カーオーディオに興味を持っても、“わかりづらさ”が壁となることがある。当連載はその払拭を目指して展開している。関心を持つ方にさらに関心を強めていただこうと、毎回疑問に思われがちな事柄について説明している。現在は「サブウーファー」がテーマだ。

◆ホームオーディオではサブウーファーが使われる頻度は高くない。しかしカーでは…

まず前回は、サブウーファーとは何なのかを解説した。それに引き続いて今回は、カーオーディオでこれが使われる頻度が高いその理由を説明していく。

ちなみにホームオーディオでは音楽を楽しむためのステレオシステムを構築する場合、サブウーファーは必ずしも使われない。対してカーオーディオでは、愛好家の多くがこれを導入している。または純正システムにいきなりこれが加えられることもある。それはなぜなのかというと……。

その理由は至ってシンプルだ。「ドアスピーカーでは超低音までをスムーズに再生するのが難しいから」だ。

というのも、スピーカーは振動板の口径が小さくなるほど高音再生が得意になり、大きくなるほど低音再生が得意になる。で、ドアに取り付けられるスピーカーは、大きくても17cm口径までだ。しかしこのサイズでは、物理的に超低音までをクリアに再生するのが難しい。

「サブウーファー」が搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:ジパング<鳥取県>)。

◆クルマの中では低音が聴き取りづらい。しかしサブウーファーを導入すれば…

さらにはドア内部の音響的なコンディションもあまり良くないがゆえに、ドアスピーカーはそもそもその性能を100%発揮し難い。それもあり、余計に低音再生力に限りが出がちだ。

その上クルマは、走行することで「ロードノイズ」を発生する。で、ロードノイズの主な成分は低周波だ。これがドアスピーカーから放たれる低音に覆い被さり低音を聴こえにくくする。

しかしサブウーファーを導入すれば、ドアスピーカーが再生しきれない超低音をしっかり鳴らせるようになり、ロードノイズの影響への対処も可能となるのだ。

続いては、サブウーファーを導入すると聴こえ方にどのような違いが出てくるのかを説明していこう。

なお、サブウーファーが担当する帯域は周波数でいうと80Hz以下である場合が多い。で、この帯域には、低音打楽器の音が含まれる。なのでビートの効いた音楽で、ノリが良くなる。よりリズムが強調されることとなるからだ。

「サブウーファー」が搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:ジパング<鳥取県>)。

◆クラシック音楽では、録音現場の“残響音”が聴こえるようになり、臨場感がアップ!

そして実は、クラシック音楽でもサブウーファーを導入することでサウンドが大きく変化する。なぜならば、「録音現場の残響音がしっかり再生されるようになるから」だ。

これがどういうことなのかを説明していこう。クラシック音楽の音源はホールで録音されることが多いが、ホールに響く残響音は実は、主には超低音だ。音は、周波数が高い音ほど減衰するのが早い。逆に周波数の低い音、つまりは1波長が長い音は減衰するのに時間がかかる。

で、サブウーファーを導入するとこの残響音をしっかり鳴らせるようになるので、臨場感がアップしクラシック音楽の迫力が一気に向上する、というわけなのだ。

今回はここまでとさせていただく。次回以降もサブウーファーに関する“分かりづらい”事柄についての説明を続行する。乞うご期待。

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