歴代最高のスカイラインというと必ず名前が挙がってくるのが8代目のR32だろう。特に16年ぶりに復活したGT-Rが思い浮かぶが、FRモデルのクーペGTS-tクーペタイプMが真髄のような気もする。いまだに乗っているユーザーも多くいるんじゃないだろうか?

文:ベストカーWeb編集部/写真:日産

■GT-R16年ぶりの復活も話題になったが、ベースのFR系の出来がよすぎた!?

R32スカイライン2ドアスポーツクーペGTS-tタイプM(前期型)。当時、クルマに興味を持っていてこのモデルに惹かれない層は少なかったのでは?

 8代目スカイラインはバブル最盛期の1989年5月にFMCを受けて登場し、GT-Rは同年8月に追加設定された。セダンとクーペの2種類が選べ、パワートレーンには2L直6のRB系を据え、直4の1.8LSOHCもボトムラインとして設定。

 FRモデルのクーペ系トップグレード、2ドアスポーツクーペGTS-tタイプMとその4WDモデルであるGTS-4には直6、2LDOHCターボの最高出力215ps/最大トルク27.0kgmを発揮するRB20DETを搭載していた。

 この当時、1.8~2LクラスのFRターボスポーツといえば、同じ日産のS13シルビアにFC型サバンナRX-7などもあったのだが、R32スカイラインの存在感は図抜けていたように思う。

R32スカイライン2ドアスポーツクーペGTS-tタイプM(前期型)のリアビュー。個人的には非常に均整の取れたプロポーションだったように思う

 このR32スカイラインは販売台数こそR31スカイラインの約30万9700台には及ばない約29万6000台(GT-Rの約4万3600台を含む)だったが、2ドア、4ドアともに肥大していたR31スカイラインとは打って変わって引き締まったボディに。

 もちろん、GT-Rが16年ぶりに復活したことも注目ポイントだったのだが、“素”のFR系モデルも歴代でかなりの高評価をデビュー当時から受けていたのは見逃せない。

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■3年落ちの後期型クーペGTS-tタイプMをゲット

こちらは後期型のR32スカイライン2ドアスポーツクーペGTS-tタイプM。GT-Rと共通のアンバータイプウインカーレンズに変更されている

 R32スカイラインのデビュー当時、予備校に通っていた担当は2ドアクーペのGTS-tタイプMこそが「この世で最もカッコいいクルマ」だと思っていた。3ナンバー仕様となり、大胆に張り出したブリスターフェンダーに加えて大型リアスポイラー、専用フロントマスクで武装したGT-Rよりも5ナンバーボディのタイプMのほうが個人的にはスッキリしていてクールに感じていた。

R32スカイラインGT-RはFR系から遅れること3か月後の1989年8月に追加設定。こちらのアルミホイールはタイプMと形状は似ているが別モノ

 今でも忘れないのが前期型R32スカイラインクーペGTS-tタイプMのワインレッドのクルマがリアビューを見せつけて駆け抜けていくシーン。1990年、大学1年生だった筆者がサークルの飲み会で都内にいた際に見かけたのだが、それが鮮烈に脳裏に刻み込まれたものだった。

 それ以来、「絶対にR32タイプMは自分のモノにする!」と固く心に誓ったものだった。で、実際に手に入れることができたのは社会人2年目の1995年夏。マイチェンを受けた1992年式R32タイプMのクーペ(ブラック)を当時、約200万円で入手することに成功。

 しかも憧れていた純正フルエアロ仕様(フロントエアロバンパー、サイドスカート、リアサイドプロテクター)で走行2万5000kmというかなりの好条件なタマだった。その当時、クーペタイプMの中古車相場は約220万~260万円だったので、「あ、これは買わないと後悔するな」と思って購入した次第。

■やはり今の時代に再販してほしいと切に願う!

R32スカイライン2ドアスポーツクーペGTS-tタイプMの内装。純正シートの出来もよかったのを覚えている

 購入してからはBLITZ車検対応タイプのリアライズマフラーをはじめ、ターボタイマーやHKSの“毒キノコ”パワーフローなどを装着。カスタマイズをいろいろと楽しんだものだった。

 また、直6の2Lターボということで同じ日産2L直4ターボのSR20ターボを積んだS13シルビア後期型よりも低速トルクが細かったのだが、いかにもこの当時のターボ車らしいR32タイプMを味わえることができたのはこの業界にいる者としてよかったと思える経験だった。

 切れ味鋭いハンドリング、1300kg台の軽量なボディ、シュパッと吹き上がるターボエンジン……ふつうに街中の交差点を曲がるだけでもR32タイプMはただひたすらに運転するのが楽しいモデルだった。

R32スカイラインは内装の質感もよく、のちにFMCを受けたR33を確実に凌いでいたように思う。双方のタイプMを乗り継いでそのように感じた

 R32スカイラインといえば内装の質感がよかったのも美点。ヘッドライト回りやワイパーがインパネ上に独立して設定されていたのはR32スカイラインならではで、ステアリングスポークが3本で非常にスポーティな形状だったのも魅力だった。また、スポークの太さが前期型と後期型とではちょっと差があるのもマニアックなポイント。

 ちなみにR32タイプM後期型ではヘッドライト横のウインカーレンズが前期型のクリアタイプからアンバーに変更されてGT-Rと同様のタイプに変更されたほか、メーターパネル内の照明がダークブルーからブラックに変更され、精悍な印象に。

 そうそう、R32スカイラインはエアコンの温度設定が「23.0」「23.5」「24.0」といった0.5度刻みになっていたのも思い出深い。そのあとに乗ったR33スカイラインGTS25tタイプMは1.0度刻み設定になっていたのはおそらく元R32オーナーからは不評だったポイントのように思える。

 このR32タイプMに乗っていた時代が自分としては毎日がバラ色過ぎた。もしも今、このR32スカイラインGTS-tタイプMを新車で購入することができたとしたら個人的には絶対に買うんだけど。日産さん、どうにかなりませんか?

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