免許を持っている人なら、特に操作説明を受けなくてもクルマの運転はできる。ただし、最近のクルマには従来のクルマにはなかったスイッチがあるものがあり、運転中に「これなんだっけ?」なスイッチも存在する。

文/山口卓也、写真/写真AC、アイキャッチ画像/Natallia@Adobe Stock

■納車後に取り扱い説明書を熟読する人はあまりいない…

 そうなんである。クルマにも家電などと同じように取り扱い説明書はあるのだが、ある調査によると約2割の人が「読んだことない」んだそう。

 基本的なクルマの運転方法を知っているから免許を持っているわけで、取り扱い説明書なんて読まなくても運転はできる。

 しかし、取り扱い説明書を読むと、今まで知らなかった愛車の機能を知ることができるし、愛着も湧くというもの。

 しかもこの取り扱い説明書、ディーラーで購入するとけっこうな金額。うまく活用しないともったいないと思う。

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■“A”のマークのスイッチ、コレって何?

混同されることも多いオートライトとオートハイビーム。左がオートライト、右がオートハイビームだ

●ヘッドライトはハイビームでの走行が基本

 道路交通法では夜間や悪天候時、トンネル内ではヘッドライト点灯が決められている。

 加えて、「基本的にはハイビーム(正式名称:走行用前照灯)で走行し、すれ違いや前走車のすぐ後ろを走行する場合には減光するか、ロービーム(正式名称:すれ違い前照灯)に切り替えること」とされている。

 つまり、ヘッドライトの正式名称のとおり、通常走行では基本ハイビームを使い、対向車や前走車のすぐ後ろを走行する時のみはロービームを使用。そして高速道路でもハイビームが基本である。

●オートハイビームは便利だが……

 “オートハイビーム”とは、前方の状況に応じて自動的にハイビームとロービームを切り替える自動切替型前照灯のこと。

 ただし、メーカーによっては名称や、操作・設定方法も異なるため、まずは自車の取り扱い説明書で確認してほしい。

●“A”のマークのスイッチはオートハイビーム機能のオン・オフスイッチ

 オートハイビームは機能をオンにしておくと「車両前方が明るい場合」「対向車がライト点灯している場合」「前方道路沿いの街灯が明るい場合」などにロービームに自動的に切り替わる。

 一方、「車両前方が暗い場合」「対向車がライト点灯していない場合」「前方道路沿いの街灯が暗い場合」などにはハイビームに切り替わる。

 周りの状況に応じてハイとローを手動で切り替える必要がないので、非常に便利な機能といえる。

●機能を過信せず、状況に応じて手動で切り替える

 状況に応じて自動で切り替わることがこの機能の最大の利点だが、前方の光を感知するセンサーを基本としていることが多いため、歩行者や自転車を感知しづらく、ハイビームのままでまぶしさを感じさせてしまうこともある。

 また、街灯やガードレールの反射板などを感知すると遠くを確認したいのにロービームになってしまうなど、切り替えのタイミングが状況にそぐわないこともある。

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■“フラフラ運転”のマークのスイッチ、コレは?

2012年10月以降に販売されるクルマ(新型生産車)に義務づけられている横滑り防止装置だが、解除スイッチも取り付けられていることは意外と知られていない

 「これを押すとフラフラ運転にならないのか」と押してしまいそうになるがこれは間違い。よーく見ると、フラフラ運転のクルマの下に“OFF”とプリントされている……。

 これは2012年以降に販売された国産車に義務づけられた「横滑り防止装置(Electric Stability Control=ESC)機能」を“オフ”にするスイッチ。つまり、横滑り防止機能を解除するスイッチである。

 こちらも前項同様にメーカーごとに名称が異なるので、詳しくは取り扱い説明書を確認しよう! 

 横滑り防止機能は、車線変更やコーナリング中のクルマの走行状態を安定させるもので、4輪のブレーキを個別に制御したりエンジン出力の制御を行うもの。いわゆるアンダーステアやオーバーステア、スピンなどを回避してくれる安全装置である。

●安全装置を解除すべきシーンとは?

 「え? じゃあオフにするスイッチなんてないほうがいいじゃない」と思うだろうが、この装置をわざわざオフにするスイッチが付けられているのには理由がある。

 雪道や泥でぬかるんだ道などで動けなくなった場合。

 「スタックした」と言われる状況では、タイヤを回転させたいのに横滑り防止装置が働いてしまうと、駆動力もカットされてスタックからの脱出が不可能となってしまう。そんな時のために“オフスイッチ”があるのだ。

●スタックから脱出する方法

 駆動力が路面にかかると、一発で脱出とはいかないまでも少しだけ前に進む。そして即後退→前進を何度か繰り返すとクルマは前後に振り子のように動くことができ、だんだんとクルマの振り幅が大きくなってスタックから脱出できることがある。

 スイッチをオフにしても虚しくタイヤが空転するだけなら、フロアマットなどをタイヤの下に敷き、摩擦力を上げてやると成功率は上がる。それでも無理なら救援を!

●雪道でのスタッドレス未装着は法令違反

 年末になると、都心部でノーマルタイヤのクルマが多くスタックして道を塞いでいる様子がニュースに取り上げられるが、積雪や凍結路面での冬用タイヤなどの装着は“義務”であることを知らない人は意外と多い。

 これは、沖縄県を除く各都道府県の公安委員会が定めており、東京都では東京都道路交通規則 第8条6号に「積雪又は凍結により明らかに滑ると認められる状態にある道路において、自動車又は原動機付自転車を運転する時は、タイヤチェーンを取り付けるなどしてすべり止めの措置を講ずること」とある。

 この規定に違反すると、違反点数はつかないが普通車では反則金6000円となる。法令違反とならないよう、そして他車の円滑な交通を妨げ周りの安全を脅かすことのないように注意したいもの。

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