庫」の5種類。その結果を振り返ると……

(1)バス→→→秋の風景画
(2)路線バス→→→小屋
(3)バス 自動車→→→乗り物らしき設備の車内
(4)渋谷の交差点を走る路線バス→→→命知らずの歩行者が集う何となく渋谷
(5)都営バスの車庫→→→LRTみたいな物体の置かれた倉庫

……といった強力なラインナップで固めてきた。

■同じテーマで発注してみると?

 今回もまったく同じお題を投げて、変化があるか確かめてみることにした。まずは「バス」とだけ入力して生成ボタンを押した。

「バス」とだけ入力して出て来たのがコチラ

 すると出てきたのは秋の風景画ではなく、一応バスの形をした乗り物の絵。少なくとも的外れというか「バス? うるせえよ」みたいなレスポンスは見せなくなったので、ちゃんと進歩しているぞ!!

 バスの形状を見ると、全長12mクラス(もしくはそれ以上)のハイデッカー高速/貸切車のようなスタイル。客室の下がトランクルームになっている表現もそれなりに押さえている。

 全体的なデザインは、前面にLEDが散りばめられた吊り目ヘッドライトと、1枚窓のフロントガラスに腕組み型のワイパーが取り付けられた顔つき。

 更に、おでこ付近には過剰なほど前に突き出た、ゾンビの腕を連想させる大型のサイドミラーが左右にぶら下がる、いかにも現代的な(外車の)バス車両の風体だ。

 しかし、Adobe社はアメリカの企業なので、左ハンドル車(と、思われる)が当たり前だと思っているフシがAIさんにあるのは、お国柄から来る刷り込み効果の賜物だろうか。

■AIだって気分次第?

 次は「路線バス」。単にバスとだけ入れて、概ね注文通りのものが出てくるようになったので、あまり変わらないだろうと予想した。

お題「路線バス」。屋根に付いている謎の出っ張りはエアコンか

 出てきたものは、高層ビル街を走行中の大型バス車両であったが、AIさんはハイデッカー車がお好きなようで、車両のデザイン的には「バス」のお題とほぼ同じだった。

お題「バス 自動車」。茶室の入口みたいなドアのついた右ハンドル車(?)

 続けて「バス 自動車」で出てきたものは、やはり「バス」と同じ要領のハイデッカー車。ただしこちらでは右ハンドル車(?)の割合が何故かちょっと多かった。気が向くと描いてくれるらしい。

■渋谷っちゃ渋谷かも

 4つめのお題「渋谷の交差点を走る路線バス」では、横断歩道のゼブラを過剰に強調した都会の交差点を左折しつつある、赤と白のツートンカラーのバスの絵が出現した。

お題「渋谷の交差点を走る路線バス」2024年10月版

 あれほどハイデッカー車にこだわりを見せていたものの、渋谷が絡んだこの絵では、10.5mクラスの大型路線車風のテイストに変更されている。まあ左ハンドルだけど……。

 しかし背景に高層ビルが林立しているものの、雰囲気的は新宿というか有楽町というか。AIさんにとって、渋谷といえばスクランブル交差点だから、でかい横断歩道さえあれば全部渋谷、という大胆な解釈に基づいているのかもしれない。

 同じお題でもう一枚提示されたものは、都会のビルに挟まれた右側通行の道路を、流線型で満鉄ダブサみたいなヘッドライトの付いた謎の移動装置が通過していく様子。バックのビルに立っている赤いクレーンがワンポイントか。

もう一つのAI的渋谷の交差点。交差してない

 イラストの右手には、横断歩道とガードレールで行き止まりになっている分岐が描かれており、工事中の渋谷駅前バスターミナルっぽさを2mmくらい感じる。

■オレにはコイツが都営だ!?

 5つめのお題「都営バスの車庫」。今回はどうなったか、2枚の作例を見てみると、いずれも卸売センターみたいな巨大な上屋(屋根)のある場所に、バスと見られる物体が複数台置かれている構図だ。

お題「都営バスの車庫」。気分は卸売センター

 「都営」と注釈があっても、車体色は1枚目がスカイブルーで2枚目は白。AIさんの中で考えている都営像とはこういうものらしい。

右側の団地っぽさを持つ壁のような構造物が印象深い

 この中で2枚目のイラストに注目すると、右寄りに団地のような建物が描かれている。これはもしかして、都営バス南千住自動車営業所のイメージか!? 想像力が膨らむ。

都営バスの車庫・イラスト調。邪悪なふたり……

■もう1テーマ描かせてみた

 最後に新規でお題をひとつ、「横浜市営バスと山下公園」で発注だ。これならベイブリッジ、ランドマークタワー、氷川丸、マリンタワーのどれか一つくらい表現してくるハズ。

 こちらも2枚の作例に注目。1枚目(今回のタイトル画像に使用)を見ると、左奥に鎮座するランドマークタワーっぽい形の高層ビルを筆頭に、「気持ちはわかるよ」と感じさせる、みなとみらい的な建物が並んでいる。

 その手前が緑の多い公園になっているが、山下公園にこんな松の木みたいなの大量に生えてたっけ? などと口に出してはいけないんだと思う。さらに前面はウォーターフロント……というよりも池。

 その水面を、薄目で見れば「白い」という点がシーバスを彷彿とさせる、ヨーロッパの近郊列車に使われていそうな、スラントノーズで2階建構造になっている遊覧船のようなものが航行中。そんな様子が描かれてる。

※「シーバス」は魚のスズキから取られているので、BUSではございません……。

 一方は、秋のヨコハマをイメージしたもの。背景にはランドマークタワーのような何か+高層建築群が並び、紅葉に染まる街路樹の手前に敷かれた左側通行の道を、長さ20mを優に超えるロングボデーがまぶしい、左ハンドルの超大型路線車が走行している姿を捉えた力作だ。

やたらめったら長いのはベイサイドブルーのイメージ?

 相変わらず謎要素がうごめく作風が中心とはいえ、2024年3月の段階から比べると、たった8ヶ月の間にかなり精度が上がってきている印象を持った。またしばらく間を置いてから、様子をうかがってみるかな。

お題「氷川丸」で発注したらこうなった

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