株式会社アイシン(本社:愛知県刈谷市/吉田守孝取締役社長)は、9月20日(金)から宮城県仙台市の夢メッセみやぎで開幕した自動車アフターマーケット事業者を対象にしたビジネス展示会「オートアフターマーケット東北2024」で、タイヤの新ブランド「AITERRA」や水性塗料を含む新商品群のラインナップを世界初公開した。

同社の従来のサプライヤーとしての流通チャネルを越えた幅広いラインアップでの新商品群の発表は、激変する自動車アフターマーケットの地殻変動をまさに象徴するものとなり、大きな注目を集めた。

新タイヤブランド「AITERRA」と水性塗料に取り組む意味

会期前のアイシンのSNSなどでも一部の情報しか出されておらず、ベールに包まれていた新商材、新事業サービスの内容はタイヤ、水性塗料、タイヤチェンジャー、小型モビリティ、出張サービスカーなど約80品目/サービスに及ぶ。中でもブース内で注目を集めていたのがアイシンの頭文字「AI」とラテン語で“大地や地球”を表す「TERRA」を掛け合わせたタイヤの新ブランド「AITERRA(アイテラ)」だ。

同社の担当によれば「自動車アフターマーケットにおいて、これまでのアイシンはやはり“部品メーカー”のイメージが強かったと思います。ただ、これからは部品の供給という枠組みはもちろん続けていきますが、自動車アフターマーケットの中で、整備工場などの困り事を1つでも解決し、その先のユーザーに対してお役に立ちたいという思いがあり、その1つの方法としてタイヤや水性塗料の開発に至りました」と話す。

今回発表された新たなタイヤブランド「AITERRA」は、乗用車用、SUV用、商用車用の3種類。国産のタイヤブランドとしては約50年ぶりの新作となり、ユーザーの立場に立ち、まずは手に取ってもらいやすい価格帯の設定をするとのことで、2025年1月頃から日本国内での販売をスタートさせ、その後はグローバルでの展開も予定しているという。

もう1つ、注目の水性塗料については、国内ではまだまだハードルが高い中で、グローバルではスタンダードになりつつある状況を踏まえ、作業性、環境面、価格といったところで優位性を持たせ、AITERRA同様、まずは手に取って使ってもらえるような製品訴求を考えているそうだ。こちらの量産については2025年春頃から段階的なリリースを予定しているという。両製品に共通しているのはユーザー目線での製品開発という点であり、この点1つを取ってもこれまでの立ち位置や商流とは明らかに違ったアプローチであると言えるのではないだろうか。

なお来週9月28日(土)・29日(日)に福岡で開催される「オートアフターマーケット九州2024」にもアイシンは出展し、こちらでは塗装の実演も行われるとのことなので、ぜひ実際に製品を確認頂ければと思う。

業界全体の転換期にアイシンが示したメッセージ

この他にも、今話題の小型モビリティや、タイヤ交換などを行う出張サービスのハイエース、タイヤチェンジャー、リフトなどがブースの各所に並べられたラインナップは、これまでのアイシンのイメージを覆すものが多く、正直驚きを隠せなかった。「業界全体が変わるタイミングに私たちもチャレンジしていかないといけない」と力強く話す担当者の目は一歩先を見据えているように見えた。

アイシンがこれまでの流通の枠組みを越える新商品群を、自動車アフターマーケット事業者を対象にした展示会で世界初公開した意味は極めて大きい。国内の自動車アフターマーケットにおいて、明確に新たな戦略を示したアイシンの今後の動向に大きな関心と注目が集まっている。

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