こまめなチェックが必要ということは知りつつも、実際に測ったことがあるという人は案外少ないのがタイヤの空気圧。特に問題がないから……なんて放っておくと、思った以上にデメリットがある可能性も!?
文/井澤利昭、写真/写真AC
■タイヤの空気は自然に抜ける? 知っておきたい空気圧の適正値
タイヤの空気圧をチェックする際、前もって知っておかなければいけないのが、その適正値だ。
それぞれのクルマの空気圧の適正値である「車両指定空気圧」は、運転席側のドアの周辺や給油口の近くに貼られたシールに記載されているが、仮に同じクルマであっても年式や型式、タイヤのサイズ、場合によっては前輪と後輪でも違ってくるので注意が必要。
いっぽうでタイヤサイズが同じであれば、タイヤ自体の銘柄が変わっても「車両指定空気圧」は基本的には同じとなる。
空気圧のチェックは一般的には1カ月に1回程度が目安と言われているが、運転する頻度や高速道路の利用が多いという場合にはタイヤへの負担も大きくなるため、2~3週間に1回程度はチェックが必要。
日頃からタイヤの空気圧を気にしていないドライバーからすれば、意外なほど短いスパンでのチェックが必要なことに驚くかもしれないが、これはタイヤの空気が思っている以上に自然と漏れてしまうためだ。
一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)が調査したところによると、乗用車用のタイヤでは1カ月で5%程度も空気圧が自然に低下し、高速道路で点検を実施した4台に1台のクルマが空気圧不足の状態だったという。
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■タイヤの空気圧が低いことによるデメリットは?
では、空気圧が低すぎるタイヤには、どのような不具合が起こる可能性があるのだろうか。
しっかりと空気が入っている状態のタイヤがほぼ真円に近い形になっているのに比べ、空気圧の低いタイヤは変形してたわんでしまうため、転がりが悪くなる。
こうした状態でまず考えられるのが、タイヤの偏摩耗だ。
偏摩耗とは文字どおり、本来はほぼ均等に減るはずのタイヤのトレッド(路面と接地している面)が、ある部分だけ偏って異常に減ってしまう現象のこと。
偏摩耗は走行時の振動や騒音の原因になるだけでなく、寿命の低下や、グリップや排水性といった、本来そのタイヤが持つはずの性能を十分に発揮することができなくなる。
一般的には空気圧が低すぎるとタイヤの左右どちらかが極端に減る「片減り」や、ショルダー部分が減る「肩落ち摩耗」が起こりやすくなるとされ、反対に空気圧が高すぎるとタイヤの中央部分が減りやすくなると言われている。
また、タイヤが変形することで回転時の抵抗が増え、ドライバーの操作に対してクルマがきちんと反応してくれないという、操縦性の悪化につながることも。
加えてこの回転時の抵抗は、走行時に無駄なパワーを必要とするため燃費の低下につながり、お財布にも優しくない。
一般社団法人省エネルギーセンターのデータをもとにしたJATMAの試算によると、適正な空気圧から50kPa不足した状態で走ると、市街地で2.5%、郊外で4.3%、高速道路ではなんと4.8%も燃費が悪化するという結果が出ており、これは1リッター当たり4~7円も高いガソリンを使用しているのと同じ計算になるという。
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■自然に減る以外にもさまざまある、タイヤの空気圧が低下する理由
冒頭でも少し触れたとおり、タイヤの空気圧が低下する大きな原因のひとつが、自然な空気漏れだ。
密封されているはずのタイヤの空気が自然に抜けることを不思議に思う人もいるかもしれないが、タイヤの主な素材であるゴム自体に空気を通す性質があるため、走行距離や使用する頻度に関わらず空気圧は下がってしまうワケだ。
さらにそれ以外にも、タイヤの空気圧が下がる原因はいくつか考えられる。
なかでも空気を充填する際の入口となるエアバルブの不具合による漏れは、けっこうありがちなケース。
空気を入れる部分である金属製の筒の中にあるバルブコアが緩んでいたり、空気の漏れを防ぐためのゴム部分に劣化や亀裂などがあると、空気圧低下の原因となってしまう。
また、タイヤとホイールの組み付けが悪かったり、事故などによるホイールの変形、ホイールと密着しているタイヤのビード部分の不具合などが、空気圧低下の原因となることも。
自然に漏れるより明らかに空気の減りが早いと感じた場合は、バルブなどに不具合がないかを自身で確認するのはもちろん、大きな事故につながる前に、ディーラーやカー用品店といった知識のある専門家に相談するようにしたい。
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■やはり大切なのは、タイヤを労わる日頃のメンテナンス
何もしなくても自然に下がってきてしまうタイヤの空気圧への対策は、やはり日常的なメンテナンスが重要になってくる。
最低でも1カ月に1度はエアゲージを使って愛車のタイヤの空気圧チェックし、適正値より下がっているようであれば空気を補充することを習慣づけたい。
空気圧のチェックは、ディーラーやカー用品店に加え、ガソリンスタンドでもできるため、給油や洗車のついでにお願いするのがおすすめ。
セルフスタイルのガソリンスタンドでは、空気充填機を借り、自分で空気圧の確認や充填ができる場合もある。
空気充填機には、球体に持ち手が付いたカタチのエアタンク式のものや、スタンドに備え付けられた据え置き型があるが、操作は思った以上に簡単。
エアタンク式であれば、キャップを外したエアバルブに充填機のホースの先にあるノズル部分をしっかりと差し込み、空気圧計の数値を見ながら、+ボタンを押して適正値まで空気圧を上げていく。
もし入れすぎてしまった場合でも、-ボタンを押せば空気を抜くことができるので問題はない。
据え置き型の場合はもっと簡単で、ボタンやダイヤルで適切な空気圧を設定したら、ノズルの先をタイヤのエアバルブにしっかり差し込むだけ。
なお、走行した直後などタイヤが温まった状態では、内部の空気が熱で膨張している可能性があるため、空気圧のチェックはタイヤが冷えた状態の方が、より正確に測定することができる。
また、空気圧をチェックする際はタイヤの状態やバルブからの空気漏れ、バルブキャップが外れていないかもあわせて確認しておくと安心だ。
思った以上に、愛車の走行性能や燃費、タイヤの寿命などに大きな影響を与える空気圧の低下。今までチェックしたことがないという人も、ぜひこの機会に気にしてみてほしい。
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