クルマのモデルサイクルのなかには、フルモデルチェンジ並みのビッグマイナーチェンジが行われることがある。それはまさに「ここまでやるんかい……!!!」というほどの激変ぶり。ここではEクラス、リーフ、MPV、レジェンドといった名車たちのビッグマイナーチェンジを見てゆく。(本稿は「ベストカー」2013年8月10日号に掲載した記事の再録版となります)

文:編集部

■王者であり続けるために激変! メルセデスベンツEクラス

ベンツEクラス(2009年5月登場)
ベンツEクラス(2013年5月14日ビッグマイナーチェンジ)。こうして見るとかなりエグく変わった。ベーシックなE250の価格は595万円と意外に安い

 日本導入から4年が経ったマイナーチェンジ前のモデルでも高い完成度を保っていたが、Cクラスと同様、改良箇所2000カ所以上というビッグマイナーチェンジを受けた。

 目立つのはLEDを使ったヘッドライトだが、中身も凄い。

 成層燃焼リーンバーンを可能とした2L直4ターボ、3.5L V6HVの設定や3L V6ディーゼルターボも新開発のものを搭載。運転支援システム「レーダーセーフティーパッケージ」にはステアリング操作のアシスト機能などが追加された。

●激変度:160

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■若者受けも上々のスタイルに 日産 2代目ウイングロード

2代目ウイングロード(1999年5月登場)。ちょっとおとなしすぎる?
2代目ウイングロード(2001年10月マイナーチェンジ)。同じクルマとは思えないほど現代的に激変したエクステリア

 2代目ウイングロードは発売時点ではライバルとなるカローラワゴンが旧態化していたことやこのクラスのステーションワゴンが少なかったこともあり、上々の販売実績を残していた。しかし、翌年にカローラワゴンがカローラフィールダーにフルモデルチェンジされると、地味めなスタイルに代表される欠点が目立ち始め、販売も下り坂に。そのテコ入れのため、ビッグマイナーチェンジを受けた。

 大きな変更ポイントはスタイルとインテリアだ。横長だったヘッドライトはシャープな形状の縦長のものとなり、それに伴いグリルなども変更。いかにも大衆車という感じだったスタイルが一気に若々しい印象に変わった。とても同じクルマとは思えない激変ぶりだ!

 インテリアも独立型3連メーターへの変更、メタル調パネルやメーカーオプションのカーナビはクラス最大の7インチサイズを採用するなど、インテリアにも努力の跡がうかがえる。

 マイナーチェンジ後は販売も一気に上向き大成功だった。現行モデルも変更して!

●激変度:150

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■前期オーナーには痛恨? のマイナーチェンジ 日産 リーフ

日産 リーフ(2010年12月登場)
日産 リーフ(2012年11月マイナーチェンジ)。合計80kgの軽量化。パワートレインの刷新、満充電時の航続距離が従来の200kmから228kmに伸びた。廉価版のSグレード(334万9500円)も追加された

 EVは、パソコンや携帯電話の出始めと同じように進化代(しろ)が大きく、市販車に盛り込める技術を一気に投入するためビッグマイナーチェンジされた。最初に買ったオーナーはさぞや悔しがっているに違いない。

 変更された部分はスタイルの変更こそ少ないが、80kgもの軽量化や回生ブレーキの制御見直し、EVの泣きどころである冬場の暖房性能の向上などにより、航続距離をJC08モードで200kmから228kmに延長するなどの改良が行なわれ、劇的に完成度が高まった。

 販売実績は残念ながらEVの普及が本格化していないこともありそれほど変わっていないが、日産のリーフに対する本気度は素直に応援したい!

●激変度:180

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■戦闘力も一気に向上! スバル 2代目インプレッサ

2代目インプレッサ(2000年8月登場)
2代目インプレッサ。等長等爆エキゾーストも採用
2代目インプレッサ(2002年11月改良)。最終的にタカの目になった

 2代目インプレッサの初期型はフロントマスクの好みが分かれたことや、最大にして唯一のライバルであるランエボに対し速さが劣っていたこともあり、販売に苦戦。

 その状況を打破すべく大幅な改良を受けた。改良では涙目と呼ばれるフロントマスクへの変更を代表に、WRX STIではトルク向上など多くの改良を実施。結果、商品力と戦闘力を大幅に向上し、販売実績も大幅に回復。

 成功したマイナーチェンジの代表例となっている。

●激変度:130

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■マイチェンで延命成功 日産 2代目プレーリー

2代目プレーリー(1988年9月登場)
2代目プレーリー(1995年8月マイナーチェンジ)。車名がプレーリージョイに変更。リアのオーバーハングまで延長!

 ミニバンの先駆車ながら、販売はパッとしなかったプレーリー。しかし、モデルサイクル後半にミニバンブームがきたこともあり、勝負をかけるべくビッグマイナーチェンジを実施。

 丸みを帯びたスタイルから角張ったスタイルへの変更、CA型からSR型へのエンジン換装などが行なわれた。スタイルに関しては改悪という評価も聞かれたが、ブームに乗ったこともあり販売は劇的に上向き、当時低迷期だった日産にとっては成功したマイナーチェンジだった。

●激変度:140

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■厳つい顔で販売回復 日産 6代目シルビア

6代目シルビア(1993年10月登場)
6代目シルビア(1996年6月マイナーチェンジ)。ポテンシャルは両車ほぼ同等

 大ヒットした5代目シルビアに対し、6代目シルビアはクルマの質は向上したものの、3ナンバー化や大人し過ぎるスタイルが原因で販売は低迷。

 テコ入れのため実施されたマイナーチェンジでは、「ツリ目」と呼ばれるちょっと怖めの顔へ変更。

 スタイルに対し機能面の変更は若干のサスペンションセッティング程度と少なかったが、走り屋からの評価は上がり販売も上向きに。投資分の効果はあったマイナーチェンジであったことは間違いない。

●激変度:130

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■改良はし続けたんだけど…… ホンダ 4代目レジェンド

4代目レジェンド(2004年10月登場)
4代目レジェンド(2008年9月マイナーチェンジ)。見た目はバランスが崩れた感も

 伝統的にホンダ車は高価格帯の販売力が弱いこともあり、4代目レジェンドも販売は低迷。

 しかし、ホンダはフラッグシップに対する意地を見せ、ビッグマイナーチェンジを実施した。主な内容は高級車に見えなかったスタイルをグリルなどの変更で押し出しのあるものにしたほか、3.5Lから3.7Lへの排気量アップなどを実施。

 残念ながら販売台数に変化は見られなかったが、この後もATを6速化するなど、ホンダがみせた根性は記憶に留めておきたい!

■激変度:130

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■マイチェンで生まれ変わった! マツダ 2代目MPV

2代目MPV(1999年6月登場)
2代目MPV(2002年4月ビッグマイナーチェンジ)。スタイルよりも中身が激変

 2代目MPVはマツダの低迷期の開発だったこともあり、消化不良のまま登場した感が否めなかった。

 しかし、マツダが反撃体制に入るとビッグマイナーチェンジを実施。内容はスタイルに加え、4気筒エンジンのフォード製からマツダ製MZRへの換装、ボディ剛性向上などほぼ全域に渡り、目が覚めるようにシャープに走るミニバンに変身!

 販売は大幅値引きも武器に激増し、後に「マツダ復活の前奏曲」と呼ばれるほど成功。

●激変度:130

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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