高速バスや新幹線・飛行機などのチケットを予約すると、指定席なら自分のシートがどこにあるかを示す文字がチケットに書かれている。よく座席番号なんて呼ぶあの文字、「番号」と言っても、実際のところ数字+ABCDのアルファベットを組み合わせているケースが多い気がする。むしろ、どんな乗り物も数字+ABCDで統一されている!?

文・写真:中山修一
(座席番号にまつわる写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)

■(1)座席番号必須の代表格・飛行機

荷物棚の縁が座席番号の掲示位置になっているのは、どの乗り物でもほぼ共通

 まずは、ほぼ全席指定制を採っているゆえ、座席番号が必須となる代表的な公共交通機関の一つが飛行機だ。ここでは日本で国内線を運行している各航空会社のシートマップを参考にした。

 飛行機では、通路を挟んで横並びになっているシートを「1列」の扱いにして、前から1列目、2列目〜と続いていく。それに加えて、アルファベットで個々の座席を示しているものが殆どだ。

 例えばシートが通路を挟んで左右3席ずつの「3-3配列」だった場合、進行方向左端の座席は必ず「A」が割り振られ、1列目なら1Aとか、15列目なら15Aとかのように表す。

 では、3-3配列なら反対側の右端は「F」になるのかと思いきや、これは航空会社によってお作法が異なる。順番通り「ABC-DEF」のところもあれば、「ABC-FGH」と割り振っている会社も見られる。

LCCの3-3配列機材の座席番号表示

 一方で国内最大手のANAとJALでは、一部のプロペラ機を除いて右端のシートには必ず「K」が割り振られるようになっている。

 この2社の飛行機は、シートが2-2配列でも3-3配列でも、はたまた3-4-3配列でも、左端がAで右端はKと決まっている。

 ではAとKの間はどうしているのかといえば、B〜Jまでのアルファベットを歯抜けにして帳尻を合わせている。2-2配列なら「AC-HK」、3-3配列なら「ABC-HJK」といった具合。

 横並びの席数が特に多い3-4-3配列は「ABC-DEFG-HJK」になるが、唯一アルファベットの「I」だけはアラビア数字の「1」と見間違えやすい、という理由から2社ともに使っていない。前述のプロペラ機は2-2配列で、順番通りAB-CDだ。

■(2)ちょっと変則的? JRの列車

 続いて、JR各社が運行している列車の座席番号事情を見てみよう。こちらも新幹線/在来線の列車ともに、通路を挟んで横並びになっている座席を1列の扱いにする。

 さらに個々のシートをアルファベットで表すのがキホンであるが、号車番号が加わる点が飛行機と異なる。例えば3号車の4列目A席を取ったとしたら、チケットには「3号車 4番 A席」と印字される。

 JRの列車で横並びの席数が最も多いのは新幹線の「3-2配列」。この配列では、3席一組になっている側のシートの端がAで、通路を挟んで2席一組の端がEになる。

各席にA〜Eまでのアルファベットが割り振られる新幹線普通車

 「ABC-DE」と、順番通りにアルファベットを並べる仕組み。では、2-2配列のグリーン車や、在来線の特急列車はどうかといえば、飛行機のようにアルファベットが歯抜けになることはなく、「AB-CD」になる。2-1配列の新幹線グランクラスは「CB-A」だ。

 ただし、標準が2-2配列のところを、バリアフリー対応で1-1配列や2-1配列に席数を減らしている区画があり、こちらは「A-D」になったり、「AB-D」になったりする。

 また、背もたれが固定式で4人掛けのボックスシートが付いている車両は少し変則的で、各席をアルファベットで表すのは同じながら、1ボックス単位で窓側がAとD、通路側がBとCになる。ドア付近のロングシート部分は3人掛けなら「ABC」だ。

ボックスシートのJR車両はABCDが1ボックスで1組

 2024年現在も定期で運転している列車の中で、「座席」ではないのでノーカウントと言えばそうかもしれないが、2階建て寝台電車の「サンライズ瀬戸・出雲」は、カーペット車はABCDながらも、個室寝台は個々の部屋を示す文字にアルファベットを使わない例外的存在。

 1階部分に相当する個室は1〜10番台、2階相当の個室は20番台の個室番号が割り振られる。取ったチケットが8号車の2階部分の個室なら、寝台券には「8号車 24番」のように印字される。

サンライズ出雲・瀬戸の寝台券。番号を見れば1階/2階がすぐ分かる

■(3)多彩ゆえに例外タップリ!? 高速バス

 続いて見ていくのが、こちらも利用する際に座席指定を行うことが多い、高速バスの座席番号事情だ。高速バスには数多くの事業者が参入しているため、各社ごとに座席番号の付け方が異なるイメージを抱かなくもない。

高速バスの座席番号も数字+アルファベットの組み合わせが多数派?

 とはいえ、大抵の高速バスは外部のポータルサイトで、バス事業者に関係なく纏めて予約ができる仕組みが浸透しているのもあり、飛行機やJRの列車とほぼ同じ要領で、数字+アルファベットの組み合わせを使って、ある程度の統一感を持たせているのが実際のところか……。

 高速バスのシートは、最後部を除いて大抵は2-2配列もしくは1-1-1配列のいずれか。2-2なら「AB-CD」が基本になり、5列目のA席なら「5A」、10列目のC席なら「10C」といった具合。

 1-1-1配列では、原則として順番通り「A-B-C」の並びになる。また、「A-5」や「C-10」のように、アルファベットを数字の前に持ってくるバス事業者も一部にあるようだ。

 高速バスの座席にもアルファベットは付き物と言えそう。しかしながら、完全に数字+アルファベットで統一されているわけではないようで、もう少し掘り下げて行くと、やはりアルファベットを使わないバス事業者が見つかった。

 これはアラビア数字のみで座席番号を表すスタイル。シートが2-2配列なら、最前列が「1・2-3・4」、2列目が「4・5-6・7」といった具合で、順繰りに数字を割り振っていくかたちだ。

■“あの座席”はどうなってる?

 ここでちょっと気になるのが、高速バスの中には、アルファベットのABCDに当てはまらない位置に座席が取り付けられてる車両が存在する。

 一つは最後部にシートが5席並んでいるタイプ。左右の2席はそれぞれABとCDであるが、問題は真ん中の席である。さてどうなっているのか……どうやらアルファベットなら「E」を割り振るのが割と一般的らしい。

最後部5脚並びの中央シートを「E」で表している高速車の例

 数字のみの座席番号は、「45・46・47・48・49」のように順番通りに付番する方法と、「45・46・49・47・48」と、真ん中の座席を一番最後にカウントする方法の、少なくとも2通りが確認できた。

 二つ目は、普段は「C席」の脇に畳んで収納されている補助席だ。補助席にも座席番号なんてあるの? と思いきや、ちゃんと割り振られていた。

補助席に「S」を割り振っているハイデッカー高速車

 しかしそれらは「E」であったり、「AB-1-CD」の要領で補助席だけ数字で表していたり、漢字の「補」を付けて「補1」、「補2」のようにしたり、「S」が割り当てられている車両も見られたりとバラバラ。補助席に関して、付番方法の法則性や決まり事はあまりないようだ。

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