フロント4ウェイ+リアにサブウーファーを加えて5ウェイのシステムを組んだ下沢さんのメルセデスベンツ『Eクラス』。製作ショップである青森県のingraphのデモカーに影響を受けてイートンのスピーカー群をフロント4ウェイでセットアップした。

◆2つのミッドレンジを用いてフロント4ウェイを構築する

Aピラー、ドアミラー裏、ドア上部を効果的に使ってツイーター、ミッドレンジをインストールするスタイルが絶品だ。フロントスピーカーはベースにイートンのCORE-S3を用いる。ミッドレンジはAピラー、ツイーターはドアミラー裏にインストール。 もうひとつのミッドレンジ(イートンCORE-80)はドア上部のこの位置にインス-ル。中域の広さを引き出す取り付けとなった。

近年ますますまマルチウェイ化が進むカーオーディオの世界。オーディオコンペなどに出場する車両はフロント3ウェイでは飽き足りず、4ウェイさらには5ウェイとシステムのヘビー化が進んでいる。

そんな中、フロント4ウェイ(+フロントサブウーファーによる5ウェイ)を完成させたのがこのメルセデスEクラスだ。オーナーの下沢さんが興味を持ったきっかけはインストールをオーダーしているプロショップである青森県のイングラフのデモカーだった。当時のデモカーはフロント4ウェイに加えて、足もと前方のメルセデスの純正位置にサブウーファーをビルトイン取り付けする5ウェイを構築。その音に惚れ込んだオーナーがデモカーと同じユニットを愛車に取り入れたいと思ったのが発端だった。

イートンCORE-S3に加えてミッドレンジであるCORE80を追加したスタイルが独特だ。Aピラーとドア上部に同じミッドレンジを2個用いる手法はどんな効果を狙ってのものなのだろう? 素朴な疑問をイングラフの代表である木村さんにぶつけてみた。すると、

「ふたつのミッドレンジは実は同帯域を鳴らしています。ひとつのミッドレンジの取り付け場所をドア上部にできるので中域の広がり感をさらに良くすることを狙いました」

というのが理由だ。単なる帯域分割では無く、入念な計算の元、取り付け&調整されているスピーカーシステムであることがわかった。

◆イートンCOREのスピーカー群を用い、狙い通りの充実の帯域バランスを再現する

ツイーターはイートンCORE-S3のマグネシウムドームツイーター。ドアミラー裏への取り付けはシンプルでスマート。ミッドレンジはイートンCORE-S3の8cmミッド。Aピラーを加工してデザイン上も美しく収めている。もうひとつのミッドレンジ(同じくイートンのCORE-80)はAピラーのミッドレンジと同帯域を再生する。イートンCORE-S3のミッドバスをドアにドアにインストール。ピアノブラック仕上げのバッフルが美しく上質。

ところで、フロント4ウェイに用いられているのは3ウェイセパレートモデルであるイートンCORE-S3+80mmミッドレンジであるCORE80、さらにイートンのメルセデス用のトレードインウーファーであるUG-MB-195R(足もと前方に設置)。

取り付け面で見どころとなったのはミッドレンジを取り付けたAピラーとドア上部にインストールされたツイーターとミッドレンジ×2だろう。ツイーターはイートン・CORE-S3の28mmマグネシウムドームツイーターをドアミラー裏に取り付け。ミッドレンジには同じくCORE-S3のミッドレンジ(8cmマグネシウムコーン)をAピラーにビルトイン、さらに同ユニット(CORE-80)をドア上部にインストールする。中高域スピーカーがピラー&ドアミラー周辺にぎゅっと凝縮して取り付けられているスタイルは圧巻だ。

ドアに取り付けられているのはCORE-S3のミッドバス(16cmマグネシウムコーン)。エンクロージャー化されることで中低域の鳴りの正確さを引き出しているスピーカーでもある。

さらに写真では見えていないのだが、フロントシート足もとにあるメルセデスベンツの純正サブウーファー位置に、トレードイン取り付けできるイートンのスピーカー(UG-MB-195R)がインストールされている。5つのスピーカーを使ったフロント4ウェイがこうして完結した。

◆ドアのアウターバッフル加工なども、サウンド&デザイン両面でキーワードとなる

ドア下部を大きく作りコンでエンクロージャー化しているのもこのクルマの見どころ。ミッドバスの安定した鳴りを引き出す。ピアノブラックのバッフルやアウターバッフルの作り込みでは細部にまで気を配った質の高いインストールが施された。

先にも紹介したのだが、さらにCORE-S3のミッドバスはドア下部を大きく加工してエンクロージャー化されているのもこのクルマの大きな注目点だ。またピアノブラックのバッフルを備えたデザイン性、ドア下部に施された純正イメージを踏襲したプレスラインなど、加工技術のレベルの高さも際立つ仕上がりとなった。

Eクラスの純正ドア形状を知るユーザーであれば、この加工がどれほどレベルの高いものなのかがわかるだろう。もともとポケットなどを備えているドア下部をワンオフで加工してミッドバスを取り付け。さらに純正ドアにもある後方へと跳ね上がるプレスラインも再現することで室内とのとの調和を図っている。

高音質を徹底追求してフロントに5つのスピーカーを投入、結果的に4ウェイの帯域分けを完成させた下沢さんのEクラス。高音質化に必要なシステムは迷い無く取り入れるというオーナーの思いが伝わってくるクルマとなった。次回の後編ではリアのサブウーファーやDSPの取り付け等について紹介して行くこととしよう。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

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