条件が緩和され、より手頃で身近な乗り物となった電動キックボード。しかしルールを正しく理解していない人の利用によって、他の車両や歩行者にとって大変危険なものになってしまっている。道路を利用するすべての人が安全に通行するにはどうしたらいいのだろうか?

※本稿は2024年6月のものです
文:齊藤優太/写真:齊藤優太、ベストカー編集部、AdobeStock
初出:『ベストカー』2024年7月10日号

■正しいルールが浸透せず無法状態に

特定小型原動機付自転車の検挙件数(令和5年7月〜令和6年3月 違反類型別)

 免許不要かつヘルメット着用努力義務となった電動キックボードの危険運転や交通違反が急増している。

 電動キックボードは、条件が緩和されたことで手軽で身近な乗り物となったものの、交通ルールや運転マナーなどを知らない人や正しく理解していない人による危険運転や交通違反などにより、ほぼ無法状態になっているのが実情だ。

 警察庁が公開している情報によると、「性能上の最高速度が自転車と同程度であるなどの一定の要件を満たす電動キックボード等に限り、特定小型原動機付自転車として、運転免許を受けずに運転することができるようになるなど、新たな交通ルールが適用される」とのこと。

 しかし、このような情報が「電動キックボード=自転車と同程度(同じ)の乗り物」という誤解を招いている可能性があると考えられる。

 自転車や電動キックボードなどを含む小型モビリティであっても、車両であることに変わりない。つまり、正しい知識と運転技術がなければ、交通事故や交通違反が多発するのは明らかだ。

 振り返ってみると、電動キックボードに関する改正道路交通法が施行される時に、「免許不要」や「ヘルメット着用努力義務」などの言葉が大々的に打ち出された報道がされていた。

 このような報道も電動キックボードを利用するユーザーの誤解を招き、逆走や右側通行、一時不停止、信号無視などの交通違反を誘発させてしまった原因のひとつとなっているのかもしれない。

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 電動キックボードを含む小型モビリティを運転する時に最低限のルールやマナーを守らなければ、他者を巻き込む大事故に発展したり、事故を誘発させてしまったりする可能性は高い。取り締まりの強化や法改正などルールを変更することはできるが、根本的な原因は車両を取り扱うユーザーの意識だといえる。

 車両を運転する責任や危険性、車両ごとのルール(通行位置や交差点の通り方など)を正しく理解しなければ、交通違反・交通事故・危険運転などが減ることはないだろう。

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