アメリカやヨーロッパで、中国製BEVの締め出しに拍車がかかっている。米バイデン政権は中国製BEVに100%という高い関税をかけ、EUでは最大38.1%の追加関税を課すと発表。となると余剰の中国製BEVは、日本車の昔からのお得意様を狙っている!? ちょっとちょっと日本のお偉い様方、対策しないとまずくない!?

※本稿は2024年7月のものです
文:角田伸幸/写真:BYD、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年8月26日号

■欧米を締め出された中国製BEVの行き先は

EUのフォンデアライエン委員長。中国車への追加関税を決めたがそのしわ寄せが日本に?

 欧米での中国車の締め付けが強まっている。米バイデン政権は中国製電気自動車に100%もの高関税をかけると決めたし、EUは現在の10%にさらに上乗せして、最大38.1%の追加関税を課すと発表した。

 もともとアメリカでは、中国製EVがほとんど流通していないとはいえ、今回の措置は事実上の禁輸に近く、欧州の追加関税にしても事実上の締め出しだ。

 となると気になるのは、欧米で売れなくなった中国車はどこに行くのかということ。中国メーカーは欧米の強硬策にも減産する気はなく、利益そっちのけで輸出拡大を図る気だからだ。

 識者によると、中国が輸出拡大を狙うのはアフリカと東南アジア、南アメリカだという。これはまずい。いずれも日本車にとって重要な市場だが、そのひとつが日本車王国である東南アジアだからだ。

 ただでさえBYDや長城汽車などがシェアを伸ばしているのに、欧米の政策のせいで、それが加速してしまうとは……。

 というわけで2024年夏以降は、東南アジアで日本車と中国車による激烈なシェア争いが始まる可能性が高い。日本車の奮闘に期待せねば。

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