公道を走るクルマには必ず取り付けられているナンバープレート。最近ではアルファベットなど数字以外の文字が入ったものを見かけることも多いが、その理由、ちゃんと説明できますか……?
文/井澤利昭、写真/写真AC、イラストAC、国土交通省 九州運輸局、Adobe Stock、アイキャッチ画像/Nakano@Adobe Stock
■ナンバープレートを構成している文字や数字
正式名称を「自動車登録番号標」または「車両番号標」というナンバープレート。
前者は軽自動車以外の登録自動車に取り付けられているもの、後者は軽自動車に取り付けられているもので、それぞれ運輸支局もしくは軽自動車検査協会の自動車検査登録事務所で手続きをすることで取得することができる。
ナンバープレートには「地域名」「分類番号」「クルマの用途」「一連指定番号」という、4つの文字情報が記載されており、ひと目見るだけでそのクルマがどういう区分に属しているかなどが、ある程度わかるようになっている。
まず「地域名」は、そのクルマが使用される本拠となる運輸支局、または自動車検査登録事務所の所在地を示すもの。
クルマの所有者の住む住所を管轄する機関がある地域の名称が記されるのが基本だが、2004年からは地域振興を見据えた独自の地域名を表示する、いわゆる「ご当地ナンバー」も登場している。
また、ナンバープレートのなかでも一番大きく記載されている4桁の数字である「一連指定番号」は、「・・-・1」から「99-99」の数字が登録や変更時に指定される。
この数字は基本的には申請の受付順で払い出されるが、1998年(軽自動車では2005年)から始まった「希望ナンバー制度」を利用することで、手数料さえ支払えば、自分の好きな数字を指定できるようになった。
ちなみに「・・-・1」や「77-77」といった一部の番号は特に人気が高く希望者が多いため、「抽選対象希望番号」として抽選が行われ、当選した人のみが取得することができる。
また、縁起が悪いとされ、通常の「一連指定番号」では下2桁には使われない「死に」を連想させる「42」や、「轢く」を思わせる「49」も「希望ナンバー制度」を利用すれば、指定することが可能となっている。
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■「分類番号」にアルファベットが使われるワケ
「地域名」の右横に記載される3桁の数字「分類番号」は、文字どおりそのクルマの用途や種類を示す番号だ。
3桁のうちの一番左側である百の位の数字によって8種類に分類されており、「1」がトラックなどの普通貨物車、「2」がバスなど定員が11人以上の普通乗合車、「3」が普通乗用車、「4」と「6」が小型貨物や軽貨物車、「5」と「7」が小型乗用車や軽乗用車、「8」が特殊用途自動車、「9」が大型特殊自動車、「0」が大型特殊の建設機械という振り分けになっている。
クルマのサイズや税金の話題になると必ず出てくる「5ナンバー」や「3ナンバー」といった言葉は、この「分類番号」のことを指しているわけだ。
残る右2桁の数字では、そのクルマのナンバープレートが、先ほども少し触れたした「希望ナンバー」かどうかを判断することができる。
「希望ナンバー」ではない通常のナンバープレートの場合、この下2桁の数字には「00」~「09」(軽自動車では「80~82」)が割り振られる。
いっぽう「希望ナンバー」のクルマの場合、いわゆる「5ナンバー」車では「10~79」、「3ナンバー」車では「10~98」(軽自動車では「83~99」)が割り振られる。
また、最近ではこの「分類番号」の下2桁にアルファベットが用いられているクルマを見かけることがあるが、これも「希望ナンバー制度」の影響にほかならない。
一部人気のあるナンバーでは取得を希望する人が集中して数字だけでは対応しきれなくなり、東京都、神奈川県、愛知県で交付される「希望ナンバー」には、2018年からアルファベットを含むものが採用されている。
とはいえ26文字のアルファベットすべてが使用されているわけではなく、現在使われているのは数字と見間違える可能性の低い「A・C・F・H・K・L・M・P・X・Y」の10文字のみ。
ちなみに軽自動車では使用される文字のルールが微妙に異なり、「分類番号」の2桁目(十の桁)には「P・X・Y」の3文字のみが使用される。
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■「クルマの用途」を示す「ひらがな」のルールは?
ナンバープレートを構成する文字情報のなかでも目を引く「ひらがな」の文字は、そのクルマの「用途」を示すもので、大きく4つに分類されている。
分かりやすい例としては「わ」ナンバーを付けたレンタカーが有名だが、こうした「貸出し用車両」には、「わ」以外に「れ」も割り振られている。
また、一般のドライバーが乗る「自家用車」には「さすせそ・たちつてと・なにぬねの・はひふほ・まみむめも・やゆ・らりるろ」の29文字が、トラックやタクシーなどの「事業用の車両」には「あいうえ・かきくけこ・を」の10文字が使用されている。
ひらがなの「よ」に加えアルファベットの「E・H・K・M・T・Y」が使用されているのは「駐留軍人用の車両」だ。
なお軽自動車では、使用される文字の種類こそ同じではあるものの、その分類のルールが若干異なり、レンタカーなど「貸出し用車両」は「わ」のみ。
「事業用の車両」では「り」と「れ」の2文字のみで、その他の文字はすべて「自家用車」へと割り当てられており、「駐留軍人用の車両」では「A」と「B」が軽自動車用となる。
さて、勘のいい人であればすでにお気づきかもしれないが、上記のひらがなのなかには、一部使われていない文字がある。
それが「お」「し」「へ」「ん」の4文字だ。
その理由はさまざまだが、まず「お」に関しては「あ」と形が似ていて見分けがつきにくいのに加え「を」と同じ発音であるため。
「し」は文字どおり「死」を連想さる不吉なイメージのためで、やはり縁起を担いでのことだろう。
「へ」に関しては「屁」を連想させるという説もあるが、「え」と発音が似ているためとも言われている。
「ん」に関しては発音のしづらさや聞き取りが難しいから外されたという説が一般的だ。
確かに、せっかく買った愛車のナンバープレートに「し」や「へ」の文字が入っていたら、ちょっと嫌な気持ちになる……というのも理解できる。
お役所仕事であるはずのナンバープレートとはいえ、そこにはお国のちょっとした気遣い(?)が垣間見える……と思うのは少し考えすぎだろうか。
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