4月の北京自動車ショーでヴェールを脱いだBYDの新型プラグイン・ハイブリッド「秦L」が、1か月も待たずに発売された。このクルマ、なんと理論航続距離が2100kmもあって、価格が220万円からというのだ。日本車ははたして付いていけるのだろうか?

文:ベストカーWeb編集部/写真:BYD

■元の秦PLUSですら十分すごかったのに!

秦PLUSのロングホイールベース版ともいえる秦L DM-i

 まず秦Lの立ち位置から。BYDの本国の乗用車ラインナップは、中国王朝の象徴ともいえる龍をモチーフにした「王朝」シリーズと、海洋生物の伸びやかさをモチーフとした「海洋」シリーズに分けられる。

 秦Lは前者の王朝シリーズに属する中型セダン「秦」に追加されたロングホイールベースバージョンだ。

 ボディサイズは全長4830mm、全幅1900mm、全高1495mmだから、車格的にはトヨタのカムリとほぼ同等。ホイールベースは2790mmと思ったほど長くはないが、ベース車の秦が2718mmだから78mm延びたことになる。

 すごいのはこっからだ。もともと秦には「秦PLUS DM-i荣耀版」と呼ばれるプラグイン・ハイブリッドがあり、こいつの1.5Lエンジンは熱効率43%という信じられないスペックを誇った。日本が誇る高効率エンジン、トヨタのダイナミックフォース2.5Lが41%なのだから、そのスゴさが分かるだろう。

 さらに秦PLUSはこのエンジンにハイブリッドユニットを組み合わせ、満タンで1000km超も走る優れた経済性を誇った。しかもあきれるのが価格だ。ベースグレードは、たったの180万円なのだ。

記事リンク

前の記事

このイベントであらゆる種類のバスが堪能できたってマジ!? さすがは「三重交通グループ感謝祭」!!

次の記事

EVを学び未来の[一級自動車整備士]を育成すべし!! [BYDオートジャパン]が東京工科自動車学校で初のEV特別講座開催!

■秦Lのユニットをトヨタが積むという噂も!

第5世代と呼ばれるPHEVを搭載。バッテリー容量は10.08kWhと15.87kWhの2種類

 今回登場した秦L DM-iは、その秦PLUS DM-iの進化版といえる。しかもその進化の程度がハンパじゃない。ハイブリッドシステムを第5世代と言われる最新型にバージョンアップし、エンジンの熱効率は前代未聞の46%を達成。この数字は試作品以外に聞いたことがない内燃機関の到達点ともいえる数字だ。

 その結果、燃費はリッターあたり34.48kmにもなり(NEDCモード)、65Lへと増量されたタンク容量とも相まって、理論航続距離が2100km超という凄まじいものとなった。さすがにWLTCモードで測ればこの数字は出ないだろうが、それでも半端ない数字であることには変わりない。

 そして値段だ。これまた衝撃的なのだが、これだけのPHEVユニットを積みながら、秦Lのベースモデルは9万9800元。なんと220万円なのだ。

 こうなるともはや向かうところ敵なしという状況。その証拠に中国本国では「トヨタが現地で売る車両に自社製PHEVではなく、このBYD製ユニットを使う」という報道までなされているのだ。トヨタが本気出せば自社開発も十分できるとは思うのだが……。

 もともとトヨタとBYDは提携関係にあり、同社が北京ショーに出展したBEV「bZ3C」は、トヨタとBYDの合弁会社であるBTET(BYDトヨタEVテクノロジーカンパニー)が、開発に関与している。

 日本ではBYDというとBEVのイメージだが、PHEVの分野でも凄まじい技術力を持つことを忘れてはならない。それにしても、この進化に日本勢がどう対抗していくのかが見ものだ。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。