モータースポーツが他のスポーツと大きく異なるのが道具による差が大きいところ。クルマを使って競うのは莫大な資金力が必要なのだが、実は庶民でも参加しやすいレースは意外とある! その中の一つでもあるGR86/BRZ Cupに潜入してみて魅力を探ってみた。

文・大井貴之/写真・ベストカーWeb編集部

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■資金力が大きく関わるモータースポーツ

比較的に腕で勝負ができるワンメイクレース!! フェラーリで戦うのもあればヤリスで争うものまで色々

 モータースポーツは道具のスポーツ。つまり、天才的な速さを持つドライバーでもマシンのポテンシャルが低いと勝つことは出来ないという話。それは世界最高峰のレース、F1GPだって同じ。道具の差。

 違う言い方をすると資金が豊富か否か。残念な言い方をすると、圧倒的にお金持ちが有利。それがモータースポーツと言っても過言ではない。しかし、ドライバーの優劣で勝負したい! させたい! というカテゴリーもある。それがワンメイクレースだ。同じクルマを使い、ドライバーの腕だけで勝負が出来る世界。

 現在、日本で開催されているワンメイクレースはホンダの軽自動車N-ONEで走る「N-ONE OWNER’S CUP」、トヨタ・ヤリスで走る「Yaris Cup」からBMW M2とMINIで走る「BMW&MINI Racing」やフェラーリ488チャレンジEVOで走る「フェラーリ・チャレンジ・トロフェオ・ピレリ・ジャパン」まで沢山のカテゴリーが存在する。

 そこに資金力の差はないの? という話は置いておいて、今回は比較的身近な存在として注目されている「GR86/BRZ Cup」に注目したい。

 GR86/BRZ Cupはその名の通り現行のGR86とBRZによって走るレース。GR86とBRZでは足回りの作りに若干の違いがあるのだが両車にはCup Car Basicというこのワンメイクレースに出るための共通のグレードがあり、6点式ロールケージ、エンジンオイルクーラー、冷却フィン付きのデフキャリアなどレースを走るための基本が標準装備されている。

 全国のディーラーチームやトヨタの関連企業も多く参戦しているこのレースには、スーパーGTの現役ドライバーなどがしのぎを削っているプロクラスと、アマチュアドライバーによって競われるクラブマンクラスという2つのレースが用意されていてプロクラスの車両は足回り、タイヤ、マフラーに選択肢があるが、アマチュアクラスはDIREZZA ZIII CUPという専用タイヤ一択。

 足回りもTRD製の一択。マフラーの変更は不可と更に絞られ、更にコストを抑えた腕の勝負!といったレギュレーションとなっている。

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■第6戦GR86/BRZ Cupに潜入!

 今回は、このレースに突然参戦することになったDEKATO選手のレースにスポットを当ててみた。挑戦したのはアマチュアドライバーのみで争われるClubman Seriesの第6戦となる鈴鹿サーキットラウンド。

 監視カメラやエアコンなどを中心に扱う電気工事屋さんが本業のDEKATO選手だが、レース経験は豊富。スーパー耐久の表彰台はもちろん、ニュル24時間耐久レースでクラス優勝をした経験もあるドライバーなのだ。

 立派なレースのリザルトはどれも20年ほど前の話だが、今でも超の付くクルマ好き、走り好き、チューニング好きの51歳。腕は確かだ。さて、DEKATO選手の戦いぶりは如何に!

*レースの模様は動画を観てください。

 というわけで、予選B組でトップタイムをマークしフロントローからスタートした池島実紅選手が遂に初優勝! しそうな展開だったが、SC導入によって阻まれてしまう大波乱。逆の見方をすると、SCアウトの逆バンク出口でトップに出た#186佐藤選手のオーバーテイクは見事!

 更に、その佐藤選手を追い込み、ミスを見逃さなかった#41岸本選手のドライビングも素晴らしいものだった。DEKATO選手は予選9位、決勝9位。劇的なレースを見慣れている人にとっては地味に感じるレースだったかもしれないが、ナンバー付きのクラブマンクラスとはいえその内容は超シビア。

 オンボード映像を観た印象では、トップ争いが出来るほどセッティングが出ていないと感じた。否、セッティングを活かし切る走りが出来ていなかったのかもしれない。そのために必要なのは、走り込みだ。

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■庶民でも参加しやすいレースって?

トヨタのGR86で戦うGR86/BRZ Cupのクラブマンシリーズはかなり安い。とはいっても年間1000万円級の覚悟は必要だが……

 今回のレースはマシンのカラーリングを見ても分かるように、瀬戸製作所チームの車両。サーキット走行が大好きな瀬戸製作所の会長が、走るのが大好きな社員のために用意したレース車両だったが、想像を遥かに超えるハイレベルなレースであることが分かり1戦で断念。

 出入り業者でサーキット仲間でもあるDEKATO選手に声が掛かった。というわけで、突然転がり込んだ楽しい話。本来ならカップカーを購入し、バケットシートやシートベルト、アルミホイール、機械式LSD、ミッションオイルクーラーを装着するなどレース用に仕上げると軽く見積もって約700〜800万円(車両代込み)。

 DEKATO選手の場合は実戦レースのブランクが長かったため、レースに使用出来る期限が切れたヘルメットなどのドライバー装備品の新調。そしてこれまた期限が切れていた鈴鹿のサーキットライセンスを更新などにも大枚を払い、そこからセッティングやドライビングで戦闘力を上げるための走り込みが始まる。

 1セット約12万円のタイヤを1レースに3〜4セット使うということもあり、1戦の参戦費用は100万円が目安。ということは、新車を買ってレース用に仕立て上げて1年間レースをするとなったら、800万円+100万円×7戦。2年目以降、クルマがあったとしても700万円。消耗品やクラッシュの修復費を考えると1000万円は覚悟しておく必要があるだろう。

 あれ? 厳しいレギュレーションによってコストが抑えられ、腕で勝負が出来るカテゴリーじゃなかったの?? という声が聞こえてきそうだが、・・・それは比較論。ちなみにポルシェ911GT3 cupで走るワンメイクレースでは、ミッションが壊れただけでこのクラブマンレースの年間予算を超える。と考えると、GR86/BRZ Cupのクラブマンシリーズはかなり安い。とも言える。

 庶民感覚の持ち主でもどうにか参加出来るレースに出たい! というのなら、企業名が大きく入っていたりしないクルマが走っているカテゴリーを選ぶこと。ステッカーを貼っていない、つまりノースポンサー。ポケットマネーで走れるという証。

 これに該当するのが、軽自動車で走る「N-ONE オーナーズカップ」や「ヤリスカップ」、そしてロードスターの「パーティレース」だ。N-ONEなら2ペダル。ヤリスなら2ペダルでも3ペダルでもレース参戦が可能。

 ロードスターは接触したらペナルティというマイカーレーサーにとって有難いルールもある。しかも、それぞれのカテゴリーにはそのままの仕様で参加出来る耐久レースが用意されているところも魅力。

 他にもレンタルマシンでレースをするAUDI A1 FUN CUPなんてレースもある。日常では決して味わうことが出来ない刺激的なモータースポーツ。ヒリヒリした時間を体験したら虜になること間違い無し。

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