先日、わが家のステーションワゴンに乗って、家族3人、愛犬2頭でドライブ旅行に出掛ける計画があった。しかし、目的地での観光で必要なドッグカート2つ(カートに入っていないと入場、入店できない施設、飲食店があるため)と旅行用キャリーバッグなどの積載を考えたところ、ほぼ不可能であることが判明。結果、ボクは留守番…ということになってしまったのである。

愛犬用の荷物をギリギリ積載

具体的には、前席に家族2人(カミサンと娘)、後席には愛犬を安全に乗車させられるペットサークル2つを固定して愛犬2頭、そしてラゲッジルームに宿泊を伴うキャリーケースとドッグカート2つ、および愛犬用の荷物をギリギリ積載というフォーメーションとなった。これではボクの居場所はない…。トホホである。

家車のステーションワゴン

そんな”事件”をきっかけに、改めて乗員の数と愛犬の頭数によるクルマ選びについて考えてみた。

◆軽自動車でも問題ない場合も

まず、乗員2名と小中型の愛犬1~2頭、または大型犬1頭であれば、リアドアがあり、ラゲッジルームにある程度の余裕があれば、例え軽自動車でも問題なしだ。

三菱 デリカミニゆとりあるシート幅の後席に愛犬

以前、ドッグフレンドリーカーとしても推奨できる三菱『デリカミニ』(リアスライドドアのスーパーハイト系軽自動車)で夫婦と愛犬のジャックラッセルのララ1頭で1泊ドライブ旅行に出掛けたことがあるが、後席スライド機構によって後席をグーンと前にスライドさせることで、前後席の隙間がほとんどなくなり、ゆとりあるシート幅の後席に愛犬を乗せても、万一の急ブレーキなどの際、フロアに落ちる心配がなく、また後席を前スライドさせたことでラゲッジルームの奥行が増し、実測で奥行675mm(後席使用時の最大値)、幅885mm、最小天井高1070mmもの広大なスペースが出現。一体式ペットカートを横積みでき、例えばキャビンと本体が分離できるドッグカートの本体(キャビンは後席に設置)と2つの機内持ち込みサイズのキャリーケースや愛犬用の荷物を積んでもまだまだ余裕だったほどだ。

キャビンと本体が分離できるドッグカートキャリーケースや愛犬用の荷物を積んでもまだまだ余裕

付け加えれば、後席エアコン吹き出し口を持たない軽自動車でも、三菱 デリカミニやスズキ『スペーシア』、日産『ルークス』などのように、天井にサーキュレーターが用意されている車種もあり、後席の空調環境にも配慮されているのである。

天井のサーキュレーター

もちろん、わが家の愛車、コンパクトステーションであれば、それ以上に余裕があるはずで、たとえば乗員3名、小中型犬1頭の乗車でキャビンと本体が分離できるドッグカート1台の持参なら、キャビンを後席に設置して、その分ラゲッジルームのスペースを拡大する方法もあるにはある。ドッグカートが2台でも、宿泊を伴わなければなんとかなるが、宿泊ドライブ旅行となるとやはり無理! というものだ。

乗員の数と愛犬の頭数によるクルマ選びの極意

◆家族も愛犬も大事! やっぱりミニバン

では、乗員4名のドライブ旅行だとしたら、上記の軽自動車、一般的な乗用車やステーションワゴン、2列シートのSUVだとどうなるか。答えはまず快適に乗れない、使えない…である。小型犬を後席乗員の膝の上に乗せればいいのでは? なんて思うかもしれないが、それでは危険であり、また犬もドライブの最中、ずーっとデコボコした膝の上では寛げたものではない。だからと言って、SUVやワゴンのラゲッジルームに、そのままあるいはクレートを設置して中大型犬を乗せるのも推奨できない。そもそもそれでは宿泊を伴う乗員分の荷物やドッグカートは積めず、これからの季節では空調(エアコンの冷風)が届かず、1年中毛皮を着ていて、基本的に暑がりの犬にとってサンルームのような過酷な空間、環境で過ごすことになるからだ。付け加えれば、この問題点はクルマの大小を問わない。もっとも、後席が4:2:4分割になっていて、中央の2部分をアームレストとして倒すことでラゲッジルームと室内にスルー空間(エアコンの冷風が届く前提)ができるワゴン、SUVで荷物を最小限にをするなら、大型犬の乗車もしっかりと配慮すれば不可能ではない(あくまで短距離・短時間に限る)。

乗員の数と愛犬の頭数によるクルマ選びの極意

冒頭のわが家の一件、ボクがドライブ旅行で置いて行かれた経験からすれば、以前、大型犬のゴールデンレトリーバーのナナ、ラブラドールレトリバーのマリアと暮らしていた頃の愛車、ミニバンのありがたみ、便利さを改めて痛感することになったのだ。

乗員の数と愛犬の頭数によるクルマ選びの極意

3列シートのミニバンであれば、ボディの大小を問わず、乗員4名+愛犬1頭(大型犬を含む)~多頭(小中型犬)+荷物の乗車、積載が可能になる(コンパクトミニバンでは2台のドッグカートの積載はほぼ無理だが)。中大型のミニバンなら2/3列目席の頭上にエアコン吹き出し口が用意されているのが普通だから、2/3列目席の空調環境も文句なしだ。そのフォーメーションは、1/2列目席に乗員4名、前後スライドで前に出した3列目席に愛犬1~2頭、3列目席を前にスライドし奥行を拡大したラゲッジルームに荷物…ということになる(ボックス型ミニバンなら畳んだドッグカートを縦置きすることも可能)。ラゲッジルームに入り切らない荷物で高さのないものであれば、3列目席の下、3列目席前のフロアに置け、荷物を3列目席の座面の高さに合わせれば、座面の長さを延長でき、よりゆったり乗車できる工夫にもなるわけだ。

さらに、乗員3名、大型犬1頭、小中型犬1頭であれば、2列目席に乗員1名、その横に小中型犬1頭、3列目席に大型犬という乗り方もでき、ある意味、自由自在の乗員と愛犬、荷物のフォーメーションが可能になる。両側にクルマが止まっている駐車環境でも、スライドドアからなら愛犬の乗せ下ろしがたやすいのである。

スライドドアからなら愛犬の乗せ下ろしもたやすい

ただし、3列目席に愛犬を乗車させる前提では、ミニバンの2列目席はキャプテンシート、または2列目席が横スライド機構によってベンチ、キャプテンの両アレンジが可能な車種(例/現行の日産『セレナ』、ホンダ『ステップワゴン』)が望ましい。というのは、ミニバンのスライドドアから愛犬を3列目席に乗車させるシーンでは、2列目ベンチシートだと2列目席をウォークイン操作(前に出して背もたれを倒す)しなければならず、面倒だからだ。また、3列目席の居住環境では、2列目席の背もたれが壁のように立ちふさがり、1/2列目席の乗員と愛犬がお互い安心してドライブを楽しめるアイコンタクトが不可能になってしまうのである。

2列目キャプテンシート

2列目キャプテンシートであれば、スライドドアからまずは2列目席フロアに乗せ、左右キャプテンシートの隙間(ウォークインスペース)から愛犬自身で3列目席へと誘導することができ、さらに言えば、乗員が左右キャプテンシートの隙間から3列目席にアクセスし、3列目席に乗車した愛犬をケアすることもたやすい。3列目席にペットシートマット(前部のメッシュ窓は不可欠)を敷いてハーネスで固定してあげれば愛犬はさらに快適、安全だ。

3列目席にペットシートマットを敷いてハーネスで固定

ということで、ちょっと前までは夫婦2人、愛犬1~2頭だったわが家だが、娘を加えた3人家族+愛犬2頭となった今、ドライブ旅行でのコンパクトステーションワゴンは手狭になったと感じている今日この頃。3人家族でミニバンは不要だろう…という意見もあるだろうが、愛犬家家族なら話は別。小型犬のジャックラッセルと中型犬のキャバリアがいて、時にドッグカートを2台と3人分の機内持ち込みサイズのキャリーケース、愛犬用荷物を積んで宿泊を伴うドライブ旅行に出掛けるシーンでは、やはり3列シートの車内、ラゲッジスペースに余裕がある、普段使いもしやすいMクラス以上のミニバンが最強、最適だと思えたりする。

乗員の数と愛犬の頭数によるクルマ選びの極意

そのハイブリッドモデルでAC100V/1500Wコンセントがついていれば、車内外で1500Wまでの湯沸かしポットや簡易電子レンジなどの家電品も使え、クルマを景色のいい場所に止めれば、スライドドアを開け放った車内が“どこでもドッグカフェ”のテラス席にもなりうるのだから。

乗員の数と愛犬の頭数によるクルマ選びの極意

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