ボンネットがシルバーで、それ以外がブラックやブルーという、2トーンカラーのマンハッタンカラーのS130型フェアレディZは登場から46年経った今でも色褪せていない。当時の若者が熱狂的になったこのマンハッタンカラーに迫ってみる。

文:ベストカーWeb編集部/写真:日産自動車

■色気のあるS130型フェアレディZ

Tバールーフにボンネットがシルバー/ブラックで今見てもグッとくるマンハッタンカラーのS130型フェレディZ

 1978年8月に登場したS130型フェアレディZは「Z ZONE」といキャッチフレーズでS30型のキープコンセプトながらも1980年代に向けて新たなスポーティカーを提案したモデルだった。スポーツカーというより、ラグジュアリーなGTカーという性格だったといっていい。

 1980年11月にはボンネットからドア上をシルバーメタリックカラーに塗った2トーンカラーの「マンハッタンカラー」と脱着式のTバールーフ仕様が登場し、人気を博す。また1981年10月にはボンネットに日本車初となるNACAダクトが装着されるなど、スタイリング面でより一層魅力的となった。

Tバールーフを真上から見たカタログ写真

 また、『西部警察』の劇中車として、ガルウィングに改造されたスーパーZも懐かしい。

 搭載されたエンジンは、2L、NAのL20E型直6がメインで130ps、2.8L、直6のL28Eでも145ps。北米には180psのL28ET型2.8L、直6ターボがあったが、日本には用意されなかった。

 1982年10月には、フェアレディZ初のターボとなる145psのL20ET型2L、直6ターボが追加された。しかし、この時代、非力さは否めず、L28改などのL型チューンドエンジンが流行した。

■マンハッタンカラーと逆マンハッタンカラーとは

逆パターン、ボンネットがブラックで、それ以外がシルバーの逆マンハッタンカラーはターボ車に設定された

 ボンネットがシルバーで、それ以外をブラックやブルー、レッドとした2トーンカラーをマンハッタンカラーという。最後のターボ車は、その逆パターンとなる、ボンネットが黒でそれ以外をシルバーとした逆マンハッタンカラーがあり、ドア下部やTバールーフ、ボンネットなどに専用のラインも存在する。

 日産が公式に1979年の限定車として2トーンカラーを含むボディカラーを発表した際、2トーンカラーはオプションカラーだった。

 ではそもそもマンハッタンカラーのマンハッタンとはどこから由来しているのか? S30よりロングノーズとなって間延びしてしてしまうから2トーンカラーとした説や、シルバーがマンハッタンのビル群で、下のブラックやブルーがハドソン川というマンハッタンの摩天楼をイメージしたという諸説ある。

 いずれにしてもTバールーフとともに若者にインパクトを与え、大人気となったのでカタログモデルとなったのだ。

 これ以外にもアメリカでは、ゴールド/ブラックの生誕10周年の限定車、DATSUN 280ZX 10th ANIVERSARYも存在した。

 1970年代から1980年代にかけてアメリカでは排ガス規制の影響を受けながらも、スペシャリティカーは生き続け、ド派手なイーグルマスクのファイアーバードトランザムや丸目4灯のカマロも人気を博していた。その市場にZが置かれていたので、存在感を示すためにもマンハッタンカラーは有効な手段だった。

シルバー/ブルーの2トーン、マンハッタンカラー

 はたしてTバールーフ&マンハッタンカラーのS130Zは買えるのか? S130Zを大手中古車情報サイトで検索すると、流通台数は15台。中古車価格は268万~760万円。

 そのなかにTバールーフ&マンハッタンカラーはあるのか? ありました! 中古車価格は、450万円、390万円、価格応談と、たったの3台。正直、S130がこんな値段になっているとは信じられない……。

 30年以上前は100万円以下でゴロゴロしたのも今や昔。でも死ぬ前にチューンドⅬ28を搭載したマンハッタンカラーのTバーに乗ってみたいものだ。

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