世情が不安定だと何かにすがりたくなるのは古今東西変わらないようだ。みんな大好きパワースポット巡りは、お守りや御朱印集めからスタートするのもいいだろう。パワーを必要とする皆様のために、路線バスで行くパワースポットをバスマガジンWEBのオリジナル連載で紹介する。

文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■自分のパワースポットを探す!

香良洲神社へは三重交通で津駅前から乗り換えなしで1本!

 雑誌やSNS界隈で有名だからと言ってそれが万人にパワースポットかどうかはわからない。自分のパワースポットは自分で探すしかない。果てしない旅のようだが、きっと「感じる」ものがあるはずだ。それが見つかれば同じ神様を主祭神とする最寄りの神社や、同じ仏様を本尊とする寺院を訪ねるのもいい方法といえる。

 大都市であれば鉄道駅や地下鉄駅から徒歩で行けるスポットも多いが、もし路線バスの停留所が近ければ徒歩が少ないという意味で紹介する。バスマガジンWEBオリジナル「【バスに乗ってパワースポットへ】あなたのパワースポットを見つけよう!」にご期待いただきたい。

 以前に三重県伊勢市の伊勢神宮内宮、皇大神宮を紹介したが、今回は三重県でも津市にある香良洲(からす)神社を紹介する。三重県の中部に位置する津市は県庁所在地だが、地名の短さでも有名だ。

■津や久居から三重交通で乗り換えなし!

神社前にバスが止まるのは神宮と同じだ!

 津市南部にあるのが香良洲という町である。平成の大合併で津市に入る形になったが、それまでは香良洲町という町だった。その中央部にあった町役場の近くに香良洲神社がある。

 ここへのアクセスは「津駅前」、または「久居駅東口(ハチ公口)」バス停から三重交通で乗り換えなしの一本だ。津駅からだと約45分、久居駅からは約30分で「香良洲神社前」バス停に到着する。降りると真横に立つのが香良洲神社の鳥居である。

■アマテラスの妹神が主祭神

香良洲神社参道

 この香良洲神社の主祭神は椎日女尊(わかひるめのみこと、稚日女命とも書かれる)で、由緒によれば「今から約1400年前に生田の長峡(現在の神戸市生田神社)から勧請申し上げおまつりした神社」ということである。稚日女尊は天照大御神の妹神であり、日本神話に登場する。

 「欽明天皇の時代に、一志の須で(浜洲)夜な夜な御神火が見えるので、これを知った一志直青木という人物が、海辺へその様子を見に行ったところ「吾は生田の長峡に坐す稚日女神である、姉神の在す、神風伊勢のこの地に鎮まりたい」とのお告げがあり、祠を造営し祭祀を行い、長くこの地に奉斎することになった」というのがこの神社の始まり・由緒とされている。

 主祭神の稚日女命は婦人の守護神だとされ、機織との関係があることから紡績業界からの信仰、神功皇后の軍船を守護し導いたという神話から航海の神・海の守り神としても信仰されている。

■境内社の稲荷社には金の皿が…

香良洲神社の由緒書き

 境内に入ると伊勢湾近くの神社ということで松林が広がっており、その中に建つ拝殿や鳥居などがまた神聖な雰囲気を漂わせている。歩いていくとまず見えてくるのは重ねて立てられた鳥居と、そこに鎮座する境内社の稲荷社そして小香良洲社である。

 ここは稚日女命の荒魂と香良洲町内11社から合祀した神々を祀っている。稲荷社は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)が祀られており商売繁盛の神と慕われているが、手前に書かれた「宝くじや受験票をこの金皿に置いてご祈願して下さい」という説明が、歴史はあれども現代の神社であることを感じさせ笑みが漏れる。

■神宮遥拝所も併設の神明造の本殿

本殿は弥生時代の高床式倉庫の建築様式が見られる神明造

 その先を歩いていくと、境内でもひときわ大きな拝殿が見えてきた。拝殿の奥に香良洲神社の御正殿がある。「社殿は神明造で、もっとも古い神社建築様式とされる。天照大御神の妹神とされる稚日女尊を祀る相殿神として御歳大神を祀る」という説明書きが隣に立てられていた。

 伊勢神宮と同じ造りの社殿はとても風格があり、周りの静寂さも相まって厳かな雰囲気を感じることができた。また南側には神宮遥拝所があり、ここから伊勢神宮を遥拝するためのもので、祠に向く方向の先に伊勢神宮がある。

神宮遥拝所で神宮参拝ができる

 また香良洲神社には伊勢神宮で行われる式年遷宮のようなものがあり、本殿と拝殿の建て替え「式年遷座」が行われる。また「式年遷座」は20年に1度なのだが、それとは別に10年に1度全国でも珍しい「中遷座」というお社の修復も行われるという。中遷座は昨年行われたので現在は新しいお社を見ることができる。

■カラスの地名は神社が由来ってマジ?

境内社の稲荷社へ続く千本鳥居

 ちなみに香良洲という地名の由来は諸説あるが、香良洲神社が由来だという。また鳥のカラスとも関わりがあり、カラスの住む地であったことから香良洲の地名になったとも言われている。

 境内にはヤタガラスを祀った「烏勧請」というものがあるほか、7月15日には例祭「夜からす祭」が行われる。その昔、お伊勢参りが流行った時代に伊勢神宮へ向かう参宮街道から香良洲道といわれる参道を歩くと行くことができた。

 お伊勢詣りをしてお加良須に詣らぬは片参宮」といわれ、参拝者が絶えなかったという。時代は移っても香良洲の地に鎮座する香良洲神社へ参拝してみてはいかがだろうか。

■あなたのパワースポットを探そう!

本数は比較的多いのでダイヤを確認するだけで気軽に参拝できる

 今回は津市香良洲町にある香良洲神社についてお届けした。自分のパワースポットを見つけるまで、バス旅や御朱印集めで巡拝の旅を楽しんでいただきたい。もしかしたら参拝しているうちに、罪穢れなき清らかな人間になっているかもしれない。そうなれば、もはやあなた自身がパワースポットだ!

 【交通インフォメーション】香良洲神社へは津駅前から三重交通で香良洲公園行きに乗車、香良洲神社前下車、運賃540円で所要約45分。久居駅東口(ハチ公口)からは三重交通で香良洲公園行きに乗車、香良洲神社前下車、運賃480円で所要約30分。

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