カーオーディオシステムを進化させたいと思ったときの製品選びのポイントを、多角的に解説している当連載。現在は「スピーカー」の選び方のコツを説明している。今回は、製品の絞り込みの際には取付費用も勘案すべきであることについて深堀りしていく。
◆カー用のスピーカーは、売られている状態ではまだ“半完成品”!
スピーカーに限らず、カーオーディオ製品を購入しようと思う際にはまず予算を計上する必要があるが、ことスピーカーに関しては「予算=製品代」とはならない。例えば予算が10万円だったとして、スピーカーそのものに割り当てる金額は半分の5万円程度で残りの5万円は取付費用に充てることとなる場合も少なくない。
さて、このように取付費用が多めにかかるのはなぜなのかというと…。答は、「カー用のスピーカーは取り付けて初めてスピーカーとしての体を成すから」だ。
というのも、ホーム用のスピーカーはスピーカーユニットが箱(エンクロージャー)に取り付けられた状態にて完成品となっている。そしてその箱も当然ながらスピーカーの一部だ。対してカー用のスピーカーはスピーカーユニットのみにて売られていて、そのままではまだスピーカーとして半完成品だ。
市販「インナーバッフル」の一例(カロッツェリア・UD-K621)。スピーカーの取り付けにはまず、土台となるパーツインナーバッフルが必要に!
というわけでスピーカーを取り付ける作業とはつまり、スピーカーを“作る”作業に他ならない。なので取り付ける際には、その他の部材代や作業代が発生する。
では、どのような工程が必要となるのかを具体的に説明していこう。まずドアスピーカー(ミッドウーファー)を取り付ける際には、「インナーバッフル」と呼ばれる“土台”となるパーツが必要となる。
これが必要となる理由は以下のとおりだ。スピーカーユニットをドアの鉄板に直付けすると、足場が軟弱で踏ん張りが効かず振動板を動かそうとするエネルギーをロスする。また振動板の振動が鉄板に伝わりやすくなるので鉄板の共振量が増える。しかしインナーバッフルを用いれば、足場が固まり振動板を動かそうとするエネルギーをロスしにくくなり、鉄板の共振も抑制できる。
なおインナーバッフルは、できればワンオフした方が良い。作るのであれば、取り付けるクルマのドア内部の鉄板の形状とスピーカーのフレームの形や大きさにジャストフィットするものを用意できる。
市販「インナーバッフル」の一例(カロッツェリア・UD-K531)。◆総費用を抑えたければ、インナーバッフルは既製品をセレクトすベシ!
ちなみにインナーバッフルには既製品もあるので、総費用を抑えたいと思うときにはそれを使っても良い。なお市販品にもいろいろとあるので、価格と性能(耐久性等)とを鑑みながらセレクトしよう。
そしてドア内部の音響的なコンディションを上げるための作業である、「デッドニング」も行いたい。なお当作業はまさしく、「スピーカーボックスを作る」作業工程となる。
ただし、デッドニングをどの程度まで行うかは検討の余地がある。手をかければかけるほどドア内部の音響的なコンディションは上がっていくが、手厚くやるのは後からでも良い。そうすれば予算の多くを製品代に注入できる。
またデッドニングを後から手厚く行うと、その効果のほどが良く分かる。1度それを体験しておくとデッドニングの必要性を学習できるので、その意味でも後から行うのはアリだ
今回は以上だ。次回は取り付けにおけるその他の工程方について説明していく。お楽しみに。
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