クルマを所有している人なら一度は訪れる送迎。駅まで送ったり、旅行の車出しなどは日常茶飯事であろう。だが、軽自動車の場合は、クルマの居住性というのは少し気になるはずだ。狭くないか、荷物は乗るのか。これから購入する方も必見!! 今回は人気の軽自動車4台の後席居住性と乗り心地を「フル乗車」を想定してチェックする!!
※本稿は2024年9月のものです
文:渡辺陽一郎、永田恵一/写真:西尾タクト、ホンダ、日産、スズキ、ダイハツ
初出:『ベストカー』2024年10月10日号
■後席居住性&乗り心地をフル乗車を前提にチェック
今回はフル乗車がテーマだから、居住性と乗り心地は後席を中心に判断する。
最も優れている車種はN-BOXだ。全高が2WDでも1790mmと高く、車内も広い。エンジンや補機類を縦長に配置したから、有効室内長にも余裕がある。
身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、テーブルを含まない状態で握りコブシ4つ分だ。
前後席ともに座り心地は少し硬めだが、腰から大腿部をしっかりと支える。特に後席は、先代型では柔軟性が乏しかったが、現行型は大幅に改善した。
乗り心地も、ホイールベースが軽自動車で最長の2520mmに達する効果もあって快適に感じる。スライドドアの開口幅は640mmで、ムーヴキャンバスの595mmを上まわる。
2位はサクラで、N-BOXを上まわる快適な乗り心地で上位に入った。BEVだから車両重量は1080kgと重く、走行安定性では不利だが、乗り心地にはいい効果をもたらした。
駆動用電池を低い位置に搭載するから、重心も下がり、ボディの下まわりを補強したから剛性が向上した。
BEVの好条件が重なり、乗り心地には重厚感が伴う。40km/h以下では硬さを感じるが、角が丸く不快感はない。その代わり後席の座り心地は不満だ。
柔軟性が乏しく、体の支え方も不十分。前後スライド機能はシンプルな左右一体型だから、座り心地はもう少し快適にして欲しい。
後席の膝先空間は、N-BOXと同じ測り方で握りコブシ3つ半だから、4名乗車時でもスペースは広い。内装の質感も高い。
3位はハスラー。後席は着座位置が前席よりも高く、周囲を見晴らせる。後席にチャイルドシートを装着した時も、子どもが車外の風景を眺めやすく、楽しくドライブできそう。
シートの生地は少し滑りやすく、体をもう少し確実に支えてほしいが、多彩なシートアレンジを採用しながら座面は柔軟でリラックスできる。
後席の膝先空間は、前述の測り方で握りコブシ3つ分だ。N-BOXやサクラよりは狭いが、4名乗車に必要な空間は確保される。
なお最低地上高は180mmと余裕があり、デコボコを乗り越えやすい代わりに重心が高まった。そこで走行安定性を確保すべく、乗り心地は硬めに設定されている。
4位はムーヴキャンバス。前席の座り心地は柔軟で快適だが、後席は床と座面の間隔が不足して、足を前方へ投げ出す座り方だ。
座面の柔軟性も乏しい。座面の下に引き出し式の収納設備を配置したことが影響を与えた。収納設備を引き出した状態で、ついたてをセットすると、内側に置いた買い物袋が走行中に倒れにくい。
この機能を使いこなせるなら、選ぶ価値も高まる。乗り心地は、細かなデコボコを伝えやすいが不快な印象は受けない。
(TEXT/渡辺陽一郎)
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■2列目席リアモスト時の安全性
軽ハイト&スーパーハイトワゴンには、ほぼすべてのモデルに後席スライド機能が装備されており、一番後ろにするとリムジンのような広大な足元空間が得られる。しかし、この状態だと後頭部はリアガラスの直前で、もし追突されたら恐ろしい。
また、ラゲッジスペースに荷物もほとんど載らないので、後席に乗車した際のスライドは膝先握りコブシ2つ程度に調整し、安全性と積載性の折り合いを考えるようにしたい。
(TEXT/永田恵一)
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