トヨタ自動車は電動垂直離着陸機(eVTOL・イーブイトール)を開発するアメリカのベンチャー企業Joby Aviation (ジョビーアビエーション)に5億ドルを新たに出資し、創業時からの夢である空のモビリティの実用化を加速させる。
文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ自動車
■ジョビーの空飛ぶクルマは乗員4人が1充電で240㎞移動できる
トヨタは2019年に空飛ぶクルマを開発するアメリカのベンチャー企業、Joby Aviationと協業を開始。2020年には3億9400億ドルを出資し、生産技術の面でサポート、2023年には電動化関連部品の供給も始めるなど関係を強めてきている。今回新たに5億ドル(日本円で約744億円)の出資を決めた。
eVTOLは来年の大阪万博で注目される空飛ぶクルマといったほうがわかりやすいかもしれない。短距離を何度も繰り返して運行することを想定した乗り物で空飛ぶタクシーとしてのニーズに応えるものだ。
Joby Aviationはすでに試作機が3機あり、型式認証では5段階の4段階目だという。米連邦航空局の認可が下りれば、2025年から商用化を目指す。
実用化に近いS4という機体は6つのモーターが6つのプロペラを駆動する電動垂直離着陸機で、パイロットのほかに4人の乗客が乗れ、航続距離は150マイル(240km)。電動のため、ヘリコプターに比べると圧倒的に振動や騒音が小さく、快適だという。
またトヨタの燃料電池を搭載する試作機は500マイル(約800km)飛んでおり、こちらも実用化に向け、テストが行われている。
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■創業者豊田喜一郎が追いかけた空のモビリティ
トヨタ自動車の創業者豊田喜一郎(豊田章男会長の祖父)は自動車とともに航空機にも強い関心を持っていた。1936(昭和11)年にはフランスの超小型航空機を購入し、回転翼の揚力に注目しヘリコプターの開発を目指した。そして、1943(昭和18)年には2人乗りの試作機が完成している。
その一方で陸軍からの要請もあり、航空機のエンジンの研究、開発を進め、刈谷を中心に航空機工場を完成させた。そして、空冷星型9気筒エンジン「ハ13甲2型」エンジンを開発、完成させた。終戦により航空機に搭載されることはなかったが、トヨタの源流には自動車とともに航空機への挑戦があった。
その後もトヨタは航空機に関心を持ち続け、1988(昭和63)年日本フライングサービスに資本参加し小型飛行機の販売に乗り出した。さらに小型飛行機普及のため、1991(平成3)年北海道の鹿部町に鹿部飛行場を建設。パイロットの養成や飛行場の管理を行うため、日本航空と共同でエアフライトジャパンを設立した。
さらに1993(平成5)年には東富士研究所が中心となり、航空機エンジンの開発を進め、機体に関しては2002(平成14)年、他社製のエンジンを搭載した4座の小型機TAA-1( Toyota Advanced Aircraft-1)の初飛行を成功させた。
しかし、小型機の需要が伸び悩むなか事業化には至らず、エアフライトジャパンは朝日航空に統合された。
「トヨタ自動車の歴史は失敗の連続」と話すのは豊田章男会長。言い換えれば失敗を糧に発展してきた会社でもある。トヨタ自動車がJoby Aviationに出資するのは、豊田喜一郎はじめ、多くの人が空への挑戦を続けてきた歴史があるからであり、その挑戦する気持ちを忘れないためでもある。
トヨタの想いがJoby Aviationに届き、どんな形で結実するか注目したい。
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