ここ数年はコンパクト系に押されがちながら、相変わらず元気なミドルサイズミニバン。どの車種も魅力に溢れているが、新車は高くてちょっと手が出せない。そんな人にお薦めなのが、先代モデルの中古車。100万円台で人気モデルが十分に狙えるのだ。
文/木内一行、写真/トヨタ、日産、ホンダ
■日産・セレナ 「前期ならプロパイロット装着車だって射程圏内」
日産ミニバンの基幹車種であるセレナ。現行モデルは新車販売の売り上げも好調で、e-POWERが4WD車にも追加設定された。それゆえ、この勢いは当分続くのではないだろうか。
そんな波に乗っているセレナだから、現行モデルを手頃な価格で手に入れることは難しい。しかし、先代なら魅力的なプライスで見つけることも可能だ。
2016年に登場した先代セレナは、長年にわたってミニバン市場を牽引してきたDNAを継承しながら、広い居住空間や高い利便性に磨きをかけつつ最新の先進技術を採用。
室内空間はいっそう広くなり、クラスナンバー1の室内長と室内幅を実現。さらに、Aピラーのスリム化やメーターデザインの改良により、広々としたクリーンな視界も確保している。
また、2列目の超ロングスライド機構などにより、使い勝手を極めたユーティリティ性能も大きな魅力となっている。
そして、先進装備の数々にも注目。同一車線自動運転技術「プロパイロット」をミニバンクラスで世界初搭載。加えて、インテリジェントパーキングアシスト、アラウンドビューモニターといった駐車サポート機能も進化している。
ちなみに、パワートレインはガソリン仕様とマイルドハイブリッド仕様の2種で、4代目からキャリーオーバーされたMR20DDは各部に改良を施したことで燃費性能が向上。2018年にはe-POWERも追加された。
現在の中古車市場での相場は、下は70万円ほどから上は350万円程度までとかなり幅広い。
しかも、200〜300万円あたりに最も集中している状況だ。ただし、前期モデルであれば、100万円台の物件もゴロゴロある。
人気のハイウェイスターやプロパイロット装着車だって選ぶことができるのだ。
セレナの中古車をもっと見る ≫■トヨタ・ヴォクシー/ノア 「一番お手頃なのは標準モデルのノア」
トヨタは、ミドルサイズミニバン市場においてヴォクシー/ノアで盤石の体制を築いている。
この強力なペアが誕生したのは2001年で、現行モデルですでに4代目となったが、人気の高さは相変わらずだ。しかし、中古車としてウマミがあるのは先代。魅力的な機能や装備がありながら、100万円台で狙えるのだから。
2014年にデビューした先代の一番のセリングポイントは、なんといってもクラス初の本格ハイブリッドモデルを投入したこと。
ハイブリッドシステムは1.8リッターエンジンにモーターをドッキングしたリダクション機構付きTHSIIで、基本的にはプリウスなどと同じ。その実績十分なシステムにより、クラス最高の燃費性能と航続距離を達成したのである(ガソリンエンジン車もあり)。
そして、広さと使いやすさ、エモーショナルさを両立したエクステリアや、大幅に広くなった居住空間と優れた乗降性も大きな魅力だ。
個性豊かな表情と魅惑的な印象を備えた力強いハコ型としながら、前後の意匠でヴォクシーとノアを差別化。
前者はヘッドライトをつなぐ上下二段グリルのマスクでカッコよさや力強さを、後者はアンダーグリル一体の大きなグリルとヘッドライトにより堂々とした雰囲気や存在感を追求したという。
また、革新の低床フラットフロアの採用により、クラストップレベルの居住空間を確保。合わせて、低くてステップのないフロアにより、乗降性が飛躍的にアップしたのだ。
このように、さまざまな面でライバルを超えるべく開発された先代は、中古車としての狙い目も十分。
両者とも100万円台で狙えるのは2014〜2018年あたりだが、相場はノアの方がやや低め。また、エアログレードは高めなので、価格重視ならノアの標準モデルがベストだろう。
ちなみに、もうひとつの兄弟車であるエスクァイアは、新車価格は2台より高かったが、中古車相場に大きな差はなし。流通量も極端に少ないわけではないため、お得感があるかも。
ヴォクシーの中古車をもっと見る ≫ ノアの中古車をもっと見る ≫■ホンダ・ステップワゴン 「標準グレード狙いなら高年式をゲットできる」
セレナやヴォクシー/ノアといった強力なライバルに、真っ向勝負を挑んでいるステップワゴン。
2015年発売の先代モデルは、初代からのステップワゴンらしさを受け継ぎながら、高い機能性とホスピタリティを追求しつつ、独自の先進装備も投入したモデルだ。
そんな先代ステップワゴンのトピックはいくつもあるが、そのひとつがクラス最大級の室内空間と「わくわくゲート」だ。この「わくわくゲート」は、縦開きのテールゲートに横開き式のサブゲートを設け、縦にも横にも開閉できるというもの。
これに加え、3列目シートを左右に分割して床下収納できる「マジックシート」を採用することで、リアゲートから3列目への乗降も可能にしている。
パワーユニットも見どころで、初めてダウンサイジングターボを搭載。ホンダ初となる直噴1.5リッターVTECターボは、小型タービンやバルブタイミングコントロール機構などにより、常用域で2.4リッターエンジン並みのトルクを発生しながら、クラストップレベルの燃費性能も実現する。
そして、安全運転支援システムのホンダセンシングが搭載されたこともニュース。ミリ波レーダーと単眼カメラによる精度の高い検知能力で、安全運転をサポートしてくれるのだ。
なお、2017年のマイナーチェンジではスパーダの外装を刷新するとともにシリーズ初のハイブリッドも設定し、いっそう魅力が増した。
先代も人気は高く、中古車の相場は決して低くはない。120万円程度から見つけられるが、上はなんと400万円超もあるほど。そんななか、100万円台で狙えるのは2015年〜2018年が中心となる。
また、スパーダは全体的に人気で、2017年のマイナーチェンジ以降だと200万円が最低ラインと考えたい。反対に、標準グレードならより高年式も狙える。
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