バイクを新車購入する人の年齢層は年々上がっていたが、ついに55.5歳にまで上昇したことが自工会の調査により判明した。さらに「高速道路料金が半額になった場合」「利用環境で期待すること」など様々な調査が行われ、ライダーの意識が浮き彫りになったのだ。

  文/沼尾宏明 Webikeプラス  

国内唯一の定点調査、2013年に50歳を突破して年々増加傾向

 日本自動車工業会が4月、2023年度の「二輪車市場動向調査」の報告書を発表した。これは二年に一度実施され、日本で唯一定期的に行われている二輪市場の調査。ライダーの変化をつかむ上で重要な資料だ。

 対象はバイクの新車購入ユーザーで、今回は国内モデルの購入者4415名(2022年6月~2023年5月に購入)が対象。別途、輸入車の新車購入者139名も参加している。年齢層は10代~70代以上と幅広い。

 毎回ユーザーの年齢層が話題になるのが恒例で、今回も上昇している。2023年度は前回の54.2歳から+1.3歳の55.5歳に上昇。前回調査が最も高い平均年齢だったが、当調査でこれを更新した。

 以前からライダーの高年齢化は目立っているが、当調査でも年々上昇傾向にある。2001年度の調査では平均38.5歳だったが、2005年に40歳、2013年に50歳を突破した。2017年には0.2歳、2021年に0.5歳若返ったものの、2001年以降は基本的に年齢層は増加傾向にある。

 今回は40代以下が全て減少したのに対し、50代は2ポイント増、60代は3ポイント増加した。年々ボリュームゾーンが後ろにスライドしているのは、1960年代後半生まれで1980年代のバイクブームで乗り始めた人たちが今もバイクに乗り続けている、と考えられる。

 ただし輸入車ユーザーは平均51.9歳で、国産車ユーザーよりやや若かった。外国車の方が高齢かと思いきや意外な結果と言えるだろう。

 

 

     

意外? オンロード400ccクラスのライダーが最も若かった

 より細かく結果を見てみると、最も平均年齢が若いのがオンロード251~400ccクラスの50.8歳。次点がオンロード126~250ccクラスの52.5歳だった。いずれも前回調査では40代が平均だったが、こちらも50代に上昇している。

 ビギナー向けのモデルが多く揃う125ccや250ccクラスが若者に人気と思いきや、意外にも251~400ccクラスの方が若いという結果だった。

 

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 反対に最も平均年齢が高いのがスクーター(~50cc)の56.9歳。1980~90年代のイメージだと50cc以下に若者が乗っていたイメージだが、生活の足として使うケースが多いのだろう。

 また「免許保有状況」の調査では、対象者に占める大型二輪免許の保有率が微増。普通二輪免許が微減傾向となった。大型二輪免許の保有率は前回から3ポイント増の38%だったが、普通二輪免許は2ポイント減の26%に。性別年代別の「二輪免許のみ」保有率は、男性は70代以上で13%、女性は60代の17%、70代以上が44%と高い。

高速料金が半額になったら利用頻度が増える人は72%

 調査では年度ごとに様々なトピックが取り上げられている。中でも筆者が興味深かった調査結果を紹介していこう。

 「高速道路走行に対する意識」と題した調査では、高速道路料金が半額になった場合、「利用頻度と利用距離を増やす」意向の人が大半だった。

 高速道路料金が普通車の半額になった場合に想定される行動で最も高いのは「利用頻度が増える」の72% (126cc以上購入者ベース)。次いで「利用距離が延びる」の52%(同)だった。ともに高いのはオンロード401cc以上の大型ユーザー。スクーター126~250ccとオンロード126~250ccでは「ETCをつける」が高い。

 「今まで四輪車で行っていた場所に二輪車で行く」と回答した人は16%。「料金が下がっても特に高速利用に変化はない」と答えた人も同じ16%だった。

 

高速道路料金が半額

 

 現在、普通車の半額相当(現行料金から37.5%引き)となる「二輪車定率割引」が実施されている。2023年度までは100km以上走行したバイクに割引が適用されていたが、2024年度から80km以上で割引の対象になった。しかし、相変わらず事前申し込みとETCが必須で、期間限定の土日祝日のみで実施されている。

 これが条件のない恒久的な割引となれば、より利用したいライダーが70%以上増えることになる。この声をぜひ反映してほしいものだ。

任意保険料、駐車場、高速料金の改善を望む声がトップ3

 施設やインフラに対する整備・改善期待に関してのアンケートでは、「任意保険料の低料金化」が最も高い48%。次いで「施設・出かけ先、二輪専用駐車場の整備拡大」が46%だった。

 ここでも高速道路の低料金化を望む声は多く、42%と3番目。制度関係では、原付免許の運転可能排気量を50ccから125ccへ拡大を望む声が24%と目立ち、エコカー減税の適用も22%と高かった。

 また、出先での二輪専用駐車場の低料金化、ETC購入助成金の支給といった利用コスト低減への期待も高い。

 オンロード126cc以上で「運転操作を練習する場所の提供」への期待も16%ある。安全技術やライテクを学びたい人の需要は確実にありそうだ。

 

 

[まとめ] 新規ユーザーが入りやすい利用環境の改善は必須

 コロナ禍によってバイクは「三密」を避けられる趣味として人気が拡大し、近頃の年間二輪販売台数は40万台超を維持している。

 最近は一時期よりブームも落ち着いた感があるが、排ガス規制による50ccガソリンエンジンの生産終了、バイクの電動化などの変化を迎えつつある。

 今後もライダーの高年齢化は進むと思われるが、いずれにせよ駐車場の整備や高速道路などの低料金化など利用環境の改善は必要。新規ユーザーへのハードルを下げるのはもちろん、既にバイクを保有しているライダーも乗り続けられることが容易な環境にしてほしいものだ。

 

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https://news.webike.net/bikenews/375804/

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