2024年も後半戦。前半には注目の新型車登場や、自動車メーカーの不正など、さまざまなニュースがあった。この先のキーとなる自動車界の事象は何か? ここでは、トヨタ、スバル、マツダが開発中の次世代エンジンに迫ってみた。

※本稿は2024年6月のものです
文:高根英幸/写真:トヨタ、レクサス、マツダ、日産、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年7月26日号

■三社三様の次世代エンジン

パフォーマンス重視のトヨタ2Lターボは、レースを見越した設計で600psまで対応

 トヨタはこれまで、1.5Lは3気筒のほうが効率は高いと主張してきた。1気筒あたりの効率では500ccが最適なのだ。だが次世代エンジンは4気筒。1気筒あたりの容積は400ccを下回ることになり燃焼効率などは若干落ちるが、最新の燃焼技術で燃費性能も確保する方針。

 公表された情報では現行の3気筒と比べ、高さが10%減っている。それでも比率としてはロングストローク化したかも。それは体積でも10%低減しているからだ。

 エンジン自体で燃費を向上させるのは、かなり限界に近付いている。そのためボンネット高を下げ、空気抵抗を軽減する方向へと舵を切ったのだ。試算によれば、従来よりも12%もの燃費向上が可能だという。これは大きなメリットだ。

 そして2Lの4気筒は、従来の2.4Lエンジンに代わるものだが、さらに高出力仕様で3.5L・V6ターボやV8までのカバーを狙う。しかし大排気量エンジンの需要が、2Lに置き換えられるかは疑問。ターボで出力を確保しても、大排気量とはフィーリングが大きく異なる。

■スバルとマツダはどうなる!?

水平対向+THSという組み合わせのスバルの次世代e-BOXER。燃費は大幅に向上する

 トヨタと比べると、マツダとスバルの次世代エンジンは方向性が違う。水平対向もロータリーもボンネット高を抑えるのには役立つが、燃費性能で敵わない。

タイヤよりも低い位置に搭載できるマツダの縦置き2ローターのロータリーEVシステム

 マツダもスバルも、トヨタと同じコトをやっても生き残れない。だから合成燃料普及を期待して、個性あるエンジンの魅力を訴求する方向へと舵を切ったのだ。

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