フランスのルノートラックスは2024年10月10日、2025年モデルの大型トラックを発表した。「T」および「Tハイ」「C」「K」の各モデル(電動の「Eテック」シリーズも含む)で、エネルギー効率、安全性、快適性を最適化したという。

 長距離輸送用のディーゼル車には、ターボコンパウンドエンジンを搭載する燃費最適化バージョンが設定され、標準モデル比で燃費14%向上/CO2排出量15%低減など、電動化だけではない環境性能もアピールしている。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Renault Trucks

環境負荷低減と収益性の向上を両立

ルノー・トラックスの2025年モデル

 数年前、フランスのルノー・トラックスは燃費の10%向上を謳い、大型トラックにターボコンパウンドエンジン搭載モデルを設定した。それ以降もトラックの効率向上に向けた開発を進め、2025年モデルの大型トラックは前世代と比較して最大3%の燃料削減を実現する。

 2025年(モデルイヤー)のルノーの大型トラックは、エンジン、ギアボックス、車軸など、パワートレーン系のコンポーネントの最適化を実施するとともに、「クラスA+」タイヤを標準装備した。

 これに加えて長距離輸送が主な用途となる「T」と、フロア高を高めてキャブ内段差をなくした「Tハイ」、および電動の「Eテック T」の各モデルでは、リアビューミラーに変えてカメラシステムが搭載され、空力性能の向上を通じて更なる燃費低減を実現した。

 カメラはキャブ左右の折りたたみ式ウィングに搭載し、キャブ内のスクリーン2台に映像を表示する。夜間でも車両周囲の環境を視認できるように赤外線モードも備えている。このシステムは特装用の「C」、オフロード用の「K」、および電動特装系の「Eテック C」でもオプションとして利用可能だ。

 また、長距離輸送向けのディーゼル車に「スマートレーサー」(Renault Trucks T Smart Racer)と称する燃費最適化バージョンを設定した。「T」「Tハイ」の両モデルで利用可能なスマートレーサーは、DE13型のターボコンパウンドエンジン(DE13 TC型)と、すべての省燃費オプションを備えた組み合わせで、標準モデルと比較した場合、燃費は14%向上し、CO2排出量は15%少なくなるという。

 なお、ターボコンパウンドエンジンは排気ガスからエネルギーを回収し、クランクシャフトに戻す機構を備えたエンジンで、出力向上を狙ってかつては航空機用に開発が進められたものの、非常に複雑な構造からメンテナンスコストが増大し、普及しなかった。いっぽうその省燃費効果から近年は大型トラック用エンジンに取り入れられ、ボルボグループだとルノーのほかに北米向け大型トラックなどにも設定がある。

安全性と快適性も向上

ミラーの代わりとなるカメラ映像は、キャブ内左右のスクリーンに表示される

 2025年モデルの調整可能なパワーステアリングは、高速走行時の安定性を高めるとともに、低速時はよりレスポンシブな設定とし、都市部と郊外の両方で操作をより快適にした。

 電動モーターと油圧パワーステアリングを組み合わせたもので、複数のセンサーにより車両の挙動をリアルタイムに監視し、ドライバーが企図した通りにトラックが動くことをサポートする。

 車線維持システムにもこのパワステを活用しており、自動的に修正舵を加えて車線内の走行を維持する。意図せずに車両が車線を逸脱することを防ぎ、ブラインドスポットへの追加の保護と併せて、歩行者や自転車など交通弱者への加害性を緩和した。

 また、天候、明るさ、ほかの車両や交通の有無などに応じてハイビームが自動的にアクティベートされるようになった。ルノー製のトラックは従来世代では「自動ロービーム」が標準で利用できたが、これを補うものとしてさらに視認性と安全性を高めた。

 他の車両からの被視認性を向上するため、シャシーやキャブ後部に追加の作業灯を取り付けることができる。

 2025モデルイヤーの「T」「Tハイ」「C」「K」「Eテック T」「Eテック C」はメーカーのネットワークを通じて既に発売を開始している。

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