往年のヘルメットをイメージしたシンプルなデザインながら、アライならではの安全性能と快適性を加えフルフェイスがラパイドネオだ。旧車やネオクラシック系のライダーから支持されている本作を改めて被ってみた。

  文/沼尾宏明 Webikeプラス  

80年代フォルムを最新の性能で楽しめる

 アライのラパイドは1980年代に登場した長寿シリーズ。以前は口元の3本スリットが特徴で、1980年代に筆者も愛用していたモデルだ。

 そんな往年のスタイルを意識しながら、現代の技術を用いて設計されたのがラパイドネオ。無骨な形状のチンガードには、往年のラパイドを思わせる3本スリットが強調されている。さらに、口元と後部のスリットを除き、ディフューザーやダクトがないレトロ風のフォルムが特徴だ。

 帽体は、衝撃をかわすために丸みを帯びた形状。曲面を増やすために開発した2軸構造のVASシールドシステムなど現代の最新技術が投入され、スネル規格を取得済みだ。

 口元のスリットはチンガード内側のスイッチで開閉できる。頭頂部には一見、換気機構がないように見えるが、アライ初の内蔵ベンチレーションを採用。帽体内の緩衝材にエアルートと三つの排気孔を設置し、負圧でリヤのスリットとノズルから熱気を排出する。



  • 価格:5万5000 円~
  • サイズ:54cm、55-56cm、57-58cm、59-60cm、61-62cm
  • 規格:スネル、JIS
  • メーカーサイト:
    https://www.arai.co.jp/jpn/fullface/rapide-neo_top.html
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口元や後部のスリットにメッシュを配置。レトロな雰囲気を増幅している。





     

ワイルドな外見が魅力、換気効果もしっかり体感できた

 実物を手に取った第一印象は「カッコイイ」。シンプルな丸い帽体と厚いシールド、アゴを強調したデザインが実にレトロかつワルっぽい。なお、テストしたフラットブラックはAraiロゴが切り文字ステッカーで質感が高い(一部カラーは通常のステッカー)。

 ではテスト開始。被り心地は実に軽快だ。入口はやや狭く感じるものの、しっとりと頭全体を包む。なお、私の頭だと頬が少し緩め。筆者は59-60cm(L相当)だと、こめかみから上が痛くなりがちな頭部形状で、61-62cm(XL相当)でテストしている。

 筆者実測で重量は1608g(61-62cm フラットブラック)。この数値より明らかに着用感は軽やかだ。

 クリアな視界も印象的だった。ラパイドネオのシールドは板曲げ加工2Dタイプ。通常の3D構造シールドより歪みが少なく、デザイン的にレトロなのもいい。

 ダクトが少ないラパイドネオだけに、換気性能は気になるところ。テストしたのは5月、25度の晴天で停止状態だと頭やウエアの中が汗ばむ状態だった。

 しかし各部ダクトを開けて走り出せば、口元を風が吹き抜け、快適。口元にスペースを確保していることも手伝って、フルフェイスながら開放感がある。眉上のブローベンチレーションで額まわりも涼しい。

 同時に、頭頂部から後頭部にかけてもムレが解消した。さすがにエアダクトを上部に備えたモデルより換気効果は薄いだろうが、この外観でここままで効果があるのは素直に驚く。

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高速道路では風切り音や空気抵抗がやや目立つが、美点もあり

 帽体や内装に遮音性があり、周囲の音は適度に抑えられている。ただ、街乗りではあまり気にならなかった風切り音が80km/h程度から目立ち始める。特に前傾状態のバイクだと顕著だったが、不快なレベルではないのでご安心を。

 高速走行時の安定感はそれなりで、安定させるにはやや首に力を入れたり角度調整する必要がある。特に上体が立った乗車姿勢だと後頭部に乱流が発生している印象だった。これはスポイラーを廃したレトロスタイルを成立させるために仕方がないと思うが、もちろん高速クルージングをこなす性能は確保されている。

 また、死角の確認などで走行中に首を振った際、横面積が大きく、空力を重視したヘルメットより押し戻される感覚が少ないのは美点だ。





[まとめ] レトロスタイルを安全&快適な帽体で楽しみたい人に

 ディフューザーやダクトが目立たないレトロなデザインながら、現代の快適性も盛り込んだラパイドネオ。リアルビンテージのヘルメットにはない最新の安全性能も嬉しい。

 クラシカルな見た目で、安全性と快適さを兼ね備えたヘルメットが欲しい人に好適。旧車やネオクラ系バイクのオーナー、そして見た目が気に入った人にもぜひお薦めしたいヘルメットだ。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/parts-gears/376211/

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