見た目がカニに似ているから「カニクレーン」と称されるが、英語では「スパイダークレーン」と呼ばれるそうだ。

 トラック搭載クレーンで知られる古河ユニックのカニクレーン、正式名「ミニ・クローラクレーン(ミニクロ)」は、 コンパクトなボディでトラックが入り込めない狭い場所や不整地、屋内作業現場で威力を発揮する自走式クレーンのこと。

 小型トラックの荷台に横積み可能な非乗車型モデルから、世界最大の吊り上げ能力を誇る10t吊りの乗車型モデル、環境に配慮した完全電動モデルなどラインナップしているが、このほどそのミニクロに新機種が加わった。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/古河ユニック

リチウムイオンバッテリーを搭載した新モデル

リチウムイオンバッテリーを採用したミニ・クローラクレーン「UM325C」

 新たにラインナップに加わったのは、充電式のリチウム イオンバッテリーを搭載したミニ・クローラクレーン「UM325C」(最大吊上能力3230kg)で、まず欧州で販売を開始した。

 従来のバッテリー式モデルと同様に、排気ガスを出せない地下道やビルなどの屋内のほか、外部電源の取得が困難な現場や狭い場所などに自走して移動し、CO2を排出しないクリーンなクレーン作業を可能にすることに加え、リチウムイオンバッテリーの採用により高速充電(AC200Vで満充電時間:約3時間)を実現している。

 ちなみにミニクロは、移動にはクローラを使用し、カニの脚に見えるのは作業時に安定性を増し転倒を防止するためのアウトリガである。

「UM325C」の特徴

【1】「ゼロ・エミッションクレーン」をコンセプトに開発したバッテリー式最新モデルで、従来の液式鉛バッテリー式モデル 「URW295CBR」(2016年国内販売開始)とAGMバッテリー式モデル「URW295CB3RA」(2021年国内販売開始) のミニ・クローラクレーンに加え、充電式のリチウムイオンバッテリー式モデルとして新たにラインナップしたもの。現行ラインナップ (AGMバッテリー式モデル)から約2時間の満充電時間を短縮している。

【2】コンパクトな格納形態と十分な地上揚程を実現 走行時の車幅は一般的なドアを通過できる750mmで地下道や屋内、狭い場所などに移動が可能なうえ、「ポップアップ式コラム(起立式コラムポスト)」の採用により、コンパクトな格納形態と十分な地上揚程を実現した。さらに、オプションの 「油圧チルト式ジブ」を装着することで、最大地上高 17.7m、最大作業半径 15.6mまでクレーン作業が可能になる。

コンパクトな格納・走行姿勢のUM325C

ちなみにポップアップ式コラム(起立式コラムポストとはクレーンの折り畳み機構のことで、コンパクトな格納姿勢と広範囲な作業領域を実現。 また、油圧チルト式ジブとはクレーンのブーム先端に取り付けるジブのことで、高揚程での荷の送り込み作業で威力を発揮する。

【3】走行およびクレーン操作は、ラジコン送信機を用いての遠隔操作が可能で、アウトリガの張り出し状態やクレーンの作業姿勢に 応じて定格荷重を自動で切り換える機能により、作業者の安全を確保している。

【4】そのほかにも、確実な機体設置を実現する「アウトリガ水平自動張出機能」や安定した走行を実現する「拡幅クローラ」などの機能を搭載し、「安全性と作業効率の向上」を図っている。また、従来シリーズとは異なるアウトリガの採用により、アウトリガ設置・格納作業を簡易化するとともに、他クレーンを使用せずにアウトリガで機体を持ち上げ、運搬用トラック荷台へ積載することも可能にしている。

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