愛車を自分流にカスタムするうえで社外パーツはありがたい存在。「車検適合品なら車検も安心だし……」と思っていたら、思わぬことで車検に通らないことも! いったいどこでしくじるのだろう?

文/山口卓也、写真/写真AC、イラストAC

■車検に通らない主な原因とは?

タイヤは重要保安部品には指定されてはいないが、走行性能や安全性能に影響を及ぼす重要パーツ。劣化したタイヤは車検に通らない

●部品の劣化・摩耗

 パーツの劣化や摩耗によって車検に通らなくなる主なパーツは、タイヤやヘッドライト、マフラーなど。タイヤの残り溝は1.6mm以上ないと車検不合格。ただし、雨天時などに安全に走行できない可能性が高いので、交換時期の見極めは残り溝4mmを目安に。

 ヘッドライトは、純正品であってもレンズの劣化(黄ばみや曇り、割れ)によって光量不足となり車検不合格になることはよくある。また、バッテリーの劣化によって光量不足になることもあるのだ。

 また、2024年8月からヘッドライト検査はロービーム検査に変更されている。これは、現状ハイビーム走行が減少していることによるもの。

 ただし、地域によっては周知が進んでいないこともあり、猶予期間は2年となっている。ユーザー車検を受ける場合は、自分の住んでいるエリアが完全移行なのか2年延期対象地域なのかを最寄りの検査場に問い合わせることをお薦めする。

 ヘッドライトの色に関しては、最終的には検査官の目視によって判断される。さらに、後付けのフォグランプやデイライトに関しても、取り付け位置やバルブの色などはクルマの年式などによっても変わってくる。

 心配であれば最寄りの検査場に確認するか、購入時にプロショップなどに相談することをお薦めする。

 マフラーの劣化で車検に通らない主な原因は、排気漏れによる排気音量の増大。また、社外マフラーの場合は認証機関の認証を受けた証である“認証プレート”がない場合。

●車検不適合のパーツが付いている

 鋭利な突起があるパーツなどが不適合となるのはもちろんだが、レース用やイベント用などのパーツには車検不適合のパーツも多い。

 サーキットでのスポーツ走行の際に使われるバケットシートは、背もたれが倒れるものとそうでないものがあり、取り付けるクルマが2ドアや4ドアかによっても判断が分かれるうえ、シートの裏側の素材が剥き出し(シートバックプロテクターの有無)になっていても不適合となる場合がある。

●取り付け方が安全基準から外れている

 車検適合パーツでも、取り付け位置がメーカー指定の位置ではなかったり、ネジなどで固定すべきところを両面テープなどで固定しているなど取り付け方法を間違えていると車検不適合となることがある。

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■車検に通らない「えっ!?」な意外な原因

●あるべきパーツが付いていない

 「はあ?」って感じだろうが、筆者が実際に経験した。

 20年ほど前、乗っていたフルサイズのアメリカンピックアップトラックをユーザー車検で通そうとしたら、「車体横にウインカーがない」と言われた。「えっ!?」と思ったが、検査官が「ダメ!」と言えば車検合格は無理とわかっていたので即オートバイパーツショップへ。オートバイ用の後付けウインカーを買い、クルマの配線から分岐させて車体横にウインカーを取り付けて再度車検を受け、見事合格した。

 「あるべきパーツ」がなくて車検不適合となるパーツには、使用したために備え忘れた期限切れの発煙筒、取り外してしまったヘッドレスト、バンなどではけっこう取り外しがちなセパレートバー(乗車スペースと荷室を仕切る棒)や、最大積載量表示ステッカー(1ナンバー、4ナンバーの小型貨物車に必要)、社外ハンドルの“ラッパのマーク表示”、社外シフトノブの“シフトパターン表示”がないなどがある。

●自動車税や反則金の未払いがある

 クルマ自体にはなんの不備もないが、車検に通らない場合がある。それが“未払い”がある状態。

 自動車税が未納の場合や駐車違反の反則金が未払いの場合は車検証が交付されないので、結果的に車検には通らない。

 車検を通すためには放置違反金を支払い、納付したことを証明する書類(領収証書)を提示しなければならないのだ。

■保安基準適合部品なのに車検に通らない!?

重要保安部品のなかでも社外品を装着している人が多いマフラー。JASMA認定品や保安基準適合品であるかは確実に確認しよう

 “保安基準適合部品”と記載してあるパーツがある。保安基準適合部品とは、道路交通法で定められた“道路運送車両の保安基準”に適合していることを指し、公道での使用が可能な部品の意味。

 しかし、車検はそれぞれのパーツが保安基準に適合しているから合格とされるのではなく、“クルマが”保安基準に適合しているか? である。

 しかも、最終的に判断するのはその時に検査する検査官。よって、「去年はOKだった」と言ってもムダ(筆者にも経験あり)だし、「このパーツは車検適合品ですが……」も同じ。

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■純正品じゃないとダメ! なわけじゃない

 クルマは、「乗ることが楽しい」「見て楽しい」「愛でて楽しい」「カスタムして楽しい」など、人によって“楽しい!”と思うポイントはさまざま。

 なかでも、“カスタム”は、動画による実際の作業事例を簡単に見ることができる世の中になった今、専門知識のない人でも「クルマって楽しい!」と思えるポイントとなった。

 でも、結局は純正パーツじゃないと車検合格は厳しい……のか? というとそうでもない。

 NAPAC(一般社団法人 日本自動車部品・部品アフターマーケット振興会)という団体があるが、ここは安心・安全な製品の流通によるアフターマーケットを目指した業界団体で、アフターパーツ振興の団体であるASEA、アルミホイールのJAWA、スポーツマフラーのJASMAという事業部から成っている。

NAPACについて

 NAPACはユーザーに対して安心・安全なカスタムパーツの提供を行っており、実際の保安基準にクリアしていることはもちろん、さらに厳しい自主規制を設けて、それをクリアしているカスタムパーツに認定プレートや認定ステッカーを与えている。このNAPACの主旨に賛同して加盟している業界団体や企業のカスタムパーツは、第三者機関によるテスト済み認定パーツなのである。

 「純正品じゃつまらない! でも車検に適合するパーツを選びたい」という人は、これらの認定プレートやステッカーがあるパーツかどうか? を見て選んでみてはどうだろうか?

 とはいえ、認定を受けているパーツであっても取り付け方などによって「確実に車検に通るパーツ」とならないことも理解してほしいのだが……。

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