北米マツダがトヨタのハイブリッドシステム、THSIIを搭載したCX-50を発表した。トヨタがTHSIIを他社製SUVにOEM供給するのはスバルの新型フォレスターに続き2例目となる。はたしてCX-50ハイブリッドの日本発売はあるのか? さらにほかのマツダ車にトヨタハイブリッドが搭載されることはあるのか?

文/ベストカーWeb編集部、写真/北米マツダ

■ワイドでカッコいいSUV、CX-50にTHSIIがついに搭載!

2024年末から販売されるCX-50ハイブリッド

 マツダCX-50は北米向けのクロスオーバーSUVモデルで2021年11月に発表された。ベースはCX-30などと同じFFベースで、ボディサイズは全長4785×全幅1920×全高1638mm、ホイールベース2815mm。サイズ的にはCX-5よりひと回り大きく、CX-60よりもややワイドで全高が低いスタイリッシュなSUV。

 2024年7月10日、マツダの北米部門は、CX-50の2025年モデルを発表した。トピックスはCX-50にトヨタのハイブリッドが搭載されたことだ。

 ハイブリッドモデルのエクステリアはホイールやフロントバンパーがほかのモデルとは異なり、インテリアは新しいレッドレザーなどが装備され、明確に差別化されている。

 注目のハイブリッドシステムは、トヨタの2.5LダイナミックフォースエンジンとTHSIIが搭載されている。

トヨタの2.5Lダイナミックフォースエンジン+THSII

 ちなみに2024年秋に発表され、2025年春から日本で販売される新型フォレスターは、トヨタのハイブリッドシステム、THSIIにスバルの水平対向エンジンを組み合わせたストロングハイブリッドの次世代e-BOXERを搭載している。

 THSIIに組み合わされるエンジンはマツダ製ではなく、トヨタの2.5Lダイナミックフォースエンジンで、エンジンの最高出力は176hp/5700rpm、最大トルクは22.5kgm/3600~5200rpm。フロントモーターの最高出力&最大トルクは、フロントモーターが118hp/27.9kgm、リアモーターが54hp/12.3kgmとなっている。

 クラウンクロスオーバーやRAV4、レクサスRX350hなどに積まれているTHSIIとほぼ同じもので、RAV4ハイブリッドのスペックを見ると、エンジンは178ps/22.5kgm、フロントモーター(120ps/20.6kgm)、リアモーター(54ps/12.3kgm)なのでほぼ同一ということがわかる。

 そのほか、2025年モデルのCX-50には2.5L、直4(187ps/25.6kgm)、2.5L、直4ターボ(256hp/44.3kgm)が用意されている。

 CX-50ハイブリッドの EPA 推定複合燃費は38MPGで、CX-50 2.5 S と比較して約40%向上しており、CX-50 2.5Sと比較して年間約575ドルの燃料が節約できるという。

■THSIIを積んだCX-50の走りはどうなのか?

THSIIを積んだCX-50の走りはどうなのか?

 トヨタSUVと走りがどう違うのか気になるところだが、マツダのエンジニアは「アクセルペダルの反応などハイブリッドパワートレインの細部にまでこだわり、CX-50 の特徴であるコネクテッドでレスポンシブなドライビングダイナミクスを実現しています」とコメント。

 さらに「信じられないほどのシャーシ剛性、巧みなステアリングとハンドリング、および騒音、振動、ハーシュネス (NVH) を削減するため重点をおいた設計により、コンパクトクロスオーバーハイブリッドセグメントのなかでも洗練された走りが楽しめる」としている。

 CX-50の価格は、1ドル161円換算で、ハイブリッド・プリファードが約548万5100円(3万3970ドル)、ハイブリッド・プレミアムが603万9000円(3万7400ドル)、ハイブリッド・プレミアムプラスが646万6900円(4万50ドル)。

■CX-50ハイブリッドの日本導入はあるのか?

ボディサイズは全長4785×全幅1920×全高1638mm、ホイールベース2815mm

 さて、トヨタのTHSIIを積んだCX-50の北米での販売は2024年後半からスタートするが、日本導入はあるのか? 残念ながら、CX-50自体が北米と中国市場(長安マツダ)に向けたモデルなので、日本市場で販売する予定はいまのところまったくない。

 トヨタとマツダは2015年の業務提携以降、先進技術、合弁工場、販売金融などさまざまな分野で協業しているが、今回のTHSIIのマツダへのOEM供給もその一環となる。そのほか、ヤリスの1.5Lハイブリッドを搭載したマツダ2も2022年春から欧州で販売されているのもご存じのとおり。

 マツダは2030年に向けた中期経営計画で、2022年から2024年にかけて、ラージPHEVを中心に展開し、今後の主力はPHEVとBEVとみており、2025年から2027年にかけて新しいBEVを開発し、軸足をEVに移す開発強化期間とし、2028年から2030年にはBEVの本格導入期間としている。

 つまりトヨタのTHSIIが日本市場で販売されているCX-5やCX-60、そして今後発売予定のCX-80に搭載される可能性は低いといえるだろう。

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