雨と暑さで愛車には負担のかかる季節。さらに長距離ドライブの多いシーズンでもある。そこで昨2023年のこの時期に掲載された連載「Weeklyメンテナンス」から人気記事を再掲する。

  ………………

雨天時の視界不良は安全性を大きく左右するので要注意だ。そこで雨が降り出した際のフロントウインドウの視界不良の原因になる油膜を除去するメンテナンスを今すぐ実行してみよう。

走行中に雨が降り出してワイパーを動かしたところ、フロントウインドウがなんだかクリアじゃない……、視界が遮られるようにモヤモヤとまわりの景色が歪んでみる部分がある……。そんな経験をしたことがある読者も多いだろう。この現象の原因の多くはガラス面に付着した油膜なのだ。

油膜=油分がガラスに付着することでガラスに降りかかった水膜が不規則に弾かれてしまい、視界を歪ませてしまうのだ。しかも油膜はまだら模様のように付着しているので、水膜をはじく部分とべったりと張り付く部分が不規則に散らばっているのも視界を遮る原因になっている。さらに油膜は光が当たるとギラギラと反射するので、夜間走行時に対向車のヘッドライトを受けるとなおさら厄介。べったりと油膜が付着したクルマに乗ると夜間走行では命の危険さえ感じるほど危ない思いをすることになる。

◆油膜がフロントガラスに付く原因とは?

そんな危険な油膜だが、そもそもなぜフロントガラスに付着するのだろう。その原因を少し探ってみよう。

クルマのまわりには実は“油分”がかなり多く存在している。例えばワックスもそのひとつ。まさかフロントウインドウにワックス掛けするユーザーはいないと思うが、ルーフなどのワックス成分が徐々に流れ出してウインドウ面に付着することも考えられる。また、以前使っていたガラス撥水剤が劣化した状態で残っていることもある。さらに排ガスの中にある油分が走行中のガラスに付着することもあり、走行中にまわりのクルマや路面から何らかのかたちでやって来る油分を少しずつフロントウインドウにため込んでいる場合があるのだ。

その油膜は定期的に処理しておかないと日光で熱せられて焼き付いてしまう。これががんこな油膜の正体なのだ。

しかし雨が降っていないときにフロントウインドウを見るとそれほど違和感がないのも油膜のやっかいなところ。ガラス面がしっかりと汚れているのが目視できるならばすぐに洗車するのだが、ガラスへの油膜の付着は雨天時以外はあまり気にならないのでついつい放置しがち。

さらにフロントウインドウに付いた油膜がやっかいのは簡単には除去できない点だ。フロントウインドウの汚れを洗い流すためのウォッシャー液を使ってワイパーを動かせばある程度の汚れは取り去ることができるのだが、油膜のやっかいなところはウォッシャー液+ワイパーはほとんど効果が無いと言うこと。何度も何度もウォッシャー液を使っても「ほとんど変化無し」という場合も少なくないのだ。さらにシャンプー洗車してもフロントウインドウにこびりついた油膜だけはしっかりと残っている場合がほとんど。気をつけて処理しなければガラス面の油膜はどんどん蓄積していく一方なのだ。

◆油膜取りには専用クリーナーが効果的!

そこで用意したいのがガラス面の油膜を取り除くために開発された専用のケミカルだ。プロスタッフの「キイロビン」などが有名だが、洗車用品などを扱う各社からガラスの油膜取り用のケミカルは数多く発売されているので用意してみると良いだろう。

油膜取りの作業はいたって簡単。クルマの洗車に併せて実施すれば手間もないだろう。油膜取り(多くの場合は液体タイプ)をスポンジに適量取りだしてフロントウインドウをこすっていく。広い範囲よりも小さな範囲を縦横に規則正しく磨く方が効果が出やすいだろう。油膜取りによって油膜を削り取っていくという感覚だ。ガラス表面に付いたがんこな油膜が徐々にはがれ落ちていくのだ。

作業が進んで油膜の除去がどの程度進んだかをチェックするには油膜取りの液剤のはじきを見ると良いだろう。スポンジでガラス面をゴシゴシとこすっていると、液剤がさっとはじく部分とべったりと付着したままの部分に分かれてくるのではないだろうか? はじく部分はまだ油膜が残っている証拠、あらためてこの部分に対して油膜取りを使ってゴシゴシこすっていこう。この作業を繰り返しガラス全面が油膜取りの液剤をはじかない状態になったら作業は完了だ。水洗いしてタオルなどで拭き上げれば完成だ。この時点でフロントガラスにシャワーで水を掛けると水膜がべたっと張り付いた、いわゆる親水状態になっているのがわかるだろう。車内から前方を見ると歪みやゆがみの少ない視界が確保されているのが確認できるだろう。

この油膜取りをすれば雨の日の視界が大幅にクリアになったのは誰の目にも明らか。何かと危険が多い雨中の走行なので、少しでもリスクを減らすためにフロントウインドウのメンテナンスは怠ることなく実施しておこう。ついつい忘れがちなフロントウインドウの油膜取り処理なので、クルマを洗車する際には同時に油膜取りを実施するように習慣付けておけば、いつでもクリアな視界が確保できるのでおすすめだ。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。